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着ぐるみマスク

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 僕の目の前に差し出された着ぐるみのマスクで幼い日の記憶が蘇った。そのマスクを被った大勢の人々が舞台で動き回る姿が! その姿はまるで現実ではない世界から呼び寄せられたようであった。それは着ぐるみショーだった!

 「男の娘ですか・・・それを被ると僕も女の子になれると? それって魔法中華少女のキャラですよね?」

 僕がポロっといったのは、思い出した着ぐるみショーのタイトルで、思い出したのは前半分だけだった。
 
 「そうだよ、彼女はリンメイっていうんだ。私のお気に入りで君のイメージに近いと思って選んだんだよ」

 先生がいうリンメイは確か頭が良くてバトルでは作戦を立てる参謀を務めるのに、変身前は可憐な少女で気が弱く助けてあげたくなるような妹キャラだった。でも、それが僕に当てはまるということらしい。

 「じゃあ、それを被ればすぐに少女になれるというわけですか?」

 そこまで言ったところで僕ははっとした! 着ぐるみ、といったよね? マスクを被ればいいっていうわけではないのだと。たしか着ぐるみさんになるのは、いろいろしなくちゃいけないんではないかと。

 「被ったら、ただのマスカレードなんかに出るだけのものでしかないさ。君には少女になり切ってもらわないといけないんだよ。そのためには、一から仕込まないといけないのさ。そうしないと困るのさ」

 「困る、なにがですか?」

 僕の頭の中では答えはこうなるだろうという事はわかってはいたが、確かめる意味で聞いてしまった。先生は僕を着ぐるみ美少女の姿の中に閉じ込めて、先生の嗜好の餌食にしようとしているんだと。それが分かっているはずなのに僕の心は女の子になれる、嬉しいという感情に支配されていて、なんら手を打とうとしていなかった。

 「それはね、パーフェクトに女の子体験をさせてあげたいからだよ君に。だから、食事が終わったら少し休んでから付き合ってほしい。君をリンメイにしてあげるから」

 それを聞き僕はリンメイのマスクに目をやった。彼女は褐色の大きな瞳にセミロングの亜麻色の髪、そして可愛らしい曲線を描く顔の輪郭をしていた。そのアイドルのようなリンメイになれると思うと心臓の鼓動は激しいビートを刻んでいた。でも、そのときもう一人の自分がささやいでいた。この目の前にいる先生は相当ヤバいのではないかと。たしかに少年を着ぐるみ美少女にしようとする人は真面と思えなかった。
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