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転校先は島!

03.船頭も

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 目の前の女の人がオチンチンといった事が衝撃的だった。でもそういう風にしか、言いようがないからと自分に言い聞かせていた。

 「詳しい事は学校で教えてもらえるけど、その性転換スーツは感覚があるのよ。君でも女の子になって女の子の感覚を体験する事ができるのよ」

 そんな魔法みたいなことが出来るなんて! そう驚いていたが別の感情がこみ上げてきた。それは心ではなく身体によるものだった。船酔いがひどくなり吐き始めたのだ。さっき港の食堂で食べた昼定食が口から吐瀉されて行った。それを見た先生はエチケット袋を差し出して背中をさすってもらった。そしてプレジャーボートを操船していた人に声をかけていた。

 「ごめんなさい、転校生が吐いたのよ! 少し泊まってもらえない? 海原先生」

 するとボートのエンジンが止まり惰性で航行を始めた。そして海原先生と呼ばれた船頭が近寄ってきた。彼は僕の身体を持ち上げたけど、合羽から伸びた手は鱗に覆われていた!

 「か、河童ですか? 妖怪なの?」

 僕は思わず発してしまった。するとクララ先生は笑いながらこう言ってくれた。

 「河童ですって! 違うわよ、彼は半魚人の姿をしているのよ! 海原先生は半魚人スーツを纏う試験をしているのよ! だからしゃべれないのよ」

 「へえ?」

 目の前にいる半魚人の体表はウェットスーツのような光沢をしていた。その光沢を放っているのが鱗のよう、いや本物に近い姿だった。

 「どお、なかなかリアルでしょ」

 「そうですが・・・着ていて暑くないのですか?」

 そのとき、船は海の潮に任せて流され、少し肌寒い潮風に煽られていたけど、着ていたら密着して暑苦しそうだった。

 「大丈夫わよ。うちの学校の生徒や教師が着用するメタモルフォーゼのための各種スーツは生体機能維持装置が付いているからずっと着用しても平気だよ」

 「そうなんですか・・・」

 「そうそう、さっき見せてあげた美少女タイプを君に着せてあげるわ」

 クララ先生の言葉に僕はドッキとした。あんなに可愛い姿に僕でもなれるというんだろうかと。

 「それは・・・でも、お金かなんか要るんですよね? そのスーツって?」

 「その点は大丈夫よ、うちの学校ではスーツは自由に選べるし追加で何かを支払う事はないわよ。でも成績の良しあしでオプションのグレードは上がったり下がったりするけどね」

 「お金・・・いらないのですか? どおしてそんなことが・・・」

 「それはね・・・実物を前にして説明する方がいいわね」


 僕は吐き出して鼻腔や口内が逆流してきた胃酸の嫌な感覚のなかで考えていた。これから行くところはヤバい所ではないだろうかと。
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