上 下
9 / 13
第一章:単眼少女の誕生

05.面接即採用ってなによ!

しおりを挟む
 私は二階の面談室に通された。そこは面接用の家具が一式置かれているだけの合理的な部屋だった。でも壁に無数の孔が開いているのが気にはなったが。そこで待っているとごく普通の男のように見えた。

 「はじめまして、私はこの店のオーナー兼マスターの山下雄三といいます。今日は面接に来ていただきありがとうございます、では履歴書を拝見します」

 そういって、彼は履歴書を見てからいろいろな説明と質問をした。こういったところは何処でもやるような事だった。だから変とは思わなかった。でも、後半になってから気になっていたことを聞いてから話がおかしな方向へといってしまった。

 「あのう・・・この店の従業員の方って、みんな着ぐるみ着ておられますが、私も着る事になるのですか?」

 「良い所に気付いたね! そうだよ! 中には人間のままの従業員もいないことはないけど、君は素材として最適だよ。さっきから調べさせてもらったからね」

 素材? 調べさせてもらった? いったい何の事なんだろう? 私の頭の中はハテナマークでいっぱいになった。

 「素材って、食材なのですか?」

 私はおもわず漏らしてしまった。ああ、変な事を言ってしまった。これは不合格よな。それに、着ぐるみを着るなんて嫌だしと思い始めていた。そんな気まずく思っているとドアをノックする音がした。そして中年女性が入って来た、そして耳打ちして何か言っていた。

 「さっそくで悪いけど、君は即採用だ! 今日は都合が良いことに本星から新しい改造キットが届いたところなんだよ。早速君を改造したい!」

 改造? 何の事よ、これはヤバいと直感した。この面談室は後で知った事だけど様々なセンサーによって面接に来た人の内部構造を探っていたのだ。つまりは私は改造素材に選ばれていたのだ!

 「あなた! 包み隠さず言うのは当然だけど怖がっていますわよ彼女。まあ、どっちにしても拒否権なんてないけどね。この地球を守るためにしている事なんですから協力しなさいよ、あなた!」

 奥さんはそういったけど、全然意味が分からなかった。ただ彼女の手は私の両手を掴むとものすごい力で抑え込んだ。そしてマスターは私の首筋に何かチクッとするものを刺した。すると私の身体から力が抜けてしまりだらっとなってしまった。意識を保ったままに。

 「本当は一度家に戻ってから準備して合否を通知してから改造させてもらうところだけど、君の心に拒否反応があったからな。でも、君ほど最適な素材はそうそういないから即採用という事で改造してもらう!」

 この店は採用されたら人外に改造されてしまうところだった。私は面接即採用で改造ということのようだった。私は着ぐるみ店員にされてしまう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー

ジャン・幸田
キャラ文芸
 いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?  徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。

アルテミスの着ぐるみ美少女たち

ジャン・幸田
青春
 様々なコスプレイベント会場でレイヤー、特に着ぐるみ美少女の撮影を趣味としている橘高弘樹はある時、長身の美少女「大岩基美」をしているレイヤーに魅了された。  そのレイヤーの正体は幼馴染で”元恋人”の村城志桜里だった。彼女の”着ぐるみマスター”である謎の中年女性・成海に誘われ向かった先で弘樹は脅威の体験をすることになった!  弘樹はヒロインの真里亜の内臓になって志桜里が内臓になっている基美と百合百合な事をしてほしいというものだった。志桜里との関係はどうなってしまうというのだろうか? (某掲示板でアップしたもののリテイクです。その時のものより大幅に加筆し設定は少し変更しています)

処理中です...