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実家帰省編
裏話3
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母親に、学校で結界とか直す勉強しなかったのか?
またもヒステリック気味にそう聞かれる。
本当のことを言っても仕方ないので、まだ習っていないと伝えておいた。
返ってきたのは、やっぱりキーキー声の『ほんっと、使えない』という言葉だった。
言い返したり、推しである弟がなにか言っても余計機嫌が悪くなるだけなので、俺たち兄弟は疲れたアイコンタクトを交わすだけだった。
農業ギルドにも連絡したので、夕方までには職員が来て直してくれるそうだ。
そうこうしているうちに昼になった。
念の為にと、母親が俺に見張り番を言いつけてきた。
これはこのまま忘れられるパターンだ。
よくあるのだ。
おにぎりもってくれば良かったかな、とちょっと後悔した。
ま、いいか。近くに木の実とかなってるし。
食べられる野草も多い。
言えばいいのだろうけど、逆ギレしかされないので昔みたいに言い返すことはもうしたくない。
疲れるからだ。
ほんと、疲れるからだ。
「あとでご飯持ってくる」
さて、何の木の実を食べようか?
そう考えていたら、弟が言ってきた。
おお! 気遣いが出来るようになっている!!
「ん、わかった。待ってる」
そうして、母親と弟を見送った後。
入れ違いで、幼なじみがやってきた。
「お、いたいた! 久しぶり、ヤマト」
手をぶんぶん振ってくる。
振る度に、なんというか、たゆんたゆんと、女性特有の膨らみが揺れる。
ブラジャーの存在意義について俺は紳士な思考を巡らせる。
……こいつ、また胸大きくなってないか?
大丈夫か?
変な男に襲われても、大丈夫か。
こいつ強いし。
「久しぶり、コノハ」
「ほい、差し入れ持ってきた。おばさん相変わらずそうだからさ」
「マジか! ありがとう!!」
持つべきものはご飯をくれる幼なじみである。
渡されたのは、麓のコンビニやスーパーで買ったらしい菓子パンやジュースだ。
二人分ある。
弟の分かなと考えていたら、他ならない幼なじみ、コノハの分だった。
「……痩せた?」
コノハが眉を寄せて聞いてくる。
「環境が変わったからなぁ。ストレスで体重落ちた」
「そっか。
……友達できた?」
「んー、まぁ、一応」
適当な場所に腰を下ろして、俺とコノハは菓子パンとジュースを食べながら、雑談を交わす。
「そっか。彼女はできた?」
やっぱりその辺は女の子だからか気になるらしい。
俺はパタパタと手を振って、
「いないいない、そんなん」
そう答える。
逆に聞き返した。
「お前こそ彼氏出来たん?」
「いないいない、そんなん」
コノハがきっぱりさっぱり答えてきた。
そして、続けて聞いてきた。
「作らないの?」
「無理無理。あの学校じゃ農民はそういうのの対象外だから」
なんて返せば、何故かちょっと安心したような顔をされた。
変な女に引っかかってないか心配してたんだろうな。
こいつ昔からそういうお姉さん的なところあったし。
「そっか、ねぇ、じゃあさ」
コノハが更に続けてこようとする。
しかし、弟が弁当をもってやってきた。
「あ、コノハじゃん。久しぶり」
コノハがジト目でタケルを見る。
そして、返す。
「久しぶり。タケルも元気そうだね」
と、今度は俺を見て、
「んじゃ、うちの手伝いも忘れないでね?
