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第伍章:神殿にて
141.夢の中の死
しおりを挟む「なによこれ? わたしなの? でも邪悪なモノを感じるわ! いったいどういうこと?」
その少女の姿は、アサミのように可愛らしさがあったが瘴気のような雰囲気を醸し出していて、服装も悪鬼の如きいかれたものだった。まさに邪悪な者の化身といった感じがしていた。そして、その少女は恐ろしいことを口走っていた。
「この世界を救うためには粛清が必要です! 駆除をもっと進めるべきです、役に立たない民は!」
なんとという恐ろしいことを言うのだろうか? この自分に似た少女は! それにしても、この光景は一体何を意味するのだろうか? アサミは動揺していた。
「この女、狂気の沙汰としか思えないよ! こんな女が・・・なぜ私に似ているのよ!」
その少女の前には、同じく悪鬼のような甲冑のようなものを纏った集団がいた。それはファンタジー映画でみたゾンビ兵士のように干からびていた。少女の言葉に呼応するために立ち上がるとその場を立ち去った、人々を殺戮するために! 外からは人々の阿鼻叫喚の恐ろしい声が響いていたが、その少女は笑っていた!
「止めなければ、そんな恐ろしいことを! でも方法なんてあるの?」
そう思っていたら、その少女の前に一人の騎士みたいな男が立ちはだかった。その男は何かを叫んでいたが意味が分からなかった。そして少女と剣で切り付けると、いともたやすく、その首を切り落としてしまった!
絶命した少女の首は笑った顔をしていたが、アサミと同じだった! 男は、その首を持ち上げると首を無残にも切り刻んでいた、泣きながら!
混乱しているアサミはその顔を見るとさらに混乱した! 昔は憧れでいまは一緒に旅をしている男の顔だった! あれってタクヤなの?
その時、意識を取り戻したがいったい何だったんだろうかと戸惑っていた。するとギウムはこう言ってくれた。
「アサミ、いま夢を見ていたと思うが、あれが意味することは残酷だがそのうちわかることだ。しかし、いまは忘れたまえ! それが現状では最善だ」
そういわれ、しばらくすると何をしていたのか忘れてしまった。
「アサミ、大丈夫か?」
タクヤは腕を掴んでいたが、アサミはきょとんとしてしまった。
「わたしは・・・何が起きたのかな? なにか恐ろしいものを見ていた気がするけど」
「朝から寝てしまったらいけんでしょ! 今日は出来るだけ麓に下りないといけないじゃないの!」
ルンファに促されて、アサミは立ち上がったがさきほどまでの記憶がなかったが、恐ろしい夢のようなものを見ていたのは確かだった。その忘れたものが意味するものかを知ったのは、ずっと先の事だった。
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