97 / 142
スレ民はにはお見通し♡
裏話3 三番目の記憶
しおりを挟む
そして、そう。
これは、ほんの数時間前の記憶だ。
ほんとうに、ついさっきまでの、記憶。
***
ブランとともに実技授業にやってきた。
最初は生徒玄関前の駐車場に集合して、そこから授業を行う森へと転移した。
農高もそうだけど、聖魔学園もどれだけの土地を所有してるんだろう。
まぁ、いいや。
「で、お前は誰と組むんだ?」
ブランが初々しい一年生の集団を見ながら聞いてきた。
一年生の集団は、二年生達をみて怯えてるように見える。
その中で、異物、と言ってしまうとアレだが。
一人だけ浮いてる人物を見つけた。
ディアナだ。
俺はディアナのとこに歩いていく。
ブランがそれに着いてきた。
ディアナがそれに気づき、
「あ、先輩達!
朝ぶりですね!」
そう声を掛けてくる。
彼女は正式に同じ寮に入った。
「おう。
ディアナは、話聞いてるか?」
「もちろん!
先輩と組むんですよね!!」
ちゃんと連絡が行っていたようだ。
ディアナの発言に、一年生達がザワザワし始める。
そして、ディアナへ一年生達から視線が刺さった。
と、そこに、血相を変えた糞担任がやってくるのが見えた。
俺たちのところまでくると、物凄い形相を向けてきた。
「おい、ちょっとこっちこい」
糞担任は、俺の手首を掴んでズルズルとどこぞへ引っ張っていく。
一年、二年の集団から離れる。
と、何故か一年、二年の女生徒を中心に黄色い悲鳴があがった。
と、ふと見るとその中にやけに目を輝かせた一年がいた。
ディアナとは違った意味で浮いている生徒だった。
しかし、すぐに人気のないところに連れていかれ、俺は糞担任に詰問された。
「なんでここにいる?
サボれっつったろーが!」
「え、話聞いてないんですか?
一年と二年の何人かが食中毒になって欠員が出るから、やる気ある子を見学させる訳にはいかないから出てくれって言われたんですけど」
糞担任の顔が、無表情になる。
怖い。
去年の選抜関連の授業の時より、怖い。
「誰だ?」
低い声で訊ねられる。
「はい?」
「誰がお前に、そんなことを吹き込んだ?」
「それは、」
俺は質問に答えようとした。
その時だ。
「あぁ、いたいた。
アール先生、準備整いましたよ。
おや、ヤマト君も一緒でしたか。
ほら、ヤマト君もペアを組んだ子のところに行って。
説明するから」
なんて言いつつ、あの白衣の教師が現れた。
今日は人好きのする、爽やかな笑顔を浮かべている。
この前の不気味さは欠片もない。
糞担任が怖いから、さっさとここを離れよう。
「あ、はい!」
そんな俺を、糞担任が呼び止めようとする。
「おい、まだ話は終わって、」
その糞担任を、白衣の教師が宥める。
「まぁまぁ、アール先生。
これ以上は時間がおしてしまうので」
なんて言ってるのが聞こえた。
振り返ると、心做しか糞担任が白衣の教師を殺す勢いで睨んでいた。
さて、この後。
俺たち生徒は、ペアを組んだ相手と一緒に教師陣からの説明を聞いた。
全員に、聖魔学園の校章が彫られたメダルが配られる。
それをバトロワして奪い合うというものだ。
集めたメダルが1番多いペアが、選抜メンバー候補となるらしい。
舞台となるこの森には、結界が張られメダルを奪われるか辞退を宣言するまで出られない仕様らしい。
説明が終わると、教師陣の手によってランダムに森のあちこちへ転移させられる。
「頑張りましょうね、先輩!」
転移すると同時に、ディアナがそう意気込んだ。
「……ディアナは選抜に出たいの?」
「そうですねぇ。
とてもたのしそうなんで、興味はあります!」
ワクワクとディアナはそう口にした。
と、なると少しは頑張るか。
魔法の使用も許可されてるし。
ノームやおばちゃん達、何よりも龍神族のじいちゃんから畑仕事の合間に魔法教わったし。
少しは使えるはず。
とかやってたら、襲撃された。
魔法を使うまでもなく、顔面と腹にそれぞれ拳を叩き込んで沈めて、メダルを手に入れた。
「先輩、すごぉい!!」
ぱちぱちと、ディアナが拍手してくれた。
……悪い気はしないな。
でもま、一番注意しなきゃいけないのはブランなんだよなぁ。
アイツとは手合わせとかもしたことないし。
魔法が使えて、中学時代は不良やってたっぽいし。
なにより、魔王候補だ。
実力がどのくらいなのか、まったくわからない。
「って、先輩?
