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婚約者に要らないとおもわれ追い出された!(サンドラ目線)

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 サンドラを乗せた機帆船はホラス河から王国内を東西に結ぶ運河へ入ったところだった。そこはクモオ公爵領へ続いていた。公爵領に入ったところにあるヴィラの町にある商館へと入った。そこには王国中からの情報が次々ともたらされるところであった。現状把握のためにサンドラはそこにいることを選んだ。

 「ふーん、ネルディ子爵が宰相になるのね。あのお方って誠実だけが取り柄なのにどうしたものかしらね」

 サンドラは王都からもたらされる情報が書き込まれた紙に目を通していた。

 「お嬢様、我がクモオ家ですが本当に取り潰す気のようですね。あんまり面倒な事になると、挟撃されますよ」

 セバスチャンが心配していたのは東西巨大帝国に挟まれたこの王国の行く末だった。緩衝国として存続しているのに、隙があれば併合されてもおかしくなかった。王国はホラス河を挟んで南北に細長く伸びた国土をしており、大穀倉地帯を抱える平原を領土としていた。そんな国だから。

 「そうね、タラス河を境に東西に分断されるでしょうね。まあ、うちはウルディ帝国に忠誠を誓えばいいけどどうなるものかしらね」

 この時、サンドラはオットーの事を想っていた。彼の事は気にならないというのはなかったからだ。だからアルベルトに婚約破棄されたときに彼の顔が心に浮かんでいた。そういえば、彼には婚約者がいたのを思い出した。でもその婚約者は風邪をこじらせてずいぶん前に亡くなったと聞いていた。

 「そうですねお嬢様。ご存じですが帝国から旦那様に内密に話をしているそうですよ。その気があればレオ様を総督府総監にしてお嬢様を皇太子妃にお迎えしたいと。それにしても帝国はネルディ様とアルベルト殿下の企みを知っていたのでしょうね。あまりにも対応が良すぎますから」

 そういってセバスチャンは、金属製の箱のカギを開け美しい封筒を手渡してくれた。そのような扱いをするのは機密性がたかく第三者に知られてはまずいものだといえた。その封筒をペーパーナイフで丁寧に開けて中身を読んだサンドラはひとごとこういった。

 「あら、恋文だわ!」

 それは帝国のオットー皇太子からの手紙だった。
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