結婚したのに！ 悪役令嬢ってこんな話なの？ メイドにされた処女妻は健気にいくしかない！

宮廷パーティーにて

勉強が増えた！

　わたしが勉強が好きでなかったけど、ここ橘花宮家で過ごした時は女学校にいた時よりも忙しかった。しかも殿下の、人形の啓子の影武者に指名されたわたしは、殿下としての振る舞いが出来るようにと様々な学習をした。しかも多恵が学友としていつも一緒だった。いくら午前中だけとはいえ、家庭教師を雇うのは相当な出費のはずだった。

　「奥様、どうしてそこまで勉強させられるのですか？　宮様の妃の学習にしては内容が変ですわ。敵対国の言葉も教えてもらったり、いろんなことを。どうなっているのですか？」

　多恵は持たされた教科書代わりの書物を相手に復習していた。

　「さあ？　ここの人たちってあんまり教えてくれないじゃないのよ。あの人形の殿下のことも、知らないだけかもしれないしね」

　人形の殿下はあの人形の啓子の事だった。あれから人形にされないが、時々呼び出されていた。

　「それにしても奥様。明日から宮中で学習しろなんておかしいですわね。そんなことをしたら益々人形の殿下だと思われるじゃありませんか？　噂されますわ！」

　「そうねえ・・・」

　私はその時、宮中で開催される建国節とそれに続く宴会などに代理で出席するように申し渡されていた。しかも哲彦と同伴で！　そのうえ人形の姿で！　それらは多恵には言えない事だった。