【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】

一樹

文字の大きさ
上 下
91 / 142
二年生になりました(笑)

裏話10

しおりを挟む
 参った、夏野菜の消費が追いつかない。
 失敗したなぁ、植えすぎた。
 主に、ナスとトマトとキュウリの消費が追いつかない。
 レイド経由で運動部へ渡りをつけてもらい、差し入れしても追いつかないってどういうことだよ。
 今日と明日は休日で、グランドや体育館では様々な運動部が活動をしている。
 ついさっき、その運動部へと配りまわったというのにそれでも減らない。
 むしろ、増え続けていた。
 誰だよ、こんなに作ったの。
 ……俺だった。
 どうしよう、もうすぐ夏休みだし。
 枝豆やオクラだってどんどん出来てくるのに。 
 食べきれないぞ。
 まずい、このままだと腐らせる。

「困った」

 呟いて、何故かそこで四日前に知り合ったディアナの顔が浮かんだ。
 あれから四日が経過していた。
 ディアナの様子についてはエルリーから教えて貰っていた。
 それによると、とりあえずディアナは普通に授業に出席できるようになったらしい。
 嫌がらせも無くなったとか。

「……そういえばアイツ、よく食べるタイプだったな」

 困ったときは頼れ、みたいなこと言ってたし。
 言葉に甘えよう。
 そうしよう。
 思い立ったが吉日で、俺はすぐにエルリーにディアナへの伝言をSNSで頼んだ。
 というのも、俺はディアナの携帯番号はおろかSNSのアカウントすら知らなかったからだ。

 はたして、ディアナはすぐに現れた。
 彼女に白米と夏野菜の料理を振る舞う。
 ディアナは四日前と同じく、ガツガツと平らげた。
 食べつつ、ディアナはなにやら携帯を弄っていた。
 ふと、ディアナの携帯の画面を見ると、なにやら見慣れた物が映し出されていた。

 掲示板だった。
 書き込むとかはなく、読んでいるだけのようだ。
 たしかに、意外と読み始めるといい時間潰しになるんだよなぁ。

 そういや、キーリからなにか連絡きてたな。
 ちなみに、キーリとは農業高校にいた時の友人の1人だ。
 俺はキーリからのメールを確認する。
 おや、これは。
 そこには、近々家畜を潰すから、肉がほしいならお裾分けしてくれるということが書かれていた。
 ついでに、農業高校の方にも顔を出して欲しいということも書かれていた。

 それを見て、思い出した。

 そういや、去年の今ごろは、農高が所有してる山に大量発生したキラーベアやドラゴン、オークやゴブリン退治してたんだよなぁ。
 ちなみに、それが一定のラインを超えるとスタンピードが起こる。
 楽しかったなぁ、農業高校にいた頃は。

 それにしてもキーリのやつ、手伝わせる気だな。
 はっきり書けばいいものを。

 そこで、一気に思い出がよみがえる。
 約三ヶ月弱の、大変だったけどとても楽しかった頃の思い出がよみがえる。

「先輩?」

 俺が返事を打とうとしたとき、ディアナが声をかけてきた。

「ん?」

「どうしたんすか?」

「???」

「あ、いや、その、泣いてません?」

 言われて、目元に触れてみる。
 たしかに、濡れていた。

「あー、うん、ちょっとショボショボする。
 目薬どこやったっけ」

 懐かしさで泣く、というやつだろう。
 まだ一年なのに。
 もう、一年も経過したというのに。
 俺は、また、あの場所時間に帰りたいと思ってしまった。

 楽しくて、ただただ、毎日が楽しくて仕方なかった。
 あの場所に戻りたい。

 そんな思いを、考えを、頭を振って追い払う。
 そこでディアナは話題を変えようと、ことさら明るく言ってきた。

「あ!そうだ!!
 先輩って、去年の交流会に出たんですよね?!
 一人勝ちしたって聞きましたよ!!」

「え、あー、うん」

 それは覚えてる。
 あのクソ担任とか、生徒会長とか、ブランに謀られて出ることになったヤツだ。

「それで、今年も出るんですよね?」

「……は??」

 寝耳に水だ。
 何も聞いてない。
 いや、話がきてないからそういう噂が流れてるのか??

「出ないよ」

「え、でも、二年代表はヤマト・ディケ先輩で確定だって噂になってますよ」

 俺は手をパタパタ振って否定する。

「いやいや、ただの噂でしょ」 

「うーん?
 でも、明後日の実技授業、うちのクラスは先輩たちのクラスと合同になったって連絡来ましたけど。
 なんなら、その授業で交流会に出る人選ぶって聞いてますよ?」

 …………はい??
 え、待って待って??
 たしか、あれって本来は選抜試験があるんじゃなかったっけ??

「え、それ誰から聞いたの?」

「ティリオン先生です」

「誰?それ?」

「白衣を来た先生ですよ!
 私へのネチネチ嫌味攻撃が大好きな!!」

「あ、あー、あの人か」

 あの人、そんな名前だったのか。

「錬金術とか魔法工学とかの担当だったはずです」

 実験が多い授業だ。
 けれど、俺が受けてる授業は担当は違う教師だ。

「へぇ」

 あの教師、嫌味だけの奴だったんだ。
 てっきりもっとヤバい奴かと思ってたけど。
 この前だって、なんかどっかの教室から睨んで来てたし。
 それに、

「…………ブランと同じ匂いがしたんだよなぁ」

 というより、魔界の匂いがした。
 気のせいかもしれないけど。

「何の話ですか?」

 ディアナが、ふと漏れた独り言を聞き取って訊ねた。

「いや、なんでもない、ただの独り言だよ」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

嫌われ魔眼保持者の学園生活 ~掲示板で実況スネーク活動してるんだけど、リアルで身バレしそうwww~

一樹
ファンタジー
嫌われ者が趣味で楽しくおもしろく過ごす話です。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

【しかも】襲われたところを、ヤンキーに助けてもらった件【暴走族の総長だった】

一樹
恋愛
暴走族の総長に助けてもらった女の子が、彼とお近付きになる話です。 暴走族総長×お嬢様の恋愛モノです。 ※基本掲示板だけの話となります。 古いネタが多いです。

【救世主】さぁ、世界を救おうじゃないか少年【プロジェクト】

一樹
ファンタジー
とある少年が、世界が滅んで家族とか全滅して、それをなんとかする話です。 なんとかしようってとこで終わってます。 肥やしにしとくのもアレなんで投下します。 気まぐれに、続きを書くかもしれないので完結設定にはしていません。 よろしくお願いします。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...