19 / 27
子供って好きだよね、こういうの
しおりを挟む
手短に、僕はこれから第二の鍵を探しに行くことを掲示板へ書き込んだ。
そしたら、【行ってらっしゃい】の書き込みがされ、流れていった。
「さて、それじゃまた着替えよっか!」
ミカリが僕を見て、今日二度目の変身と相成った。
スカートじゃないだけ良しとしよう。
リアルを追求するため、ミカリがスカートを勧めてきたのだ。
とりあえず、魔法使いのローブを着て、すっぽりとフードを被る。
宿を出てすぐに、オルがこんなことを口にした。
「監視されてるな」
ウェイチが笑う。
「当たり前だろ。
一位のパーシヴァルが見つからないんじゃ、二位以下の俺たちに探りを入れて情報を引き出そうとするはずだ」
僕はそれを聞きながら、マークをつけた方の手帳を開いてちょっと書き込みを付け加えた。
そして、すぐに鞄に仕舞う。
「幻術で撒けるけど、どうする?」
ミカリがオルに訊ねた。
「ま、ヒントくらい与えてやらないと可哀想だろ。
放っておけ」
オルはそう言ったが、そもそも二個目の謎についてはネタバレ防止がされている。
そのため、内容を聞き出そうとしても失敗するのは目に見えていた。
僕達は地図を片手に最初の候補地へやってきた。
勇者の最初の生家からみて、考察厨さん達の世界だとドラゴンの方角にあたる場所である。
ここには何があるのかというと、森だった。
自然公園と呼ばれている森だ。
竹林と同じで遊歩道がある。
一定の間隔で、ベンチも設置されていた。
実はここには、ちょっと珍しいものがある。
パッと見、ドラゴンとは関係なさそうな石像が立っているのだ。
「へぇ、ここ歩けたんだ」
ミカリが楽しそうにキョロキョロしている。
「都市伝説やパワースポットで有名なんですよ、ここ」
僕は先頭を歩きながら、目的の場所を目指す。
「都市伝説?」
オルが言葉を投げてきた。
「えぇ、なんでも没落貴族の埋蔵金伝説があるんです。
まぁ、これは眉唾物なんですけど。
もう一つパワースポットとして、とある噂がありまして。
その噂を耳にした新婚さん、とくにお嫁さんがよく来るらしいんです」
パワースポットと新婚の繋がりがわからないらしい。
無理もない。
なんていうか、下世話な話になるからだ。
「皆さん、この森がなんて名称かご存知ですか?」
率直に言っても良いのだけれど、女性もいるので少し遠回りな説明から入ることにした。
「地図だと【ホードゥアレ】って地名だったな」
オルが答えた。
「えぇ、実はこの地名、勇者がつけたらしいんですよ。
魔王を倒した後に、ですけど。
で、これ意味わかります?」
僕は三人を振り返る。
三人は、僕の質問に首を横に振った。
ウェイチが口を開いた。
「勇者が名付けた地名は多いが、意味は分からないものばかりだろ?」
「えぇ、そうですね。
でも、ここはそうじゃないんですよ。
いえ、勇者の名前にだって意味がありました。
回顧録によると、この地名は元々、テイムしたドラゴンの名前だったらしいんです。
それを少しもじったというか、あえて訛らせたのが【ホードゥアレ】らしいんです。
テイムしたドラゴンには【ホダレ】って名前が付けられていたんだそうです。
最強種であるドラゴンなのに、よくお辞儀をする、頭を垂れていたところから、穀物の稲を連想してこの名前をつけたんだとか。
僕は考察厨さんにこれらを説明しました。
そして、ここには皆さんに先程も説明した通り、新婚の女性が来るんです。
その理由を、考察厨さんに言ったら、爆笑されました」
僕の説明に、三人は意味がわからないと首を捻るばかりだ。
「では、ここになにがあるのか?」
僕は遊歩道の先を見た。
そこには、勇者曰くドラゴンを模して作った石像があった。
可愛さと丸みを追求したがために、全く別のものに見える石像があった。
「あれです」
僕が指さした時、小学生くらいの子達が後ろから走ってきた。
近所に住む子達だろう。
僕たちの横を走って通り過ぎる。
その先頭を走る男の子が、石像を指さしハイテンションでこう叫ぶのが聞こえてきた。
「ほら見ろ!!でっかいチ〇チ〇だろ!?
