【完結】纏い女!

ジャン・幸田

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ゼンタイ病

09交歓館

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 ゼンタイ病に早く発症するのは実は悪くないという噂があった。その理由はあまり語られることは無かったが、感染したら生殖能力を不能にする以外に発症を防ぐ手段はなかった。

 「先生は感染者でないですか、ここにある様になぜ性的不能者なんですか。お若いのに?」

 グリーン校長は克也の書類を確認して気付いたことを質問した。書類に「非感染者・生殖機能不全」とあったからだ。

 「それですが、詳しい事はお答えできないのですが、僕はとある原子炉事故で猛烈な放射線を浴びたのです。命は助かったのですが、そのような事に」

 「そうなんですか・・・」

 克也はとある秘密組織に命じられてこの島に来たのだが、その任務を明かすことは出来なかった。その任務が終わる時、自分の命が燃え尽きているかもしれないと認識していた。

 そのころ、克也と一緒に到着し早期の発症を望んだ女性は、ゼンタイ病患者が生活するエリアへと向かった。最初の頃は感染原因が分からず完全に隔離していたが、最近の研究で感染は身体を密着して原因寄生虫を移す事が泣ければ大丈夫とされ、生活空間を分けるようになっていた。そのエリアの中に「交歓館」と呼ばれる施設があった。そこで一種の儀式が行われようとしていた。

 「ようこそ、この島へ! もうここから出ていく事は出来ないかもしれませんが、それならば楽しくしていきましょうね」

 そう声かけしてきたのは、部屋の前に座っていた「ゼンタイ女王」と呼ばれる存在だった。
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