人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田

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【1】アルバイト

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 そのパンフレットには可愛らしい容姿の女の子の写真が印刷されていた。それはアニメみたいだったが、背景がどこかのステージみたいだった。だから実写のようにも思えた。

 「これは?」

 「マジック少女隊キャワイイ・フォーです。ご存じないかもしれませんが、まあ戦隊ヒロインものでして大きなぬいぐるみです」

 それが着ぐるみ美少女との初めての出会いだった。この当時はまだぬいぐるみショーなんて言い方をしていた。

 「なんか・・・可愛いですね」

 俺の心に何かが突き刺さっていた。でも、その時はその正体は分からなかった。

 「まあ、君にやってもらいたいのは、そのキャラクターに立ち向かっていく戦闘員と舞台裏の手伝いでして。拘束時間は朝9時から夕方の6時まで。休憩は1時間あります。給料は最終日に現金で支給します・・・」


 担当者からアルバイトの説明を受けても上の空だった。そんな状態でも応募者が少なかったのか、採用された。あまりにも短期だし、炎天下の夏に着込んで仕事をするなんて敬遠されたのかもしれない。でも、それが俺の人生の方向性を狂わせたのは間違いなかった。
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