ほんとにでっかいチ〇チ〇あっただろ!!」
「ほんとだー!!」
「すっげー!!」
「父ちゃんのよりデケェ!!」
「巨人だ!巨人のチ〇チ〇だ!!」
そして、チンチンの大合唱が始まった。
ミカリが顔を赤らめている。
オルとウェイチは爆笑した。
考察厨さんに言わせると、あちらの世界には【ほだれ祭】なるものがあるらしい。
男根信仰というやつだ。
子宝とかそういうのを祈願して行われる祭りらしい。
考察厨さんも、説明しつつ草を大量に生やしていたっけな。
それらを丁寧に説明する。
子供たちが騒ぐのを見ながら、さらに僕は説明を続ける。
「回顧録によると、アレ、どうもテイムしたドラゴンにしようとしたんですけど。
丸みを帯びさせた可愛いデザインにしようと頑張った結果、あの形になったらしいです」
石像は天に向かって、ピンと大砲のような円柱をそびえさせている。
僕たちは石像に近づく。
子供たちはしばらくはしゃいだ後、走って去ってしまった。
特に何も起こらないので、次の場所へ向かうことにした。
そしたら、【行ってらっしゃい】の書き込みがされ、流れていった。
「さて、それじゃまた着替えよっか!」
ミカリが僕を見て、今日二度目の変身と相成った。
スカートじゃないだけ良しとしよう。
リアルを追求するため、ミカリがスカートを勧めてきたのだ。
とりあえず、魔法使いのローブを着て、すっぽりとフードを被る。
宿を出てすぐに、オルがこんなことを口にした。
「監視されてるな」
ウェイチが笑う。
「当たり前だろ。
一位のパーシヴァルが見つからないんじゃ、二位以下の俺たちに探りを入れて情報を引き出そうとするはずだ」
僕はそれを聞きながら、マークをつけた方の手帳を開いてちょっと書き込みを付け加えた。
そして、すぐに鞄に仕舞う。
「幻術で撒けるけど、どうする?」
ミカリがオルに訊ねた。
「ま、ヒントくらい与えてやらないと可哀想だろ。
放っておけ」
オルはそう言ったが、そもそも二個目の謎についてはネタバレ防止がされている。
そのため、内容を聞き出そうとしても失敗するのは目に見えていた。
僕達は地図を片手に最初の候補地へやってきた。
勇者の最初の生家からみて、考察厨さん達の世界だとドラゴンの方角にあたる場所である。
ここには何があるのかというと、森だった。
自然公園と呼ばれている森だ。
竹林と同じで遊歩道がある。
一定の間隔で、ベンチも設置されていた。
実はここには、ちょっと珍しいものがある。
パッと見、ドラゴンとは関係なさそうな石像が立っているのだ。
「へぇ、ここ歩けたんだ」
ミカリが楽しそうにキョロキョロしている。
「都市伝説やパワースポットで有名なんですよ、ここ」
僕は先頭を歩きながら、目的の場所を目指す。
「都市伝説?」
オルが言葉を投げてきた。
「えぇ、なんでも没落貴族の埋蔵金伝説があるんです。
まぁ、これは眉唾物なんですけど。
もう一つパワースポットとして、とある噂がありまして。
その噂を耳にした新婚さん、とくにお嫁さんがよく来るらしいんです」
パワースポットと新婚の繋がりがわからないらしい。
無理もない。
なんていうか、下世話な話になるからだ。
「皆さん、この森がなんて名称かご存知ですか?」
率直に言っても良いのだけれど、女性もいるので少し遠回りな説明から入ることにした。
「地図だと【ホードゥアレ】って地名だったな」
オルが答えた。
「えぇ、実はこの地名、勇者がつけたらしいんですよ。
魔王を倒した後に、ですけど。
で、これ意味わかります?」
僕は三人を振り返る。
三人は、僕の質問に首を横に振った。
ウェイチが口を開いた。
「勇者が名付けた地名は多いが、意味は分からないものばかりだろ?」
「えぇ、そうですね。
でも、ここはそうじゃないんですよ。
いえ、勇者の名前にだって意味がありました。
