四番センター「やまもとこうじ」君

練習試合は練習のための練習？

素人集団

　野球部といえばスポコン漫画を出すまでもなく、根性や努力といった精神論が蔓延していた。部員はボーズ、練習はハード、青春は全て捧げるといった感じに。

　でも、ここ姫谷高校野球部は完全に無縁であった。野球部に関係する大人たちの自己満足さえ適えればあとは望みはなかった。この野球部を指導しても甲子園出場するはずはなかった。努力してもカール・ルイスのようにオリンピックで金メダルを取れるようにならないのと同じだと割り切っていた。

　そんな野球部も目標はまず一勝。コールドゲーム負けしないこと、そして放棄試合にならないことだった。去年は部員9人しかいなかったので、ピッチャーが打ち込まれ40点以上取られた上に球数が３００球超えになったので、四回途中で試合放棄した。ようはギブアップしたわけだ。だから今年の目標は試合が成立する事であった。

　そんな姫谷高校野球部の目下の課題は、ルールを教える事だった。特に打ってから三塁に駆け出してしまった山本晃司には。その様子に藤井監督はつぶやいだ。これじゃあ素人集団じゃないかと。