122 / 131
幕間 EEOに表向きいないモンスター
しおりを挟む
EEOの夏季イベントもクリアし、その後はガンターに言われた通り、月でレベリングか探偵クエストを受たりしつつ、シャーロットとスーは過ごしていた。
そんな中、シャーロットの神官のレベルが50、探偵のレベルが85となった。
その翌日のことだった。
シャーロットはスーとともに、EEOへとログインした。
そして、探偵クエストを受けようと、私立探偵の事務所にやってきた。
事務所に入ると、そこには二人の私立探偵がいた。
片方はこの事務所の主であり、初めて探偵クエストを受けた時からの付き合いである私立探偵。
もう一人は、あのテケリ・リの骨を渡してきた、シャーロットが勝手にオールドマンと読んでいる私立探偵だった。
「なんだ、優秀な助手というのはお前さんのことだったのか」
シャーロットの顔を見るなり、オールドマンはそう呟いた。
その横で、私立探偵がオールドマンのことを紹介する。
「彼は古くからの友人でね。
でも、いかんせん癖が強くて助手がすぐやめてしまうんだ。
だから私の助手を貸してほしいと懇願されてるところだ」
私立探偵が説明した直後、クエストが発生した。
「クエストだ」
思わず呟いたシャーロットに、スーが訊ねる。
「受けるの?」
スーは今回、シャーロットのパーティ仲間としてここにいる。
そのため、クエスト受注の条件を満たしていないので、どんなクエストタイトルがシャーロットの前に提示されているのかわからない。
「受けてみようかな。
たぶん、スーも好きそうなストーリーだと思う」
「俺も?」
不思議そうに首を傾げるスーを見る。
そんな二人を取り囲むのは、二匹の神狼と兎の亜人であるアウストロだ。
「クエストタイトルは?」
「永遠の夜を歩く存在」
そのタイトルにピンとくるものがあったのだろう。
スーがシャーロットを見た。
「これって、もしかして……」
スーの呟きに、シャーロットは楽しげに返す。
「……さて、どうだろ?
とりあえず、はい、を選んで、と」
その直後。
クエストを受けるか否かを選んだ直後。
久方ぶり過ぎる、あの【予告】の光景が二人をつつんだのだった。
賑わう港町。
広がる海の先には、ボロボロとなった船がゆらゆらと波に揺れていた。
幽霊船とはまた違う雰囲気のボロ船だ。
続いて映像が切り替わる。
新聞記事の映像だ。
ボロ船の絵があり、この船が難破船だと言うことが書いてある。
船の名前は【ΔΗΜΗΤΗΡ号】というらしい。
途中で嵐にあったからか、乗組員は全員死亡していたらしい。
また映像が切り替わった。
今度は夜だ。
月がでている。
月と赤い霧が港町を包み込んだ。
そして、耳をつんざくような女性の悲鳴があがった。
映像が暗転する。
暗転の後、現れたのは男の背中だった。
しかし、顔は見えない。
男の前には女神像。
男はその女神像を真っ直ぐに見つめているようにみえた。
展開されたその予告に、シャーロットとスーは言葉を失った。
驚きで、言葉を失ってしまったのだ。
予告の光景は、容赦なく二人へ叩きつけられた。
予告が終わり【to be continued】の文字が表示される。
そして、シャーロットとスーは顔を見合わせたかと思うと、
「「うそだろ……」」
息ぴったりにそう呟いたのだった。
その、予告の光景を二人は知っていた。
読んで、知っていたのだ。
予想通りと言ってしまえばそれまでだ。
しかし、本当に予想通りのものが来た時、この2人の場合は困惑するのだった。
「なぁ、新太、確認なんだけど」
スーがついシャーロットの本名を口にした。
シャーロットはしかし、それを咎めることはしなかった。
どのみち、ここにはお互い以外、NPCしかいないのだ。
身バレの心配はほぼ無い。
「なに?」
「このゲームって、あのモンスター出てきてなかったよな??」
「……たぶん」
「公式サイトでモンスター一覧表見たことあるけど、あのモンスターっていなかったよな?」
「……わからない。確認しないとわからない」
なにせ、勘違いなど普通にしてしまうのが人間の脳みそだからだ。
ある意味、その勘違いを利用しているのがこのVRゲームにも使われている技術でもあるのだけれど。
そんなことは、いまの二人にはどうでもいいことだった。
「じゃあ、確認しよう!」
言うが早いか、スーがログアウトする。
シャーロットもそれに続く。
オートセーブなので、気兼ねなくログアウトした。
そうして現実に戻った二人は、ヘッドギアを取り払い、投げ捨てたのだった。
次に二人がしたのは、パソコンを使ってEEOの公式攻略サイトを確認することだった。
今しがた見つけた隠しクエスト。
それに関係しているだろうと思われるモンスターが、EEO内に存在するのかどうか。
それを調べるのだ。
モンスターの一覧表があるページを表示して、二人は目的のモンスターの有無をたしかめた。
「いない、よな?」
新太が呟くように、双子の片割れであり、現在は従兄弟へと確認する。
従兄弟は頷いた。
「見落としてはいないばすだけど」
「と、ゆーことは。
EEOには表向き」
早鐘のように、二人の心臓がドキドキと鳴った。
「「吸血鬼がいない」」
そしてまた、2人の声と言葉が揃ったのだった。
そんな中、シャーロットの神官のレベルが50、探偵のレベルが85となった。
その翌日のことだった。
シャーロットはスーとともに、EEOへとログインした。
そして、探偵クエストを受けようと、私立探偵の事務所にやってきた。
事務所に入ると、そこには二人の私立探偵がいた。
片方はこの事務所の主であり、初めて探偵クエストを受けた時からの付き合いである私立探偵。