回顧録によると、この地名は元々、テイムしたドラゴンの名前だったらしいんです。
それを少しもじったというか、あえて訛らせたのが【ホードゥアレ】らしいんです。
テイムしたドラゴンには【ホダレ】って名前が付けられていたんだそうです。
最強種であるドラゴンなのに、よくお辞儀をする、頭を垂れていたところから、穀物の稲を連想してこの名前をつけたんだとか。
僕は考察厨さんにこれらを説明しました。
そして、ここには皆さんに先程も説明した通り、新婚の女性が来るんです。
その理由を、考察厨さんに言ったら、爆笑されました」
僕の説明に、三人は意味がわからないと首を捻るばかりだ。
「では、ここになにがあるのか?」
僕は遊歩道の先を見た。
そこには、勇者曰くドラゴンを模して作った石像があった。
可愛さと丸みを追求したがために、全く別のものに見える石像があった。
「あれです」
僕が指さした時、小学生くらいの子達が後ろから走ってきた。
近所に住む子達だろう。
僕たちの横を走って通り過ぎる。
その先頭を走る男の子が、石像を指さしハイテンションでこう叫ぶのが聞こえてきた。
「ほら見ろ!!でっかいチ〇チ〇だろ!?
ほんとにでっかいチ〇チ〇あっただろ!!」
「ほんとだー!!」
「すっげー!!」
「父ちゃんのよりデケェ!!」
「巨人だ!巨人のチ〇チ〇だ!!」
そして、チンチンの大合唱が始まった。
ミカリが顔を赤らめている。
オルとウェイチは爆笑した。
考察厨さんに言わせると、あちらの世界には【ほだれ祭】なるものがあるらしい。
男根信仰というやつだ。
子宝とかそういうのを祈願して行われる祭りらしい。
考察厨さんも、説明しつつ草を大量に生やしていたっけな。
それらを丁寧に説明する。
子供たちが騒ぐのを見ながら、さらに僕は説明を続ける。
「回顧録によると、アレ、どうもテイムしたドラゴンにしようとしたんですけど。
丸みを帯びさせた可愛いデザインにしようと頑張った結果、あの形になったらしいです」
石像は天に向かって、ピンと大砲のような円柱をそびえさせている。
僕たちは石像に近づく。
子供たちはしばらくはしゃいだ後、走って去ってしまった。
特に何も起こらないので、次の場所へ向かうことにした。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
【なんか】裏山で年代物の宇宙船めっけた件【マスターにされた】
一樹
SF
諸事情でとある惑星にある実家にて一人暮らしをしている少年。
ある日、彼は実家近くの裏山で伝説級の宇宙船をみつけてしまい、勝手にその宇宙船のマスターにされてしまう。
それが、地獄のハジマリとも知らずに……。
2023/1/15
話の順番等ミスをしていたので、1度削除して投稿し直しました。
よろしくお願いします。
【しかも】襲われたところを、ヤンキーに助けてもらった件【暴走族の総長だった】
一樹
恋愛
暴走族の総長に助けてもらった女の子が、彼とお近付きになる話です。
暴走族総長×お嬢様の恋愛モノです。
※基本掲示板だけの話となります。
古いネタが多いです。
島流しなう!(o´・ω-)b
一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。
生き延びるためにスレ立てをした。
【諸注意】
話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。
絶対に真似しないでください。
【緊急】村で人喰いモンスターが暴れてるらしい【事態】
一樹
ファンタジー
サメ映画をパク……、オマージュした異世界パニックモノです。
掲示板話です。
ジャンルにパニックが無かったので、ファンタジーにしてます。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる