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復讐遊戯 2
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屋敷は三階建てだ。
元は貴族の屋敷なのだろう。
飾られている調度品は、このゲームの為だけに用意したとしては高価なものばかりだ。
屋敷に入ったものの、案内のスタッフすら出て来ないことにアクアは首を傾げる。
しばらく、待ってみるがやはり誰も出て来ない。
「あのー、誰かいませんか!!」
叫ぶように声を出すが、やはり誰も出て来ない。
騙されたのだろうか?
そんな不安が過る。
しかし、騙す相手に交通費と上等なドレスを送りつけるだろうか?
アクアは、とりあえずスーツケースを引っ張って、適当な部屋の扉に手を掛けた。
開いたその場所は食堂だった。
大衆食堂のように広くは無い。
円卓があり、椅子が五つ用意されている。
各席には名札も置いてあり、おそらく他の参加者なのだろうな、とアクアはその名前を確認した。
「!?」
驚いた。
それはそうだろう。
そこにあった名前は、かつて学生時代常に一緒にいた攻略対象達のそれだったのだから。
同姓同名の他の参加者に違いない。
しかし、だとするとこんな都合よく四人全員の名前が一緒になることなどあるのだろうか?
少しだけ薄気味悪く感じながらも、他にすることもないので、アクアは自分の名札の置かれた席に着いた。
「っ痛」
臀部に走った痛みに、思わず立ち上がる。
そこには画鋲の先端が上を向いて置いてあった。
悪戯、いいや、不備だろうか。
スタッフが来たら後で文句を言ってやる。
そう考えつつ、アクアは画鋲を取り除いた。
ざわざわと、自分が入ってきた扉の向こうが騒がしくなる。
他の参加者が到着したのだろう。
アクアは扉を見た。
ざわめきは次第に大きくなる。
やがて、扉が開かれた。
現れたのは四人の男。よく知った男達だ。
その四人も、仕立ての良いスーツに身を包んでいる。
同姓同名の別人ではなかった。
集められたのは、あのゲームの主要キャラ達であり、いまや裁判で判決が出たものの人殺しとして世間から見做されている者達だった。
アクアと攻略した本命――ジークがお互いを見つめ、息を飲んだ。
それは他の三人、エディ、ロック、ギルも同じだった。
「ひ、ひさしぶり」
ぎこちない挨拶を口に出すと、ギルが怒りに身を任せつかつかとアクアに近寄ったかと思うと、手をあげた。
殴りつけようとしたのだ。
それをジークが慌てて止めに入る。
「やめろ」
「ああ!?
止めるなよ!!この女の所為で俺達の人生は滅茶苦茶になったんだぞ!!?」
「そ、そうですよ、その子がいなければ僕たちは今頃」
口だけの加勢に入ったのはエディである。
ロックは、オロオロと成り行きを見ている。
そこに、館内放送がかかった。
聞き慣れた、学校のチャイムの音が鳴ったかと思うと、透き通るような女性の声が響き渡る。
『ようこそ、お越しくださいました。
ゲームの参加者が揃ったようなので、ルール説明を始めさせていただきます。
まずは皆さま、各席にお座りください』
どこかで聞いた事のあるような声だった。
『ゲームは簡単。こちらの指示にしたがい、遊んでいただくだけです。
ただし、命を賭けていただきます。
こちらの指示に反する行動をしたら、そこでその方はゲームオーバー。参加資格を剥奪し、参加料としてその命を支払っていただきます』
全員が全員ざわつく。
命だのとなんだのと言われても、納得できるわけは無いのだ。
「ふざけんな!!」
『まぁ、ゲームですからね。ゲームとは真剣にやるものもあればふざけてやるものもあります。
だから、そうですね貴方が言う様にこれはおふざけのゲームです。とてもふざけているのです』
全くふざけていない口調で、女性は言う。
『そう、かつてそこの少女が自分の我がままを押通すというふざけたお遊びを行ったように』
男達の視線が一斉にアクアへ向く。
怒りや戸惑いの色が浮かんだ視線がアクアに注がれる。
「しかし、命を賭けるなど」
『できませんか?
