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引きこもりの少女の運命は

変な者たち

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 しばらくすると斎場の前に黒いワンボックスカーがやってきた。それは斎場に止まっている霊柩車よりも漆黒の闇を纏った車体にしか見えなかった。私は逃げようとしたけど、母と西岡夫婦に阻止された。

 その車の後部に乗ったけど、中は広々としていたけど、得体のしれない機器も乗っていた。それがなにか分からなかった下、それよりも恐ろしいものを感じた私は「借りてきた猫のように」隅の方に隠れるように座った。母の体を盾にするかのように。

 「友梨ちゃんは、16歳だよね?」

 私は西岡和郎を名乗る男から聞かれた。私は怯えながら静かに首を縦に振った。

 「ほら、友梨しっかりしなさい! ママとあなたの力になってくれるのよ!」

 母の真実はそういって、二人の方に顔を向けろと言わんばかり強引に私の身体全体を向けさせた。すると西岡は医師だと名乗ると分厚い書類を差し出してきた。

 「君は今の生活を変えてみたくはないかい? お母さんだって一生一緒というわけじゃないんだし、自立しなくちゃいけないよ」

 確かにそれは正しかった。母だってずっと元気だと言えないし、引きこもりの生活を一生続けるのも、どうかと思うし。そう思い首を縦に振った。


 「これから君に行ってもらいたいところがあるんだ。そこに行くには署名してもらわないといけないんだ。だから最後のページに署名して」

 西岡医師はその分厚い書類の束の中から一番下の紙を差し出した。そこには承諾書署名とあったけど、その他の紙に何が書かれているのか読ませてもらえなかった。その時、母も同じような書類の束の一枚に署名をしていた。それは何を意味するのかわからなかった。

 署名をすると西岡医師がスマホに何かを打ち込むと、急に車が止まった。そこは民家が疎らなどこかの田んぼの中だった。

 「お二人さんから承諾を得られたので、話を進められるから、入ってくれたまえ」

 そう話したのは別の車に乗っていた白衣を着た女性だったが、やけに無表情であった。すると私を連れ出すではないのよ!

 「何をするのよ! イヤー!」

 私は号泣し始めた、すると私の手がチクッとした。すると私は全身の力が抜けてしまった。


 「とりあえず、別の車に乗って頂戴! ママもあなたと同じようになるからね」

 同じ様になる? 私は一体どういう意味なのかわからないまま、意識を手放してしまった。それが人間の少女だった最後の記憶であった。

 「真実さんも、友梨さんも責任を持って素体化したうえで改造させてもらいます。それにしても友梨さんは怒るでしょうね。人間の姿を卒業するのは」

 そういって白衣の女は別のワンボックスカーに友梨の体を寝台に乗せると着ているものを脱がせ始めた。友梨は人間としての衣服を奪われてしまった、体を機械で覆うために。
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