AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田

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メグミ誕生

目覚めると

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 栗林めぐみはそのあと分厚い契約書を読まされたが、あんまりにも難しい法律用語や技術用語などが何百ページもあって訳が分からなかった。ただ、わかったのは試用期間三ヶ月衣食住に関するものすべて無料で給料は大学生の平均初任給と同じものと、契約金も一か月分支払いというものだった。めぐみは勘当というか家で同然で東京に出てきてしまったので、住むところが何とかなると安心してしまった。それで契約書に署名捺印したところで意識をなぜか失ってしまった。

 次にメグミが意識を取り戻したときは全身に強い拘束力を感じていた。目を開けようとしても目が明かないし、口の中に何かが詰め込まれている感覚があった。それに呼吸をしているような感じがしなかった。もしかして、これはあの世なのと思ったが、体の感覚はあるようだった。それに下腹部などにも何か入れられている気がした。それで触ろうとしても手も足も動かなかった。

 ”起動せよ!”

 その言葉によって視界が広がったが、目の前に様々なパラメーターらしい数字や文字列がロールされおかしいと思った。目の前にはさっきいた纐纈佳織がいたが、白衣姿だった。メグミは今どうなっているのかを聞こうと思ったけど言葉にならなかった。

 ”・・・・・”

 「ちょっとまっててね、あなたの人工ヴォイスシステムの構築が遅れているからしゃべれないわよ。でも。今のあなたの姿を見せてあげるわ」
 
 そういうと目の前に小さな画面が映し出された。そこにはピンクを基調とした女性型ロボットが映っていた。それは「めかぎゃるず」のエリカによく似ていた。

 ”??????”

 「それはね、あなたなのよ。あなたの身体を素体にしてアイドルロボット”メグミ”を製造したのよ。これであなたもデビューできるわよ」

 ”!!!!!!!”

 メグミは意識がない間にロボットに改造された事に気付いた。そのとき”人工ヴォイスシステム、アップロード完了”と聞こえたので、思ったことをいった。

 「勝手にロボットに改造したのですか? いつそんなことを決めたんですか?」

 メグミは自分の声に違和感を感じた。その声は自分の声ではなかったから。

 「契約書に書いていたわよ。あなたはろぼぎゃるすのメンバーになるための衣装を纏うことに同意したと。まあ、細かい事を説明して逃げられても困るから急いで製造してもらったわよ。あなたがハイペリオン・ホールに来る頃にはもう完成していたんだからね」

 佳織は涼しそうな顔でいった。そんなの当然というような顔で。

 「それよりも、わたしって一生このままですか?」

 メグミは泣きそうだった。アイドルや女優に憧れていたけど、ロボットになりたいなんて夢はなかったのにと。

 「まさか! 書いてあったと思うけど試用期間があるでしょ! とりあえず、そこまでよ。後は考えて決めるね。そうそう、一応人間に戻れるわよ。反抗しなければね」
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