エディ様は不参加、ということでよろしいでしょうか?』
「い、いや、そんなこ――」
『エディ様の意志を尊重し、では対価をいただきます』
女性の言葉が終わると同時に、エディの姿が消えた。
彼の座っていた席の真下に穴が開いたのだ。
椅子ごと彼は落ちてしまった。
次の瞬間、穴から絶叫が響き渡る。
残った者達が、穴の中を確認すると、無数の蛇がエディに襲いかかっているところだった。
「あれは毒蛇だぞ!?」
ギルが信じられないとばかりに言う。
女性が補足する。
『古代の処刑法の一つです。
あぁ、そうだ、この中の誰かがハンバーグにならないとも限らないので、気を付けてください。
まぁ、かつて愛した人の腹を満たしたい、というのであれば別ですけど』
残った四人は、女性の言葉の意味が半分も理解できなかた。
ただ、指示に逆らえば、いいやそれよりも少しでもこの声の主に勘違いされるようなことをすれば、自分達の命は無いのだ理解するには十分だった。
女性の皮肉にも、残った者達は答えられなかった。
『あぁ、そうだ。こっそり帰ろうとしても無駄ですよ。
貴方方がこの屋敷から出られないよう術式を組みました。
助けも呼べないですよね?
何しろ、携帯電話の通話料すら払えないほど、全員経済状況は切迫していますからね』
生きて帰りたければ、そして生き残ったあとも生活を続けたいならゲームに参加して勝て、と言う事らしい。
『まぁ、だからこそこの場にいる全員が身内に売られたんですが』
女性の続いた言葉に、ジークがどういうことだ、と叫ぶ。
とてもおもしろい、と言わんばかりに女性が返す。
『そのままの意味です。
貴方方を離縁させ、ゲームに参加させる。その後、その行方を探さないなら借金を全てチャラにして後継ぎが必要なら、養子の用意もするという取り決めをしたんです。
皆さま、快く承諾してくださいました』
「そ、んな」
『貴方方は家族を、身内を非難できないはずです。
多かれ少なかれ、家族を見捨ててここに来たのでしょうから。心なんて痛まないでしょう?
悪だ、と家族を糾弾しますか?』
誰も、何も言わない。
ただ痛いくらいの沈黙がおりる。
気付けば穴に落ちたエディの断末魔もきこえなくなっていた。
女性の明るい声が響く。
『さぁ、ゲーム開始です。
食事の用意もありますが、まずは運動を行っていただきます。
男性の皆さま、唯一の女性参加者である彼女を犯してください』
もちろん全員で、と女性は付け加えた。
元は貴族の屋敷なのだろう。
飾られている調度品は、このゲームの為だけに用意したとしては高価なものばかりだ。
屋敷に入ったものの、案内のスタッフすら出て来ないことにアクアは首を傾げる。
しばらく、待ってみるがやはり誰も出て来ない。
「あのー、誰かいませんか!!」
叫ぶように声を出すが、やはり誰も出て来ない。
騙されたのだろうか?
そんな不安が過る。
しかし、騙す相手に交通費と上等なドレスを送りつけるだろうか?
アクアは、とりあえずスーツケースを引っ張って、適当な部屋の扉に手を掛けた。
開いたその場所は食堂だった。
大衆食堂のように広くは無い。
円卓があり、椅子が五つ用意されている。
各席には名札も置いてあり、おそらく他の参加者なのだろうな、とアクアはその名前を確認した。
「!?」
驚いた。
それはそうだろう。
そこにあった名前は、かつて学生時代常に一緒にいた攻略対象達のそれだったのだから。
同姓同名の他の参加者に違いない。
しかし、だとするとこんな都合よく四人全員の名前が一緒になることなどあるのだろうか?
少しだけ薄気味悪く感じながらも、他にすることもないので、アクアは自分の名札の置かれた席に着いた。
「っ痛」
臀部に走った痛みに、思わず立ち上がる。
そこには画鋲の先端が上を向いて置いてあった。
悪戯、いいや、不備だろうか。
スタッフが来たら後で文句を言ってやる。
そう考えつつ、アクアは画鋲を取り除いた。
ざわざわと、自分が入ってきた扉の向こうが騒がしくなる。
他の参加者が到着したのだろう。
アクアは扉を見た。
ざわめきは次第に大きくなる。
やがて、扉が開かれた。
現れたのは四人の男。よく知った男達だ。
その四人も、仕立ての良いスーツに身を包んでいる。
同姓同名の別人ではなかった。
集められたのは、あのゲームの主要キャラ達であり、いまや裁判で判決が出たものの人殺しとして世間から見做されている者達だった。
アクアと攻略した本命――ジークがお互いを見つめ、息を飲んだ。
それは他の三人、エディ、ロック、ギルも同じだった。
「ひ、ひさしぶり」
ぎこちない挨拶を口に出すと、ギルが怒りに身を任せつかつかとアクアに近寄ったかと思うと、手をあげた。
殴りつけようとしたのだ。
それをジークが慌てて止めに入る。
「やめろ」
「ああ!?
