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パンケーキを食べて下宿に戻ると、またウカノ兄ちゃんがやらかしていた。
ちなみに今日はエリィさんも一緒である。
今回のことについて、エリィさんもウカノ兄ちゃんの考えを聞いておきたいらしい。
さて、そのウカノ兄ちゃんが何をやらかしたのかだが。
まず、農業ギルドへ住み込みの仕事をもらいに出かけた先で、力がいるんだーと武器屋にて暴れていた悪漢を取り押さえたらしい。
「なんて言ったかなぁ、クーラ? とかいう名前の小生意気なガキだった」
「そんな名前の知り合いいないけど」
「そうなのか?
でも、お前の名前出して復讐してやるーって駄々こねてたぞ」
そこでエリィさんが、あえて目の前の光景は見ないようにして言ってきた。
「それ、もしかしてクラウって名前じゃないのか?
ほら、シンの元仲間の」
あ、あー、はいはい。
居たな、そんなやつ。
もう嫌いな奴だし、関わりたくないから記憶の中から消してた。
俺の反応を見て、クレイ兄ちゃんがケラケラ笑った。
「なんだ、お前もパーティ仲間からハブにされてたのか!」
「まぁね。お陰で骨を折ることになったけど」
この辺の話は、ウカノ兄ちゃんはともかくクレイ兄ちゃんの耳には入ってると思ったけど、もしかして知らないのかな?
と思いきや、
「あー、アレだろ?
百姓一揆やったんだってな」
クレイ兄ちゃんは知ってた。
しかし、なんのことかわからないウカノ兄ちゃんはキョトンとしている。
クレイ兄ちゃんが、ウカノ兄ちゃんにその辺のことを簡単に説明してくれた。
説明を聞いたウカノ兄ちゃんは、目を細めて、
「シンも社会の荒波の中、苦労してたんだなぁ」
なんて言ってくる。
とりあえず、それは今は脇に置いておこう。
俺は、自分の部屋にある光景について、その光景を作り出した兄へ訊ねた。
「ところで、ウカノ兄ちゃん」
「ん? なに?」
「その逆さ吊りになってる人達、誰?
見たところ魔族っぽいけど」
そう、ウカノ兄ちゃんは魔法で見ず知らずの魔族二人を逆さ釣りにして拷問している真っ最中だったのだ。
ちなみに、先日の暗殺部隊の人達の時のように部屋が真っ赤に染まっていたりする。
掃除するの大変なのになぁ。
俺の言葉に、ウカノ兄ちゃんが答える。
「なんだ、お前の知り合いじゃないのか。
それじゃ、もう手加減しなくていいよな。
あ、大丈夫、外に音が漏れないようにちゃんと魔法かけてあるから」
「いやいやいや、答えになってないから!!
なんなの、この人たち?!」
「んー? お前のストーカーじゃないの?」
どこか呑気に言うウカノ兄ちゃんへ、クレイ兄ちゃんが例の短剣を見せて、ほんの数時間前のダンジョンのことを話す。
ウカノ兄ちゃんは、クレイ兄ちゃんの説明を聞きつつ短剣を手に取り興味深そうに眺める。
眺めた後に、大きく息を吐き出した。
「すみません、領分を侵した非礼は謝ります。
この二人、連れて行って貰っていいですか?」
ウカノ兄ちゃんは突如、虚空に向かってそんなことを言う。
その直後、部屋の扉が開いて暗殺部隊の部隊員三人が俺の部屋に入ってきた。
「暗殺部隊?!」
エリィさんが、驚いて声をあげる。
しかし、三人は軽く会釈しただけだった。
どうでもいいけど、かなり密度高いなこの部屋。
吊るされた二人を含めて、俺、エリィさん、ウカノ兄ちゃん、クレイ兄ちゃん、暗殺部隊員三人。
九人はさすがにキツいものがある。
「あ、はい。なんかすみません」
「非礼なんてとんでもない、協力感謝します」
「それでは引き取らせてもらいます」
そう言って、暗殺部隊の人達が吊るされた魔族の二人を回収していった。
こう、なんていうか、もっとこう、登場の仕方とかさぁ。
なんてどうでもいいことを考えてる俺に、ウカノ兄ちゃんは言ってくる。
「なんかわかったら連絡くれるかもな、あの人たち。
それはそれとして、魔族と遭遇戦したって?
