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学園生活+冒険者活動
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「ねね、ウカノ君って養子なんでしょ?」
「元農民って聞いたけど本当?」
「ウカノ君が住んでた所って、猿とかイノシシって出た?」
ショートホームルームなるものが終わると、ウカノは同級生達に取り囲まれた。
興味津々に、ウカノに質問してくる。
農民という存在は、クラスメイト達にとっては働きアリだ。
その働きアリと交流することが今まで無かったので、とても珍しがってるのだろう。
さながら、動物園で展示されてる動物だ。
「うん。知ってる通り養子だよ。
農民ってのも本当。
猿やイノシシもだけど、一番やっかいなのはドラゴンだったなぁ」
適当に愛想良く答えていたが、ドラゴンの部分で質問責めにしてきたクラスメイト達が顔を見合わせた。
「ドラゴン??
ドラゴンが出たの??」
好奇心に勝てず、1人の女子生徒が質問した。
「うん。ドラゴンだけじゃないけどね。
作物を狙う魔物は多いよ。
サイクロプスだってスイカとかメロンとか、ばあちゃんが育ててた葡萄とか狙ってよくきてたし。
親戚の家が梨農家だったんだけど、空飛ぶワンコ、あ、ザ・ビーストっていうんだっけ?
収穫の時期になると、普通の害獣からそういったモンスターまで来てさ。
家族どころか村のヤツら総出で退治するんだ。
ほんと、大変だった」
その説明に、シンっとその場が静まりかえる。
「?」
ウカノは訳が分からずにキョトンとする。
しかし、すぐに、
「あははは!」
「ウカノ君っておもしろいなぁ!」
「ドラゴンだの、サイクロプスだの、ザ・ビーストだのって、高ランク冒険者、それも英雄クラスの人達が出てき倒すくらい強いモンスターだよ」
そんな笑いに包まれた。
どうやら冗談だと思われたらしい。
「そうそう!
そんなヤバいモンスターを、農民なんかが退治できるわけないじゃん!!」
ウカノは、それらの言葉を受けて笑う。
そして、
「あはは、バレたか」
そう、話を合わせた。
これが、彼らの認識なのだ。
弱っちい、なんの力も無い農民。
ただの働きアリでしかない農民。
そんな農民に、モンスターなんて退治なんてできるわけが無い。
これが、世界の認識で常識だった。
「あ、わかった!
冒険者に依頼出して退治して貰ってたんでしょ?!」
別の生徒がそう言ってきた。
自信満々だ。
ウカノは、これにも話を合わせる。
「大正解!」
冒険者に依頼して、畑や田んぼを荒らす害獣(モンスター含む)を退治してもらう。
これは、たしかにあった。
けれど、ほとんど無かったとも言える。
なぜなら、名を上げたい、活躍したい冒険者からしたらわざわざ畑に出るモンスターを退治するよりも、街を襲うモンスターを退治する方がいいからだ。
あと、後者の方が稼げる。
農民からの依頼だと、どうしても街から離れることになる。
遠征費用が馬鹿にならないのだ。
だから、農民からの依頼は冒険者ギルドに出したところで無視されることがほとんどだった。
そうなってくると、自分たちでなんとかしなければならないわけで。
そのため、ウカノの言ったことは嘘ではなく本当のことだったりする。
けれど、そんなのクラスメイト達には関係のないことだ。
わざわざ訂正することもない。
だから、ウカノは話を合わせた。
合わせつつ、クラスメイトの顔を覚えていく。
(この中に侵略者はいるのか。
それとも、これから来るのか)
エステル達からの説明では、侵略者達はこの世界の人間に紛れていた可能性が高いとのことだった。
原住民と入れ替わり、前途有望な、そして自分たちに対抗しうる人間を殺していく。
それは、誰かの知人であり、友人であり、そして家族として群れの中に溶け込んで少しづつ、少しづつ仕事をしていったのが、他の世界での出来事だ。
しかし、ウカノのいる世界ではちょっと違っていた。
エステル達の所属する組織が調べた限りだと、この世界では少し派手に動くことが多かったようだ。
そう、たとえば敵対している一部の魔族の仕業に見せかけて、この学園を含めたあちこちの名門校を攻撃したりとか。
あるいは、生徒に成りすまして、一人、また一人と確実に命を奪ったりだとか。
(被害者が出る前になんとかしたいけれど)
詳しい被害者については、現在調査中とのことだった。
時間を巻き戻す前に色々調べたらしいが、集めた情報の精査に時間がかかっているらしい。
「やっぱり?」
ウカノの言葉に、クラスメイトが嬉しそうに微笑んだ。
「そういえば、ウカノ君って寮だっけ?」
また別のクラスメイトから質問が飛んできた。
これに、ウカノは首を横に振った。
「ううん。違うよ。
アエリカさん、じゃなかった、父さん達が用意してくれた家があって。
そこから通ってるんだ」
アエリカ、と言うのはエステルと共にいた黒衣のおっさんの事だ。
「そうなんだ」
別宅から通っている生徒もいるので、そんなに驚かれなかった。
そんなやり取りを、隣の席のアールがうざったそうに睨みつけていた。
そうこうしているうちに、始業ベルが鳴った。
一限目は、座学だった。
ここで、ウカノはさらにクラスメイト達をざわつかせることになる。
「元農民って聞いたけど本当?」
「ウカノ君が住んでた所って、猿とかイノシシって出た?」
ショートホームルームなるものが終わると、ウカノは同級生達に取り囲まれた。
興味津々に、ウカノに質問してくる。
農民という存在は、クラスメイト達にとっては働きアリだ。
その働きアリと交流することが今まで無かったので、とても珍しがってるのだろう。
さながら、動物園で展示されてる動物だ。
「うん。知ってる通り養子だよ。
農民ってのも本当。
猿やイノシシもだけど、一番やっかいなのはドラゴンだったなぁ」
適当に愛想良く答えていたが、ドラゴンの部分で質問責めにしてきたクラスメイト達が顔を見合わせた。
「ドラゴン??