なんで鉈なんて出してるんです??」
魔法もそうだけど、武器の使用も許可されている。
ブランと、いつ遭遇するかもわからない。
なので、今のうちに装備しておくに越したことはないないだろう。
「んー、ほら、厄介な次期魔王様に出会った時のための用心みたいな?」
ちなみに、ディアナは錫杖を手にしている。
「ブラン先輩ですか」
「そういうこと。
俺、アイツと戦ったことないから、全くの未知数なんだよ。
魔族とやりあったことはあるけどさ。
ガチの魔王候補じゃん、あいつ。
めっちゃ強いんだろうなって思うし」
とはいえ、今は諸々の事情で力を封印されてるらしいけど。
これは、本人から聞いたことだ。
年末年始に魔界に行って、あの不良たちとのゴタゴタに首を突っ込んだ後、聞いた話だ。
なんでも、魔王候補に選ばれると一般人に危害を加えられないよう、力をある程度封印され、抑え込まれるらしい。
はっきり言ってしまえば、必要以上に弱体化させられるのだそうだ。
それは、魔王を正式に決めるまで施されるらしい。
魔王が決定さえすれば、ある程度まで元に戻されるとかなんとか。
しかし、これでは今回のような授業に支障が出る。
そのため、条件付きで力を限定解除できる術式をブラン含めた魔王候補は体に施しているのだそうだ。
その限定解除でどこまでブランが動けるのか、それが問題だ。
最悪、農業高校における【生ける伝説】とされている先輩、【ウカノ・サートュルヌス】さん並みの強さを想定しておこう。
「なるほど」
俺の説明に、ディアナが納得した。
とりあえず、今のうちに集められるだけメダルを集めた方が良いだろう。
対戦相手との勝ち負けよりも、いかにメダルを集められるかが重要なはずだ。
これは、ほんの数時間前の記憶だ。
ほんとうに、ついさっきまでの、記憶。
***
ブランとともに実技授業にやってきた。
最初は生徒玄関前の駐車場に集合して、そこから授業を行う森へと転移した。
農高もそうだけど、聖魔学園もどれだけの土地を所有してるんだろう。
まぁ、いいや。
「で、お前は誰と組むんだ?」
ブランが初々しい一年生の集団を見ながら聞いてきた。
一年生の集団は、二年生達をみて怯えてるように見える。
その中で、異物、と言ってしまうとアレだが。
一人だけ浮いてる人物を見つけた。
ディアナだ。
俺はディアナのとこに歩いていく。
ブランがそれに着いてきた。
ディアナがそれに気づき、
「あ、先輩達!
朝ぶりですね!」
そう声を掛けてくる。
彼女は正式に同じ寮に入った。
「おう。
ディアナは、話聞いてるか?」
「もちろん!
先輩と組むんですよね!!」
ちゃんと連絡が行っていたようだ。
ディアナの発言に、一年生達がザワザワし始める。
そして、ディアナへ一年生達から視線が刺さった。
と、そこに、血相を変えた糞担任がやってくるのが見えた。
俺たちのところまでくると、物凄い形相を向けてきた。
「おい、ちょっとこっちこい」
糞担任は、俺の手首を掴んでズルズルとどこぞへ引っ張っていく。
一年、二年の集団から離れる。
と、何故か一年、二年の女生徒を中心に黄色い悲鳴があがった。
と、ふと見るとその中にやけに目を輝かせた一年がいた。
ディアナとは違った意味で浮いている生徒だった。
しかし、すぐに人気のないところに連れていかれ、俺は糞担任に詰問された。
「なんでここにいる?
サボれっつったろーが!」
「え、話聞いてないんですか?
