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学園に人間は?

09.そういえば安かった

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 この学校の生徒は改造人間ばかりではないかと思った。だって話では生徒はみんななんらかの衣装を身につけないといけないかと思った。その日、着ていたのはジーパンにパーカーにジャンバーという普段着だった。しかも家から持ってきたものといえば使い慣れた文房具、好きな漫画本、そして下着を数点だ。制服やその他の洋服は学校が支給するという事だったけど、その支給というのは無償という意味のようだった。そういえば母が言っていたなあ、全寮制なのに授業料が登校拒否した高校の授業料よりも格安だったと。そういうことは・・・

 「あのう、花さん。この学校の生徒って人間の姿をしてはいけないのですか?」

 すると花さんは頭を掻いて笑い出した!

 「人間の姿よわたしってば、まさかあなた着ぐるみにならないといけないと思っているの? この姿はね強制ではないよ! いまだって着ぐるみの内臓になるのを拒否しているクラスメイトもいるのよ! でも、あなたにも分かるわよ。着ぐるみの内臓になる幸せを!」

 内臓になる幸せ? それって何なんだと思ったが、いろんなことを聞きたかったが何から質問すればいいのか分からなかった。

 坂を上り切ったら、目の前に洒落た白亜のホテルのような建物群と、綺麗なグラウンドが整備されていた。そして周囲は青い海に囲まれているのが分かった。ここが学校の中心部だった。その時、遠くから爆音がこだましてきた。それはヘリコプターだった!

 そのヘリコプターは学校の校舎から少し離れたところにあるヘリポートに着陸した。そのヘリコプターは機種は興味がないので分からなかったが、綺麗な塗装だされていた。中から中年の男性が降りてきた。その男は高そうな背広の上下を華麗に着こなし、隣には秘書のような美人がついていた。

 「先生、あの方は誰ですか?」

 クララ先生は諭すようにこう言ってくれた。

 「あの人はね、ZICCホールディングの最高CEOでこの学校の創設者の弓削理事長よ! 今日はあなたと面談するために来られたのよ!」

 僕は驚いた。ZICCといえば21世紀に入って急激に成長した企業グループで、グループ全体の売上高はちょっとした国のGDP以上だと聞いたことがあった。そんな大企業のお偉いさんがなんで僕なんかを面談しにくるというのだろうかと。
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