結婚したのに！ 悪役令嬢ってこんな話なの？ メイドにされた処女妻は健気にいくしかない！

啓子が啓子を着る！

啓子が啓子を着る！（４）

　渡されたドレスはその時人形の啓子が着ていたドレスとよく似ているようだった。そのようなドレスを着た事がなかったわたしが戸惑っていると、チズルとナズナがあっという間に着せてくれた、鏡の前には双子の姉妹のような人形がいた。
　
　「なんか、どういったらいいのか。まるで啓子のわたしが啓子殿下を着る！　みたいなかんじで・・・」

　わたしがしどろもどろに言っていると人形の啓子がズバリ言って来た。

　「気持ち悪い！　とでもいいたいのよね、あなたは！　たしかにそれはわたくしも感じますわ。思った以上にあなたお似合いよ！　そのままずっと人形でいたくなったんじゃないの？」

　わたしは心の中で違う！　といいたかったが身体は人形でいることに順応しているようだった。身体の手足にはシミがなく、美しい光沢を放っていた。そして人形の顔は完璧な美しさであった。

　「そうですね・・・」

　わたしはおもわず姿見に映る人形になったわたしを見つめていた。隣にいる人形の啓子、わたしがいたはずの伯爵夫人の地位に座りわたしをただのメイドに追いやった、どちらかといえば憎い相手の女と同じ姿をしていた。美しい光沢がある青いドレスを纏い、大きくって黒曜石のような輝きを持つ瞳と、白磁器のような肌をしている姿を！

　「とりあえず、合格だね！　あとは少し教えないといけないわね。人形として暮らしていく方法をね。今日は夕食をこちらで召し上がれ！　厨房には頼んでいるから」