一年と二年の何人かが食中毒になって欠員が出るから、やる気ある子を見学させる訳にはいかないから出てくれって言われたんですけど」
糞担任の顔が、無表情になる。
怖い。
去年の選抜関連の授業の時より、怖い。
「誰だ?」
低い声で訊ねられる。
「はい?」
「誰がお前に、そんなことを吹き込んだ?」
「それは、」
俺は質問に答えようとした。
その時だ。
「あぁ、いたいた。
アール先生、準備整いましたよ。
おや、ヤマト君も一緒でしたか。
ほら、ヤマト君もペアを組んだ子のところに行って。
説明するから」
なんて言いつつ、あの白衣の教師が現れた。
今日は人好きのする、爽やかな笑顔を浮かべている。
この前の不気味さは欠片もない。
糞担任が怖いから、さっさとここを離れよう。
「あ、はい!」
そんな俺を、糞担任が呼び止めようとする。
「おい、まだ話は終わって、」
その糞担任を、白衣の教師が宥める。
「まぁまぁ、アール先生。
これ以上は時間がおしてしまうので」
なんて言ってるのが聞こえた。
振り返ると、心做しか糞担任が白衣の教師を殺す勢いで睨んでいた。
さて、この後。
俺たち生徒は、ペアを組んだ相手と一緒に教師陣からの説明を聞いた。
全員に、聖魔学園の校章が彫られたメダルが配られる。
それをバトロワして奪い合うというものだ。
集めたメダルが1番多いペアが、選抜メンバー候補となるらしい。
舞台となるこの森には、結界が張られメダルを奪われるか辞退を宣言するまで出られない仕様らしい。
説明が終わると、教師陣の手によってランダムに森のあちこちへ転移させられる。
「頑張りましょうね、先輩!」
転移すると同時に、ディアナがそう意気込んだ。
「……ディアナは選抜に出たいの?」
「そうですねぇ。
とてもたのしそうなんで、興味はあります!」
ワクワクとディアナはそう口にした。
と、なると少しは頑張るか。
魔法の使用も許可されてるし。
ノームやおばちゃん達、何よりも龍神族のじいちゃんから畑仕事の合間に魔法教わったし。
少しは使えるはず。
とかやってたら、襲撃された。
魔法を使うまでもなく、顔面と腹にそれぞれ拳を叩き込んで沈めて、メダルを手に入れた。
「先輩、すごぉい!!」
ぱちぱちと、ディアナが拍手してくれた。
……悪い気はしないな。
でもま、一番注意しなきゃいけないのはブランなんだよなぁ。
アイツとは手合わせとかもしたことないし。
魔法が使えて、中学時代は不良やってたっぽいし。
なにより、魔王候補だ。
実力がどのくらいなのか、まったくわからない。
「って、先輩?
なんで鉈なんて出してるんです??」
魔法もそうだけど、武器の使用も許可されている。
ブランと、いつ遭遇するかもわからない。
なので、今のうちに装備しておくに越したことはないないだろう。
「んー、ほら、厄介な次期魔王様に出会った時のための用心みたいな?」
ちなみに、ディアナは錫杖を手にしている。
「ブラン先輩ですか」
「そういうこと。
俺、アイツと戦ったことないから、全くの未知数なんだよ。
魔族とやりあったことはあるけどさ。
ガチの魔王候補じゃん、あいつ。
めっちゃ強いんだろうなって思うし」
とはいえ、今は諸々の事情で力を封印されてるらしいけど。
これは、本人から聞いたことだ。
年末年始に魔界に行って、あの不良たちとのゴタゴタに首を突っ込んだ後、聞いた話だ。
なんでも、魔王候補に選ばれると一般人に危害を加えられないよう、力をある程度封印され、抑え込まれるらしい。
はっきり言ってしまえば、必要以上に弱体化させられるのだそうだ。
それは、魔王を正式に決めるまで施されるらしい。
魔王が決定さえすれば、ある程度まで元に戻されるとかなんとか。
しかし、これでは今回のような授業に支障が出る。
そのため、条件付きで力を限定解除できる術式をブラン含めた魔王候補は体に施しているのだそうだ。
その限定解除でどこまでブランが動けるのか、それが問題だ。
最悪、農業高校における【生ける伝説】とされている先輩、【ウカノ・サートュルヌス】さん並みの強さを想定しておこう。
「なるほど」
俺の説明に、ディアナが納得した。
とりあえず、今のうちに集められるだけメダルを集めた方が良いだろう。
対戦相手との勝ち負けよりも、いかにメダルを集められるかが重要なはずだ。
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
【緊急】村で人喰いモンスターが暴れてるらしい【事態】
一樹
ファンタジー
サメ映画をパク……、オマージュした異世界パニックモノです。
掲示板話です。
ジャンルにパニックが無かったので、ファンタジーにしてます。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
島流しなう!(o´・ω-)b
一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。
生き延びるためにスレ立てをした。
【諸注意】
話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。
絶対に真似しないでください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
農民レベル99 天候と大地を操り世界最強
九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。
仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて――
「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」
「片手で抜けますけど? こんな感じで」
「200キロはありそうな大根を片手で……?」
「小麦の方も収穫しますね。えい」
「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」
「手刀で真空波を起こしただけですけど?」
その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。
日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。
「これは投擲用大根だ」
「「「投擲用大根???」」」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる