銀河漂流”四国”

ジャン・幸田

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第一章

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 あの日から一週間が経過していた。四国の周囲はどうなっているのかはわからなかった。でも、四国は震災によって甚大な被害を受けていた。当然人的被害も大きかったが、幸い津波の直撃を免れていたので最小限だったのかもしれない。

 「海が・・・ない!」

 愛媛県庁の職員の友近祐樹は佐田岬半島の端まで調査のために行っていた。海の向こうには九州が見えるはずだが、海は干上がって遠くには巨大な壁が見えていた。その壁の先に何があるのか確かめるために。

 「突然、こんなことになるなんて」

 同僚の越智誠はラジオのチューニングをしていたが、ここに来ても九州のラジオ局の電波を拾えなかった。確かなのはカーナビが全く使えないことと、四国以外とは全く連絡が取れないことだ。愛媛以外の四国にある市町村とは連絡はとれたが、何が起きているのか分からなかった。ただ、確かなのは東西南北とも巨大な壁に取り囲まれているらしいという事であった。その壁に何があるのか、調べようということになった。

 「こんなこと、自衛隊のヘリコプターがあればよかったのに!」

 越智は愚痴をいっていたが、それは出来なかった。地震が起きた直後に離陸した航空機は全て行方不明になっていた。離陸できなかったのは準備が出来ていなかったが、地震によって損傷したものしか残っていなかった。とりあえず、壁の調査は最小限の人数でやることになった。

 「それにしても、県知事がいないのに勝手にやっていいのか? 県会議長は?」

 あの日、四国四県の知事は金沢で開催されていた緊急都道府県知事会議に出席していたため、全く連絡が取れなくなっていた。そのため、臨時の措置として県議会が行政の代行もするという超法規的措置を行っていた。
 

 「いいんじゃないか? そうするしかないだろう。それにしても、いつまで生きていられるかな?」

 友近は気になっていた。この空間はどうなっているのかと。とりあえず降雨も多少あるし空気もあるが、四国の域内にどれだけ食料が資源が残っているのか? そもそも生存者はどれだけいるのか? そしてここはどこなのか、全てこの時謎だった。
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