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起
2・終わりのはじまり
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一か月前西暦は突然終わった。それまでの人類社会は終止打ったはずだった。でも、2年A組の面々には実感はなかった。それまでと同じ日々が過ぎていったはずだった。違うといえば他の町に行く事が出来なくなり、海外の情報が全く入って来なくなったことだ。ネットで検索しても西暦終了以前の情報しか表示されないし、今起きていることは殆ど表示されず、表示されるのは天気予報のみであった。
日常は強制されたものであった。世界が侵略され横の繋がりは切り離され人類社会は分断されていた。侵略者に対するレジスタンスが出来ないように。だから生徒たちは今までと同じ暮らしを続けていた、この朝まで。
「やはり、きてしまったんだ。俺たちも」
クラスのモブキャラ的存在である結城はつぶやいていた。結城はいじめられたトラウマから目立たない存在になって自分を消していたのだ。その分客観的に観察できてたが、徐々に周囲が変わっている事に気づき戦慄していた。でも、他の生徒たちは気にしないふりをしていた。現実逃避をするかのように。
同じ高校に通ってくる生徒がどんどん減少していた。教師たちも時事ネタを話さなくなり、活力がないようになった。そのうえ若い教師は来なくなり、中高年ばかりになったが、授業は続けられた。生徒は減り続けたから。その理由は誰も知ろうとはしなかった。それがタブーだと分かっていたから。
そして町には人間の姿をしていない者たちが増え始めた。それに比例して人間はいなくなった。それは侵略者の手によるものだと分かっていても抵抗する手段はなかった。日常の繰り返しこそ侵略者に強制されていたから。日常を強制されるのは利用価値のない人間と、利用する準備が終わるまでの猶予期間を与えられた若者であった。そう、結城のクラスもついに侵略者に「改造」される順番が来たわけだ。
さきほどさきほど反抗して構成物質の塊に変換された者を除き29名が連れてこられたのは校庭に止められた円盤の前だった。それでどこかに連れて行くようであった。それぞれの生徒には「改造」された高校生だった「機体」とよばれる侵略者の手下がついていた。奴らは人間であることを捨てていた。奇妙な音声を発していたが、もう意味など分からなかった。
クラス一同の前に円盤の中から出てきたのは若い女だった。その女は一か月前に姿を消した現代文の教師の心石智花だった。顔は変わらないがメタリックな銀色のボディスーツを纏っていた。
「さあ、今日はこれから君たちが機体になる番です! そして仕えるのです!」
智花は侵略者の手下だった。改造、という言葉にその場にいた改造されていない生徒は戦慄した!
日常は強制されたものであった。世界が侵略され横の繋がりは切り離され人類社会は分断されていた。侵略者に対するレジスタンスが出来ないように。だから生徒たちは今までと同じ暮らしを続けていた、この朝まで。
「やはり、きてしまったんだ。俺たちも」
クラスのモブキャラ的存在である結城はつぶやいていた。結城はいじめられたトラウマから目立たない存在になって自分を消していたのだ。その分客観的に観察できてたが、徐々に周囲が変わっている事に気づき戦慄していた。でも、他の生徒たちは気にしないふりをしていた。現実逃避をするかのように。
同じ高校に通ってくる生徒がどんどん減少していた。教師たちも時事ネタを話さなくなり、活力がないようになった。そのうえ若い教師は来なくなり、中高年ばかりになったが、授業は続けられた。生徒は減り続けたから。その理由は誰も知ろうとはしなかった。それがタブーだと分かっていたから。
そして町には人間の姿をしていない者たちが増え始めた。それに比例して人間はいなくなった。それは侵略者の手によるものだと分かっていても抵抗する手段はなかった。日常の繰り返しこそ侵略者に強制されていたから。日常を強制されるのは利用価値のない人間と、利用する準備が終わるまでの猶予期間を与えられた若者であった。そう、結城のクラスもついに侵略者に「改造」される順番が来たわけだ。
さきほどさきほど反抗して構成物質の塊に変換された者を除き29名が連れてこられたのは校庭に止められた円盤の前だった。それでどこかに連れて行くようであった。それぞれの生徒には「改造」された高校生だった「機体」とよばれる侵略者の手下がついていた。奴らは人間であることを捨てていた。奇妙な音声を発していたが、もう意味など分からなかった。
クラス一同の前に円盤の中から出てきたのは若い女だった。その女は一か月前に姿を消した現代文の教師の心石智花だった。顔は変わらないがメタリックな銀色のボディスーツを纏っていた。
「さあ、今日はこれから君たちが機体になる番です! そして仕えるのです!」
智花は侵略者の手下だった。改造、という言葉にその場にいた改造されていない生徒は戦慄した!
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