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隔離スーツ措置された!

中編

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 アンドロメデア症候群は厄介な伝染病だった。感染力が弱く感染しても大半は発症しないが、もし発症して死に至った場合、爆発的に感染者を増やすという傾向があった。実際、初期にとある全体主義国家において隠蔽しようとして複数の大都市を失うという災害を引き起こしたほどだ。それに感染してから検出可能になるまで一か月かかるので、その間は完全に隔離しないとならないとされていた。

 「事前に説明したように、感染していたとしても薬物投与をすぐ始めたら大丈夫ですから」

 アズミは用意されていたビキニとヘッドギアみたいなモニタニング装置を自分の身体に装着していた。これがないと、隔離スーツに肉体が癒着してしまうためだ。

 「わかりました! それよりも卒業式でれますよね? ロボットのようになっても?」

 「それは大丈夫です!」

 アズミはサドルのようなものにまたがった。隔離スーツの装着は全てロボットアームで行われる。濃厚接触者になってから真面に人と会った事はなかった。全てモニター越しだった。それは囚人そのもので独居房に入れられているのと一緒だった。だから行動の自由が欲しかった。ロボットの中に隔離されたとしても。

 「はじめてください!」

 アズミはそういったが不安であった。目の前に置かれた女性型ロボットの中に閉じ込められることが。しかし、中に入らなければ卒業式にでれないし、進学も就職もできないけど、卒業式が終わったらロボットして過ごすには確定しているけど。

 ロボットアームによってアヅミの身体は全身を消毒され皮膚がヒリヒリしたが、それは苦痛の始まりであった。次に下腹部の尿管と肛門に太いチューブを挿入されるときは激痛しかなかった。ロボットと物理的に接続される嫌悪感でいっぱいであった。悲鳴をあげようとしたら、口と鼻にも太いチューブが挿入され、全身の皮膚にラバーのようなものを吹きゆけられると全身が熱く焼き付かされる感覚に襲われ、全身を悶えるしかなかった。

 「アヅミさん、表面処理が完了しましたので外骨格を装着します。次に解放されるのが健康体であったらいいですね。それでは幸運を!」

 その言葉にアヅミは恐ろしい気持ちになった。そう、健康体でないのは感染していた場合だ。そうなれば発症して死ぬか、発症しなくてもずっとロボットのままで死ぬまで過ごさなければならないことになる・・・

 外骨格に覆われ各種テストが行われてから数時間後、アヅミは改造室から出ることを許された。ハッチが開くとそこには大きな鏡が置かれていた。そこにはアヅミの身体を覆っている・・・ダークブルーのメタリックボディの女性型ロボットの姿があった。

 「これで終了です。卒業式を楽しんでくださいね。結果が出るのは卒業式がある14時です。その後の事は当日お知らせいたします」


 担当者の声が聞こえたが、それは感染していたら人間としてのアヅミの存在が否定されることを意味していた。
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