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プロローグ

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 王都から離れたとある公爵家の旧領地にそれはあった。「全て奪われた悲劇の令嬢ジャンヌ」の墓が。

 彼女は父の命を奪われ、婚約者を奪われ、そして公爵家の継承者の地位も貴族の身分も奪われた。その直後、彼女は消息を絶った。

 一般には失踪宣告によって死亡認定されたが異説もあった。彼女は父の命だけでなく全てを奪ったものたちによって、その命を奪われたと。それによれば見知らぬ土地に連れ出され、殺害されたのちうえに遺体を何らかの方法で消滅させたという。遺体の痕跡は消滅したので彼女は殺されたという実証はできないという。

 しかし彼女は生きていた! 彼女は復讐したうえで別人として天寿を全うしたという。この物語は彼女の身に起きた出来事である。
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