止めるなよ!!この女の所為で俺達の人生は滅茶苦茶になったんだぞ!!?」
「そ、そうですよ、その子がいなければ僕たちは今頃」
口だけの加勢に入ったのはエディである。
ロックは、オロオロと成り行きを見ている。
そこに、館内放送がかかった。
聞き慣れた、学校のチャイムの音が鳴ったかと思うと、透き通るような女性の声が響き渡る。
『ようこそ、お越しくださいました。
ゲームの参加者が揃ったようなので、ルール説明を始めさせていただきます。
まずは皆さま、各席にお座りください』
どこかで聞いた事のあるような声だった。
『ゲームは簡単。こちらの指示にしたがい、遊んでいただくだけです。
ただし、命を賭けていただきます。
こちらの指示に反する行動をしたら、そこでその方はゲームオーバー。参加資格を剥奪し、参加料としてその命を支払っていただきます』
全員が全員ざわつく。
命だのとなんだのと言われても、納得できるわけは無いのだ。
「ふざけんな!!」
『まぁ、ゲームですからね。ゲームとは真剣にやるものもあればふざけてやるものもあります。
だから、そうですね貴方が言う様にこれはおふざけのゲームです。とてもふざけているのです』
全くふざけていない口調で、女性は言う。
『そう、かつてそこの少女が自分の我がままを押通すというふざけたお遊びを行ったように』
男達の視線が一斉にアクアへ向く。
怒りや戸惑いの色が浮かんだ視線がアクアに注がれる。
「しかし、命を賭けるなど」
『できませんか?
エディ様は不参加、ということでよろしいでしょうか?』
「い、いや、そんなこ――」
『エディ様の意志を尊重し、では対価をいただきます』
女性の言葉が終わると同時に、エディの姿が消えた。
彼の座っていた席の真下に穴が開いたのだ。
椅子ごと彼は落ちてしまった。
次の瞬間、穴から絶叫が響き渡る。
残った者達が、穴の中を確認すると、無数の蛇がエディに襲いかかっているところだった。
「あれは毒蛇だぞ!?」
ギルが信じられないとばかりに言う。
女性が補足する。
『古代の処刑法の一つです。
あぁ、そうだ、この中の誰かがハンバーグにならないとも限らないので、気を付けてください。
まぁ、かつて愛した人の腹を満たしたい、というのであれば別ですけど』
残った四人は、女性の言葉の意味が半分も理解できなかた。
ただ、指示に逆らえば、いいやそれよりも少しでもこの声の主に勘違いされるようなことをすれば、自分達の命は無いのだ理解するには十分だった。
女性の皮肉にも、残った者達は答えられなかった。
『あぁ、そうだ。こっそり帰ろうとしても無駄ですよ。
貴方方がこの屋敷から出られないよう術式を組みました。
助けも呼べないですよね?
何しろ、携帯電話の通話料すら払えないほど、全員経済状況は切迫していますからね』
生きて帰りたければ、そして生き残ったあとも生活を続けたいならゲームに参加して勝て、と言う事らしい。
『まぁ、だからこそこの場にいる全員が身内に売られたんですが』
女性の続いた言葉に、ジークがどういうことだ、と叫ぶ。
とてもおもしろい、と言わんばかりに女性が返す。
『そのままの意味です。
貴方方を離縁させ、ゲームに参加させる。その後、その行方を探さないなら借金を全てチャラにして後継ぎが必要なら、養子の用意もするという取り決めをしたんです。
皆さま、快く承諾してくださいました』
「そ、んな」
『貴方方は家族を、身内を非難できないはずです。
多かれ少なかれ、家族を見捨ててここに来たのでしょうから。心なんて痛まないでしょう?
悪だ、と家族を糾弾しますか?』
誰も、何も言わない。
ただ痛いくらいの沈黙がおりる。
気付けば穴に落ちたエディの断末魔もきこえなくなっていた。
女性の明るい声が響く。
『さぁ、ゲーム開始です。
食事の用意もありますが、まずは運動を行っていただきます。
男性の皆さま、唯一の女性参加者である彼女を犯してください』
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