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子供って好きだよね、こういうの

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手短に、僕はこれから第二の鍵を探しに行くことを掲示板へ書き込んだ。
そしたら、【行ってらっしゃい】の書き込みがされ、流れていった。

「さて、それじゃまた着替えよっか!」

ミカリが僕を見て、今日二度目の変身と相成った。
スカートじゃないだけ良しとしよう。
リアルを追求するため、ミカリがスカートを勧めてきたのだ。

とりあえず、魔法使いのローブを着て、すっぽりとフードを被る。
宿を出てすぐに、オルがこんなことを口にした。

「監視されてるな」

ウェイチが笑う。

「当たり前だろ。
一位のパーシヴァルが見つからないんじゃ、二位以下の俺たちに探りを入れて情報を引き出そうとするはずだ」

僕はそれを聞きながら、マークをつけた方の手帳を開いてちょっと書き込みを付け加えた。
そして、すぐに鞄に仕舞う。

「幻術で撒けるけど、どうする?」

ミカリがオルに訊ねた。

「ま、ヒントくらい与えてやらないと可哀想だろ。
放っておけ」

オルはそう言ったが、そもそも二個目の謎についてはネタバレ防止がされている。
そのため、内容を聞き出そうとしても失敗するのは目に見えていた。

僕達は地図を片手に最初の候補地へやってきた。
勇者の最初の生家からみて、考察厨さん達の世界だとドラゴンの方角にあたる場所である。
ここには何があるのかというと、森だった。
自然公園と呼ばれている森だ。
竹林と同じで遊歩道がある。
一定の間隔で、ベンチも設置されていた。
実はここには、ちょっと珍しいものがある。
パッと見、ドラゴンとは関係なさそうな石像が立っているのだ。

「へぇ、ここ歩けたんだ」

ミカリが楽しそうにキョロキョロしている。

「都市伝説やパワースポットで有名なんですよ、ここ」

僕は先頭を歩きながら、目的の場所を目指す。

「都市伝説?」

オルが言葉を投げてきた。

「えぇ、なんでも没落貴族の埋蔵金伝説があるんです。
まぁ、これは眉唾物なんですけど。
もう一つパワースポットとして、とある噂がありまして。
その噂を耳にした新婚さん、とくにお嫁さんがよく来るらしいんです」

パワースポットと新婚の繋がりがわからないらしい。
無理もない。
なんていうか、下世話な話になるからだ。

「皆さん、この森がなんて名称かご存知ですか?」

率直に言っても良いのだけれど、女性もいるので少し遠回りな説明から入ることにした。

「地図だと【ホードゥアレ】って地名だったな」

オルが答えた。

「えぇ、実はこの地名、勇者がつけたらしいんですよ。
魔王を倒した後に、ですけど。
で、これ意味わかります?」

僕は三人を振り返る。
三人は、僕の質問に首を横に振った。
ウェイチが口を開いた。

「勇者が名付けた地名は多いが、意味は分からないものばかりだろ?」

「えぇ、そうですね。
でも、ここはそうじゃないんですよ。
いえ、勇者の名前にだって意味がありました。
回顧録によると、この地名は元々、テイムしたドラゴンの名前だったらしいんです。
それを少しもじったというか、あえて訛らせたのが【ホードゥアレ】らしいんです。
テイムしたドラゴンには【ホダレ】って名前が付けられていたんだそうです。
最強種であるドラゴンなのに、よくお辞儀をする、頭を垂れていたところから、穀物の稲を連想してこの名前をつけたんだとか。
僕は考察厨さんにこれらを説明しました。
そして、ここには皆さんに先程も説明した通り、新婚の女性が来るんです。
その理由を、考察厨さんに言ったら、爆笑されました」

僕の説明に、三人は意味がわからないと首を捻るばかりだ。

「では、ここになにがあるのか?」

僕は遊歩道の先を見た。
そこには、勇者曰くドラゴンを模して作った石像があった。
可愛さと丸みを追求したがために、全く別のものに見える石像があった。

「あれです」

僕が指さした時、小学生くらいの子達が後ろから走ってきた。
近所に住む子達だろう。
僕たちの横を走って通り過ぎる。
その先頭を走る男の子が、石像を指さしハイテンションでこう叫ぶのが聞こえてきた。

「ほら見ろ!!でっかいチ〇チ〇だろ!?
ほんとにでっかいチ〇チ〇あっただろ!!」

「ほんとだー!!」

「すっげー!!」

「父ちゃんのよりデケェ!!」

「巨人だ!巨人のチ〇チ〇だ!!」

そして、チンチンの大合唱が始まった。
ミカリが顔を赤らめている。
オルとウェイチは爆笑した。
考察厨さんに言わせると、あちらの世界には【ほだれ祭】なるものがあるらしい。
男根信仰というやつだ。
子宝とかそういうのを祈願して行われる祭りらしい。
考察厨さんも、説明しつつ草を大量に生やしていたっけな。
それらを丁寧に説明する。
子供たちが騒ぐのを見ながら、さらに僕は説明を続ける。

「回顧録によると、アレ、どうもテイムしたドラゴンにしようとしたんですけど。
丸みを帯びさせた可愛いデザインにしようと頑張った結果、あの形になったらしいです」

石像は天に向かって、ピンと大砲のような円柱をそびえさせている。
僕たちは石像に近づく。
子供たちはしばらくはしゃいだ後、走って去ってしまった。
特に何も起こらないので、次の場所へ向かうことにした。
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