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【もう】おまいら、愚痴聞いてくれ【ヤダ(´;ω;`)】

裏話8

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 さて、困ったことになった。
 担任が変わってからは、ちゃんと連絡とかが来るようになって油断してた。

 いや、おかしいとは思ったんだ。
 今回の移動教室の変更の話持ってきたの、他のクラスのやつだったし。
 ちなみに受けるはずだった授業は色々トラブルがあった魔法の合同授業である。
 教室で待ってるように連絡が来た。
 連絡をもらったのも小屋から教室に戻る時だったし。
 とにかく、俺は今、誰もいない二組の教室で俺は暇を持て余している。
 畑に行くかな。こうしてても暇なのは変わらないし。
 しかしそこで思いついた。

 「そうだ、図書室行こう」

 本読み放題だし。
 なんならテストも近いから、テスト勉強するのもありだろう。
 この前範囲配られたし。
 そうと決まれば善は急げだ。

 そうして図書室に来たのだけれど、なんか凄く賑わっていた。
 まだ昼休みじゃないのに。
 調べ物で図書室を使っているクラスがあるようだ。
 気配を消そう。
 俺は空気。俺は空気。
 なんか最近変に視線感じるし。
 いや、自意識過剰かもしれないけど。
 入試の時のこともあるし。
 うん、変なものを見る目を向けられるのも中々精神的にキツいものがある。
 俺は空気だ。
 どこにでもある、空気。
 よし。

 俺は気配を消して静かに図書室に入った。
 あの2週目チート野郎が中心になってなにやらクラスメイト達に説明している。
 人生、楽しそうだな。

 ここ、そういえば小説ってどこだ?
 あ、あったあった。
 この棚か。
 席は埋まってるし、この辺誰も居ないからここで読むか。
 ……ラノベの品揃え充実しすぎてないか?
 なんなんだこの空間、天国か。
 俺は決意した。
 よし、次もここに来よう。
 窓際の壁を背もたれに、ずっと気になっていたラノベを読む。
 世界観に浸り、没頭していたのだが、

 「ひぃっ!?」

 そんなお化けを見たかのような声が、すぐ近くで聴こえてきた。
 意識が現実に引き戻される。
 見ると、あのクッキーをくれた子がガクブルしながら俺を見ていた。

 「あ、すんません」

 「い、いいえ、お気になさらず!!」

 「あの」

 「は、はひ!?」

 「えっとこの前、クッキーくれた人、ですよね?」

 「は、ははは、はひ!
 そうれす!!」

 良かった、人違いじゃないな。

 「とても美味しかったです。ありがとうございました」

 俺が礼を言うと、茹でダコのように顔を真っ赤にしてしまった。
 あー、これ褒められなれてないんだな。

 「えっと、その、こちらこそ!」

 女の子の言葉を受けながら、俺は時間を確認した。
 あ、もう昼休みだったのか。
 2週目チート野郎とそのクラスメイトたちの姿も既にない。
 本読んでると時間吸われるなぁ。
 ということは、この子図書委員か。今日の当番なんだな。

 本、借りようかな。
 いいや、また次来た時に読もう。
 さすがにこれ以上怖がらせるのは本意じゃないし。
 俺は読んでいた本を棚に戻すと軽く会釈をして、図書室から出た。

 それからは図書室でよく過ごすようになった。
 一人になれるし没頭出来るし。
 邪魔されずにマイペースに自習できるし。
 もちろん気配は消してるけど。
 そんなこんなでテスト期間に突入した。
 今週は勉強期間で、テスト本番は来週である。
 図書室も利用者が増えて落ち着かなくなってきたので、小屋でマイペースに勉強していたのだが、何故かその日は校内放送で生徒会長に呼び出された。

 こんな風に公に呼び出すなんて珍しい。
 俺は小屋から出て、生徒会室へ向かう。
 そこで会長直々に訊かれたのが、

 「テスト勉強はどうだ?
 捗ってるかな?」

 という確認だった。

 「うーん、まぁ一応」

 「そうか、もしかしたら間違ったテスト範囲を掴まされたりしてないか気になってたんだけど」

 「それは大丈夫です。
 担任や隣の席の奴にも確認したんで。
 この二人は信用出来ますから」

 「それはよかった。
 なら、その範囲内で不安なところはないか?
 苦手な科目は?」

 「昔から数学が苦手で、こっちに来て初めてのテストですけど赤点覚悟してますよ。
 あと理科と地理、ですかねぇ。
 地理は、国内はともかく外国のやつになると国名と数字が頭に入ってこなくて」

 世間話の延長でそう答えたのが運の尽きだった。
 
 「そうか、なら。これも恩返しの一つとして勉強を見てあげられるが、どうする?
 生徒会のメンバーの命も救ってもらったことだし」

 マジか。
 でも自分の勉強はいいのだろうか?
 聞いていいかわからないので黙っていたら、それが了承と受け取られてしまった。
 いや、ちょっと待て。

 「生徒会メンバーの命?」

 「先日の合同授業で君が助けた一年生の中に、生徒会のメンバー居たんだよ。
 覚えてないか?
 功を焦って、ドラゴンに特攻をかましたバカがいただろう?
 君が飛び蹴りで助けた」

 ???
 あ、あれかな?
 モヒカン、じゃなかったブランと口喧嘩した人のことかも。

 「思い出したか」

 「生徒会のメンバーだったんですね」

 「そういうことだ。彼も彼で君に礼を言いに行こうとしたがタイミングが合わず、会えなかったと残念がっていたよ」

 「それは、なんかすんません」

 「謝らなくていい。とりあえず明日から放課後はここに来てくれ。
 勉強会を開く」

 「了解しました」


 そして、準備万端で受けたテストはなんと全教科満点をたたき出した。
 生徒会長凄ェ!
 将来絶対いい教師になれるよ、あの人!
 俺は彼のおかげで、学年一位をとったのだった。
 ま、すぐに、カンニングを疑われて再試になったんだけど。
 これだけは解せなかった。

 でもいい事もあった。
 再試が終わって解放された後、図書室に行くとあのクッキーをくれた女の子がいて、とても純粋な笑顔を俺に向けて、学年一位になったことを誉めてくれたのだ。
 カンニングを疑われただけに、これには癒された。
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