それも軍人ねぇ?」
そしてまた短剣を、ジロジロ見る。
「どうもきな臭くなって来てるなぁ。
それも、この前俺が倒した暗殺者と同じ気配がまとわりついてる。
それに、クレイ、お前気づいててこの短剣持ってきたな?」
俺はわけがわからず、疑問符を浮かべる。
それはエリィさんも同じだった。
話を振られたクレイ兄ちゃんはと言えば、苦笑している。
その反応を見て、ウカノ兄ちゃんは溜息をつく。
それから、実に申し訳なさそうにエリィさんへ言った。
「すみません、エリィさん。
ちょっと家族会議を開きたいので、退室してもらっていいですか?」
当然、いきなり過ぎてエリィさんが面食らう。
俺としては家族会議の前に部屋の掃除をしたいんだけどなぁ。
「いや、しかし」
エリィさんが、ちらっと俺を見てくる。
俺はウカノ兄ちゃんを見て、それからエリィさんを見た。
ウカノ兄ちゃんは、お前からも言ってくれと無言の圧力を感じたし、エリィさんからは、まさか私を外さないよな? というこれまた、無言の圧力を感じた。
「エリィさんが居ちゃ話しにくい内容?」
俺は確認する。
ウカノ兄ちゃんが頷く。
少し場の空気が重くなったところで、クレイ兄ちゃんが言った。
「話しにくいって言うか、アレだよ。
お前が苦手なクロッサ兄ちゃんが、魔族側に関わってるかもしれないんだ」
クレイ兄ちゃんが言った直後、ウカノ兄ちゃんがその頭を小突いた。
「クレイ、バラすなよ!」
ちなみに今日はエリィさんも一緒である。
今回のことについて、エリィさんもウカノ兄ちゃんの考えを聞いておきたいらしい。
さて、そのウカノ兄ちゃんが何をやらかしたのかだが。
まず、農業ギルドへ住み込みの仕事をもらいに出かけた先で、力がいるんだーと武器屋にて暴れていた悪漢を取り押さえたらしい。
「なんて言ったかなぁ、クーラ? とかいう名前の小生意気なガキだった」
「そんな名前の知り合いいないけど」
「そうなのか?
でも、お前の名前出して復讐してやるーって駄々こねてたぞ」
そこでエリィさんが、あえて目の前の光景は見ないようにして言ってきた。
「それ、もしかしてクラウって名前じゃないのか?
ほら、シンの元仲間の」
あ、あー、はいはい。
居たな、そんなやつ。
もう嫌いな奴だし、関わりたくないから記憶の中から消してた。
俺の反応を見て、クレイ兄ちゃんがケラケラ笑った。
「なんだ、お前もパーティ仲間からハブにされてたのか!」
「まぁね。お陰で骨を折ることになったけど」
この辺の話は、ウカノ兄ちゃんはともかくクレイ兄ちゃんの耳には入ってると思ったけど、もしかして知らないのかな?
と思いきや、
「あー、アレだろ?
百姓一揆やったんだってな」
クレイ兄ちゃんは知ってた。
しかし、なんのことかわからないウカノ兄ちゃんはキョトンとしている。
クレイ兄ちゃんが、ウカノ兄ちゃんにその辺のことを簡単に説明してくれた。
説明を聞いたウカノ兄ちゃんは、目を細めて、
「シンも社会の荒波の中、苦労してたんだなぁ」
なんて言ってくる。
とりあえず、それは今は脇に置いておこう。
俺は、自分の部屋にある光景について、その光景を作り出した兄へ訊ねた。
「ところで、ウカノ兄ちゃん」
「ん? なに?」
「その逆さ吊りになってる人達、誰?