ドラゴンが出たの??」
好奇心に勝てず、1人の女子生徒が質問した。
「うん。ドラゴンだけじゃないけどね。
作物を狙う魔物は多いよ。
サイクロプスだってスイカとかメロンとか、ばあちゃんが育ててた葡萄とか狙ってよくきてたし。
親戚の家が梨農家だったんだけど、空飛ぶワンコ、あ、ザ・ビーストっていうんだっけ?
収穫の時期になると、普通の害獣からそういったモンスターまで来てさ。
家族どころか村のヤツら総出で退治するんだ。
ほんと、大変だった」
その説明に、シンっとその場が静まりかえる。
「?」
ウカノは訳が分からずにキョトンとする。
しかし、すぐに、
「あははは!」
「ウカノ君っておもしろいなぁ!」
「ドラゴンだの、サイクロプスだの、ザ・ビーストだのって、高ランク冒険者、それも英雄クラスの人達が出てき倒すくらい強いモンスターだよ」
そんな笑いに包まれた。
どうやら冗談だと思われたらしい。
「そうそう!
そんなヤバいモンスターを、農民なんかが退治できるわけないじゃん!!」
ウカノは、それらの言葉を受けて笑う。
そして、
「あはは、バレたか」
そう、話を合わせた。
これが、彼らの認識なのだ。
弱っちい、なんの力も無い農民。
ただの働きアリでしかない農民。
そんな農民に、モンスターなんて退治なんてできるわけが無い。
これが、世界の認識で常識だった。
「あ、わかった!
冒険者に依頼出して退治して貰ってたんでしょ?!」
別の生徒がそう言ってきた。
自信満々だ。
ウカノは、これにも話を合わせる。
「大正解!」
冒険者に依頼して、畑や田んぼを荒らす害獣(モンスター含む)を退治してもらう。
これは、たしかにあった。
けれど、ほとんど無かったとも言える。
なぜなら、名を上げたい、活躍したい冒険者からしたらわざわざ畑に出るモンスターを退治するよりも、街を襲うモンスターを退治する方がいいからだ。
あと、後者の方が稼げる。
農民からの依頼だと、どうしても街から離れることになる。
遠征費用が馬鹿にならないのだ。
だから、農民からの依頼は冒険者ギルドに出したところで無視されることがほとんどだった。
そうなってくると、自分たちでなんとかしなければならないわけで。
そのため、ウカノの言ったことは嘘ではなく本当のことだったりする。
けれど、そんなのクラスメイト達には関係のないことだ。
わざわざ訂正することもない。
だから、ウカノは話を合わせた。
合わせつつ、クラスメイトの顔を覚えていく。
(この中に侵略者はいるのか。
それとも、これから来るのか)
エステル達からの説明では、侵略者達はこの世界の人間に紛れていた可能性が高いとのことだった。
原住民と入れ替わり、前途有望な、そして自分たちに対抗しうる人間を殺していく。
それは、誰かの知人であり、友人であり、そして家族として群れの中に溶け込んで少しづつ、少しづつ仕事をしていったのが、他の世界での出来事だ。
しかし、ウカノのいる世界ではちょっと違っていた。
エステル達の所属する組織が調べた限りだと、この世界では少し派手に動くことが多かったようだ。
そう、たとえば敵対している一部の魔族の仕業に見せかけて、この学園を含めたあちこちの名門校を攻撃したりとか。
あるいは、生徒に成りすまして、一人、また一人と確実に命を奪ったりだとか。
(被害者が出る前になんとかしたいけれど)
詳しい被害者については、現在調査中とのことだった。
時間を巻き戻す前に色々調べたらしいが、集めた情報の精査に時間がかかっているらしい。
「やっぱり?」
ウカノの言葉に、クラスメイトが嬉しそうに微笑んだ。
「そういえば、ウカノ君って寮だっけ?」
また別のクラスメイトから質問が飛んできた。
これに、ウカノは首を横に振った。
「ううん。違うよ。
アエリカさん、じゃなかった、父さん達が用意してくれた家があって。
そこから通ってるんだ」
アエリカ、と言うのはエステルと共にいた黒衣のおっさんの事だ。
「そうなんだ」
別宅から通っている生徒もいるので、そんなに驚かれなかった。
そんなやり取りを、隣の席のアールがうざったそうに睨みつけていた。
そうこうしているうちに、始業ベルが鳴った。
一限目は、座学だった。
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