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第二章:ひとりといっぴきから二人の旅立ち
032.教育実習生だった時!
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次の夢は教育実習の時に実習先の生徒とデートのような事をしたときだった。それは生徒のアサミの自宅近くの駅前商店街だった。
「先生、一緒にプリクラ撮りましょ!」そういってアサミはタクヤの手を無理矢理引っ張ってプリクラのボックスに入っていた。タクヤは満更でもないというか、アサミの勢いに負けていた。
しばらくしてプリントされてきたシールを見てアサミは驚いた。これは高校一年の時のわたしだと。プリクラのシールに写る自分の姿が三つ編みのお下げ髪をしていたからだ。着ていたのは懐かしい高校の夏の制服だった。青いスカートにブルーのラインが入った白いブラウス、そして赤いネクタイだった。当然ネコ耳ではなかった。
「さあ、次はどこに行きますか、付いてきてくださいね」そういってアサミはまたタクヤの腕を引っ張っていた。その頃の自分はまだ世間知らずで怖いもの知らず、無鉄砲までに行動していたことを思い出した。
でも、これって回想じゃないのかなと思った。だって夢だったら途中で変えられるはずだし思い切った行動をすることも出来るはずなのに、出来なかった。逐一、記憶にあるのと一緒だった。たしか、この時写したぷリクラはずっと財布に入れていて、空から墜ちて死んだ時も肌身外さず持っていたと。
「永川さん、そんなにはしゃがなくてもいいじゃない! 僕はネコを連れてきただけだから」タクヤは少し困った顔をしていた。無理もないことだった。七つも年下の女の子に主導権を取られていたからだ。
その時、アサミは次に起きた事を思い出した。たしかお父さんとばったり会ってしまったのだと。
あの時の事を思い出した。たしかゲームセンターを出て、カラオケボックスにでもタクヤに連れて行ってもらいたいなあと、駅前広場を歩いていた時、いつもなら帰ってくるはずのな時間にもかかわらず、帰宅途中のアサミの父の永川広之進とばったり遭遇してしまったのだ。
あの時、本当はアサミが引っ張り出したのに、タクヤが庇ってくれて娘さんを連れ出したのは僕ですと謝罪してくれたこと。その後、広之進が専門の刑事訴訟法の話を持ち出してきて、未成年者を連れまわすと場合によっては犯罪になる場合もあるのだと説教したことを思い出していた。
しかし、分かっているはずなのに夢の中の二人は、あの時をリプレーするかのような行動を続けてしまった。アサミはタクヤの腕を引っ張るようにしてゲームセンターを出てしまった。そういえば、生前の永川亜佐美がこんなに男の人と積極的に付き合おうとしたのは、やっぱり最初で最後だったんだと思った。
「永川さん。そんなに急いでどこに行くつもりなんだ? 君はまだ高一じゃないの!」
タクヤはあの時と同じ台詞を言ったが、本当ならこの時が永遠に続けば良かったのにと思った。もし年齢差を超えてタクヤと付き合っていたら、若くしてアサミは死ぬことはなかったかもしれないし、タクヤもホームレスになることもなかったかもしれない。
だから、高校生だったこの時代が幸せ絶頂だったかもしれない。そういえば、アサミの母も人生で最も輝いているのは、もしかすると高校生の時かもしれないと話していたことを思い出した。
たしかに、そうかもしれなかった。高校生のとき、無限に可能性があるのだと少し信じていたのかもしれない。だからこそ、こうして大学生のタクヤを連れまわせることが出来たんだと。でも、この夢はただの回想なの、それとも・・・
そう夢で思っていたところ、ばったりと父と遭遇してしまった。父の永川広之進教授はいつも大量の書籍と書類を入れたキャリーバックを持っていたので、すぐに分かった。それは相手も一緒だった。
「アサミ! お前いったい何をしようとウロウロしているんじゃ! それに男と一緒とは。いくらなんでも・・・」
「先生、一緒にプリクラ撮りましょ!」そういってアサミはタクヤの手を無理矢理引っ張ってプリクラのボックスに入っていた。タクヤは満更でもないというか、アサミの勢いに負けていた。
しばらくしてプリントされてきたシールを見てアサミは驚いた。これは高校一年の時のわたしだと。プリクラのシールに写る自分の姿が三つ編みのお下げ髪をしていたからだ。着ていたのは懐かしい高校の夏の制服だった。青いスカートにブルーのラインが入った白いブラウス、そして赤いネクタイだった。当然ネコ耳ではなかった。
「さあ、次はどこに行きますか、付いてきてくださいね」そういってアサミはまたタクヤの腕を引っ張っていた。その頃の自分はまだ世間知らずで怖いもの知らず、無鉄砲までに行動していたことを思い出した。
でも、これって回想じゃないのかなと思った。だって夢だったら途中で変えられるはずだし思い切った行動をすることも出来るはずなのに、出来なかった。逐一、記憶にあるのと一緒だった。たしか、この時写したぷリクラはずっと財布に入れていて、空から墜ちて死んだ時も肌身外さず持っていたと。
「永川さん、そんなにはしゃがなくてもいいじゃない! 僕はネコを連れてきただけだから」タクヤは少し困った顔をしていた。無理もないことだった。七つも年下の女の子に主導権を取られていたからだ。
その時、アサミは次に起きた事を思い出した。たしかお父さんとばったり会ってしまったのだと。
あの時の事を思い出した。たしかゲームセンターを出て、カラオケボックスにでもタクヤに連れて行ってもらいたいなあと、駅前広場を歩いていた時、いつもなら帰ってくるはずのな時間にもかかわらず、帰宅途中のアサミの父の永川広之進とばったり遭遇してしまったのだ。
あの時、本当はアサミが引っ張り出したのに、タクヤが庇ってくれて娘さんを連れ出したのは僕ですと謝罪してくれたこと。その後、広之進が専門の刑事訴訟法の話を持ち出してきて、未成年者を連れまわすと場合によっては犯罪になる場合もあるのだと説教したことを思い出していた。
しかし、分かっているはずなのに夢の中の二人は、あの時をリプレーするかのような行動を続けてしまった。アサミはタクヤの腕を引っ張るようにしてゲームセンターを出てしまった。そういえば、生前の永川亜佐美がこんなに男の人と積極的に付き合おうとしたのは、やっぱり最初で最後だったんだと思った。
「永川さん。そんなに急いでどこに行くつもりなんだ? 君はまだ高一じゃないの!」
タクヤはあの時と同じ台詞を言ったが、本当ならこの時が永遠に続けば良かったのにと思った。もし年齢差を超えてタクヤと付き合っていたら、若くしてアサミは死ぬことはなかったかもしれないし、タクヤもホームレスになることもなかったかもしれない。
だから、高校生だったこの時代が幸せ絶頂だったかもしれない。そういえば、アサミの母も人生で最も輝いているのは、もしかすると高校生の時かもしれないと話していたことを思い出した。
たしかに、そうかもしれなかった。高校生のとき、無限に可能性があるのだと少し信じていたのかもしれない。だからこそ、こうして大学生のタクヤを連れまわせることが出来たんだと。でも、この夢はただの回想なの、それとも・・・
そう夢で思っていたところ、ばったりと父と遭遇してしまった。父の永川広之進教授はいつも大量の書籍と書類を入れたキャリーバックを持っていたので、すぐに分かった。それは相手も一緒だった。
「アサミ! お前いったい何をしようとウロウロしているんじゃ! それに男と一緒とは。いくらなんでも・・・」
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