見たところ魔族っぽいけど」
そう、ウカノ兄ちゃんは魔法で見ず知らずの魔族二人を逆さ釣りにして拷問している真っ最中だったのだ。
ちなみに、先日の暗殺部隊の人達の時のように部屋が真っ赤に染まっていたりする。
掃除するの大変なのになぁ。
俺の言葉に、ウカノ兄ちゃんが答える。
「なんだ、お前の知り合いじゃないのか。
それじゃ、もう手加減しなくていいよな。
あ、大丈夫、外に音が漏れないようにちゃんと魔法かけてあるから」
「いやいやいや、答えになってないから!!
なんなの、この人たち?!」
「んー? お前のストーカーじゃないの?」
どこか呑気に言うウカノ兄ちゃんへ、クレイ兄ちゃんが例の短剣を見せて、ほんの数時間前のダンジョンのことを話す。
ウカノ兄ちゃんは、クレイ兄ちゃんの説明を聞きつつ短剣を手に取り興味深そうに眺める。
眺めた後に、大きく息を吐き出した。
「すみません、領分を侵した非礼は謝ります。
この二人、連れて行って貰っていいですか?」
ウカノ兄ちゃんは突如、虚空に向かってそんなことを言う。
その直後、部屋の扉が開いて暗殺部隊の部隊員三人が俺の部屋に入ってきた。
「暗殺部隊?!」
エリィさんが、驚いて声をあげる。
しかし、三人は軽く会釈しただけだった。
どうでもいいけど、かなり密度高いなこの部屋。
吊るされた二人を含めて、俺、エリィさん、ウカノ兄ちゃん、クレイ兄ちゃん、暗殺部隊員三人。
九人はさすがにキツいものがある。
「あ、はい。なんかすみません」
「非礼なんてとんでもない、協力感謝します」
「それでは引き取らせてもらいます」
そう言って、暗殺部隊の人達が吊るされた魔族の二人を回収していった。
こう、なんていうか、もっとこう、登場の仕方とかさぁ。
なんてどうでもいいことを考えてる俺に、ウカノ兄ちゃんは言ってくる。
「なんかわかったら連絡くれるかもな、あの人たち。
それはそれとして、魔族と遭遇戦したって?
それも軍人ねぇ?」
そしてまた短剣を、ジロジロ見る。
「どうもきな臭くなって来てるなぁ。
それも、この前俺が倒した暗殺者と同じ気配がまとわりついてる。
それに、クレイ、お前気づいててこの短剣持ってきたな?」
俺はわけがわからず、疑問符を浮かべる。
それはエリィさんも同じだった。
話を振られたクレイ兄ちゃんはと言えば、苦笑している。
その反応を見て、ウカノ兄ちゃんは溜息をつく。
それから、実に申し訳なさそうにエリィさんへ言った。
「すみません、エリィさん。
ちょっと家族会議を開きたいので、退室してもらっていいですか?」
当然、いきなり過ぎてエリィさんが面食らう。
俺としては家族会議の前に部屋の掃除をしたいんだけどなぁ。
「いや、しかし」
エリィさんが、ちらっと俺を見てくる。
俺はウカノ兄ちゃんを見て、それからエリィさんを見た。
ウカノ兄ちゃんは、お前からも言ってくれと無言の圧力を感じたし、エリィさんからは、まさか私を外さないよな? というこれまた、無言の圧力を感じた。
「エリィさんが居ちゃ話しにくい内容?」
俺は確認する。
ウカノ兄ちゃんが頷く。
少し場の空気が重くなったところで、クレイ兄ちゃんが言った。
「話しにくいって言うか、アレだよ。
お前が苦手なクロッサ兄ちゃんが、魔族側に関わってるかもしれないんだ」
クレイ兄ちゃんが言った直後、ウカノ兄ちゃんがその頭を小突いた。
「クレイ、バラすなよ!」
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