人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田

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【2】少女人形店員

1・無理!

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 とある町の有名なお菓子店の経営者の娘であった真希は、どちらかといえば自由奔放すぎる高校生だった。茶髪だし私服の時のパッションは奇抜であった。おかけでお菓子店の方には従業員も含め来ないでくれという始末だった。そんな彼女に父親が店を手伝ってくれというのだ。普段は工場を手伝う事が多いというのにである。

 「真希、明日はイベントなのは分かっているな。実はこの衣装を着て盛り上げてくれ。そうそう、一切しゃべらなくてもいいから」

 父はそういうと、衣装が置かれている部屋に真希を連れていった。そこに店に従業員の下村春香がいた。彼女はごく普通の店員といった印象しかなかったので、ここにいるのが不思議だった。

 「お前は着ぐるみってしっているか?」

 「着ぐるみって、パンダやウサギなんかの?」

 「いや、そっちじゃなくて人型のほう?」

 「人型?」

 なんとなく嫌な予感がしてきた。その予感はすぐわかった。大正時代の女学生が着るような和服の横にお面があった! それって美少女着ぐるみ?

 「これってアニメ風の着ぐるみ美少女? これを着ろっていうのか?」

 「そうだ、それなら話がはやい。お前はうちの店の雰囲気に合わないだろ。でも、これを着ればピッタリだろ! そうそう、バイト代ははずむから、いいだろ!」

 「無理! 無理! 無理!」

 真希は拒絶反応を引き起こしていた。あんな人形になるなんて嫌よと!
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