明明後日だから!」
と言って立ち上がり、残りの菓子パンを食べて去っていった。
俺と弟はそんなコノハを見送る。
菓子パンだけじゃ足りないので、弟が持ってきてくれた弁当を食べる。
育ち盛りだからねぇ。午後も頑張らないとだし。
「爺ちゃん達から伝言、今日はとくにモンスターが山奥から出てきてるらしいから気をつけろってさ」
「マジか。わかった」
早く農業ギルドの人来てくれないかなぁ。
またもヒステリック気味にそう聞かれる。
本当のことを言っても仕方ないので、まだ習っていないと伝えておいた。
返ってきたのは、やっぱりキーキー声の『ほんっと、使えない』という言葉だった。
言い返したり、推しである弟がなにか言っても余計機嫌が悪くなるだけなので、俺たち兄弟は疲れたアイコンタクトを交わすだけだった。
農業ギルドにも連絡したので、夕方までには職員が来て直してくれるそうだ。
そうこうしているうちに昼になった。
念の為にと、母親が俺に見張り番を言いつけてきた。
これはこのまま忘れられるパターンだ。
よくあるのだ。
おにぎりもってくれば良かったかな、とちょっと後悔した。
ま、いいか。近くに木の実とかなってるし。
食べられる野草も多い。
言えばいいのだろうけど、逆ギレしかされないので昔みたいに言い返すことはもうしたくない。
疲れるからだ。
ほんと、疲れるからだ。
「あとでご飯持ってくる」
さて、何の木の実を食べようか?
そう考えていたら、弟が言ってきた。
おお! 気遣いが出来るようになっている!!
「ん、わかった。待ってる」
そうして、母親と弟を見送った後。
入れ違いで、幼なじみがやってきた。
「お、いたいた! 久しぶり、ヤマト」
手をぶんぶん振ってくる。
振る度に、なんというか、たゆんたゆんと、女性特有の膨らみが揺れる。
ブラジャーの存在意義について俺は紳士な思考を巡らせる。
……こいつ、また胸大きくなってないか?
大丈夫か?
変な男に襲われても、大丈夫か。
こいつ強いし。
「久しぶり、コノハ」
「ほい、差し入れ持ってきた。おばさん相変わらずそうだからさ」
「マジか! ありがとう!!」
持つべきものはご飯をくれる幼なじみである。
渡されたのは、麓のコンビニやスーパーで買ったらしい菓子パンやジュースだ。
二人分ある。
弟の分かなと考えていたら、他ならない幼なじみ、コノハの分だった。
「……痩せた?」
コノハが眉を寄せて聞いてくる。
「環境が変わったからなぁ。ストレスで体重落ちた」
「そっか。
……友達できた?」
「んー、まぁ、一応」
適当な場所に腰を下ろして、俺とコノハは菓子パンとジュースを食べながら、雑談を交わす。
「そっか。彼女はできた?」
やっぱりその辺は女の子だからか気になるらしい。
俺はパタパタと手を振って、
「いないいない、そんなん」
そう答える。
逆に聞き返した。
「お前こそ彼氏出来たん?」
「いないいない、そんなん」
コノハがきっぱりさっぱり答えてきた。
そして、続けて聞いてきた。
「作らないの?」
「無理無理。あの学校じゃ農民はそういうのの対象外だから」
なんて返せば、何故かちょっと安心したような顔をされた。
変な女に引っかかってないか心配してたんだろうな。
こいつ昔からそういうお姉さん的なところあったし。
「そっか、ねぇ、じゃあさ」
コノハが更に続けてこようとする。
しかし、弟が弁当をもってやってきた。
「あ、コノハじゃん。久しぶり」
コノハがジト目でタケルを見る。
そして、返す。
「久しぶり。タケルも元気そうだね」
と、今度は俺を見て、
「んじゃ、うちの手伝いも忘れないでね?
明明後日だから!」
と言って立ち上がり、残りの菓子パンを食べて去っていった。
俺と弟はそんなコノハを見送る。
菓子パンだけじゃ足りないので、弟が持ってきてくれた弁当を食べる。
育ち盛りだからねぇ。午後も頑張らないとだし。
「爺ちゃん達から伝言、今日はとくにモンスターが山奥から出てきてるらしいから気をつけろってさ」
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早く農業ギルドの人来てくれないかなぁ。
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