もう一人は、あのテケリ・リの骨を渡してきた、シャーロットが勝手にオールドマンと読んでいる私立探偵だった。
「なんだ、優秀な助手というのはお前さんのことだったのか」
シャーロットの顔を見るなり、オールドマンはそう呟いた。
その横で、私立探偵がオールドマンのことを紹介する。
「彼は古くからの友人でね。
でも、いかんせん癖が強くて助手がすぐやめてしまうんだ。
だから私の助手を貸してほしいと懇願されてるところだ」
私立探偵が説明した直後、クエストが発生した。
「クエストだ」
思わず呟いたシャーロットに、スーが訊ねる。
「受けるの?」
スーは今回、シャーロットのパーティ仲間としてここにいる。
そのため、クエスト受注の条件を満たしていないので、どんなクエストタイトルがシャーロットの前に提示されているのかわからない。
「受けてみようかな。
たぶん、スーも好きそうなストーリーだと思う」
「俺も?」
不思議そうに首を傾げるスーを見る。
そんな二人を取り囲むのは、二匹の神狼と兎の亜人であるアウストロだ。
「クエストタイトルは?」
「永遠の夜を歩く存在」
そのタイトルにピンとくるものがあったのだろう。
スーがシャーロットを見た。
「これって、もしかして……」
スーの呟きに、シャーロットは楽しげに返す。
「……さて、どうだろ?
とりあえず、はい、を選んで、と」
その直後。
クエストを受けるか否かを選んだ直後。
久方ぶり過ぎる、あの【予告】の光景が二人をつつんだのだった。
賑わう港町。
広がる海の先には、ボロボロとなった船がゆらゆらと波に揺れていた。
幽霊船とはまた違う雰囲気のボロ船だ。
続いて映像が切り替わる。
新聞記事の映像だ。
ボロ船の絵があり、この船が難破船だと言うことが書いてある。
船の名前は【ΔΗΜΗΤΗΡ号】というらしい。
途中で嵐にあったからか、乗組員は全員死亡していたらしい。
また映像が切り替わった。
今度は夜だ。
月がでている。
月と赤い霧が港町を包み込んだ。
そして、耳をつんざくような女性の悲鳴があがった。
映像が暗転する。
暗転の後、現れたのは男の背中だった。
しかし、顔は見えない。
男の前には女神像。
男はその女神像を真っ直ぐに見つめているようにみえた。
展開されたその予告に、シャーロットとスーは言葉を失った。
驚きで、言葉を失ってしまったのだ。
予告の光景は、容赦なく二人へ叩きつけられた。
予告が終わり【to be continued】の文字が表示される。
そして、シャーロットとスーは顔を見合わせたかと思うと、
「「うそだろ……」」
息ぴったりにそう呟いたのだった。
その、予告の光景を二人は知っていた。
読んで、知っていたのだ。
予想通りと言ってしまえばそれまでだ。
しかし、本当に予想通りのものが来た時、この2人の場合は困惑するのだった。
「なぁ、新太、確認なんだけど」
スーがついシャーロットの本名を口にした。
シャーロットはしかし、それを咎めることはしなかった。
どのみち、ここにはお互い以外、NPCしかいないのだ。
身バレの心配はほぼ無い。
「なに?」
「このゲームって、あのモンスター出てきてなかったよな??」
「……たぶん」
「公式サイトでモンスター一覧表見たことあるけど、あのモンスターっていなかったよな?」
「……わからない。確認しないとわからない」
なにせ、勘違いなど普通にしてしまうのが人間の脳みそだからだ。
ある意味、その勘違いを利用しているのがこのVRゲームにも使われている技術でもあるのだけれど。
そんなことは、いまの二人にはどうでもいいことだった。
「じゃあ、確認しよう!」
言うが早いか、スーがログアウトする。
シャーロットもそれに続く。
オートセーブなので、気兼ねなくログアウトした。
そうして現実に戻った二人は、ヘッドギアを取り払い、投げ捨てたのだった。
次に二人がしたのは、パソコンを使ってEEOの公式攻略サイトを確認することだった。
今しがた見つけた隠しクエスト。
それに関係しているだろうと思われるモンスターが、EEO内に存在するのかどうか。
それを調べるのだ。
モンスターの一覧表があるページを表示して、二人は目的のモンスターの有無をたしかめた。
「いない、よな?」
新太が呟くように、双子の片割れであり、現在は従兄弟へと確認する。
従兄弟は頷いた。
「見落としてはいないばすだけど」
「と、ゆーことは。
EEOには表向き」
早鐘のように、二人の心臓がドキドキと鳴った。
「「吸血鬼がいない」」
そしてまた、2人の声と言葉が揃ったのだった。
10
お気に入りに追加
477
あなたにおすすめの小説
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異種族ちゃんねる
kurobusi
ファンタジー
ありとあらゆる種族が混在する異世界 そんな世界にやっとのことで定められた法律
【異種族交流法】
この法に守られたり振り回されたりする異種族さん達が
少し変わった形で仲間と愚痴を言い合ったり駄弁ったり自慢話を押し付け合ったり
そんな場面を切り取った作品です
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。
広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ!
待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの?
「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」
国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる