結婚したのに！ 悪役令嬢ってこんな話なの？ メイドにされた処女妻は健気にいくしかない！

啓子が啓子を着る！

わすれられない感覚（５）

　人形たちに質問しても、あんまり正直に教えてもらえることは少なかった。まあ本当の素顔を隠し続けた人たちなので、真実を隠して言わないというのは当たり前の事だったかもしれない。

　それにしても、わたしの身体は人形の中身になって気持ちよくなっていた。快適に感じるし身体は軽くなった気がするほど軽快に動くのだ。こんなのなら人形のままでメイドの仕事をしたいとおもうほどだった。

　そのあと、いろんな動作の練習をさせられたけど、こんなに身体を動かすことが気持ちいいのかと思うほどだった。結局、人形になって六時間も過ごしてしまった。そのあとはバスタブの中に入れられた青く透明な液体の中に入れられ人形服もお面も外れ元の啓子のわたしに戻った。しかし今度は身体が思うように動かなくなってしまった。

　「どおして、動きずらいのですかあ？」

　わたしは普段ならすぐ着れるメイド服に四苦八苦しながら聞いた。するとチヅルが教えてくれた。

　「それはですね、人形服に頼り切っていたからですわ！　身体がさぼっていたようになっていたわけですわ。しかたありませんわ。そのうち元に戻りますから」

　そういわれ、着替えが終わると三階から追い出されるように返されてしまった。そのとき、階段や廊下をやっとの想いで移動したけど、あの人形にされたときの素晴らしい感覚は身体がわすれられないようになっていた。恐るべし人形たちだことよ！