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(5)人形娘教育

050.鵺の紋章

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 「それにしても、私の胸ってこんなに大きかったかしら? さてはエロ親父娘を巨乳に調整したわけか? でもよく見ると私すこし格好いいかしら」

  そういって幼い子供が親に買ってもらった新しい洋服を着て最初にはしゃいでいるように、自分の姿を見入っていた。ナオミの大きな胸と腰は紫色をした硬質な素材で出来たアーマーで覆われ、肩にはプロテクターがあった。また腰の切れ込みは大きく、胸元も強調するデザインであった。

  一方のリエのほうは、ピンクの色違いのアーマーだったが、腰にミニスカートのような布が垂れ下がっていた。それを見ていると胸元に様々な生物がくっついたような奇妙な紋章が描かれていた。その紋章はナオミの方にもついていた。

  「リエ、この紋章は一体何の意味があるの」

  「それは鵺ぬえですわ。サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足、尾はヘビなのですわ。総統陛下の紋章ですわ」

 「鵺の紋章?」と言ったところでナオミの言葉が途絶えてしまった。電脳に規制コードとする信号が流れたからだ。それにしても、人形化とともに脳も電脳に変換されたが、自分の脳なのでしゃべらなければ色んな事を考えられたのに、”総統”にからむことについては規制があるのは間違いなかった。

  「なに、やっているのよ。これから課題をこなしなさいよ」

  目の前にそのような言葉をしゃべるネコが飛び出してきた。昔みた「不思議の国のアリス」のチェシャ猫みたいだ。しかし、今いるのは人形娘のための仮想現実なのに何故って思った。

  「ナオミ、リエ。私はあなたちの教官のアンナです。このまま漠然と冒険させていき気ありませんからね。取り合えず出発ね」

  そういうと、二人の人形娘とチェシャ猫いやネコのアンナは出発した。それにしてもビキニアーマーを装着したアニメ顔にネコのパーティーというのは、そんなアニメがあったような気もあるような、ないような。と考えるナオミだった。それにしても、一体何の意味があるのだろうかと考え込んでしまったが、しかたなくネコのアンナについていくことにした。

  そのころアンナは人形娘七号と十三号と一緒にバーチャル演習を行うシステムに接続していた。三人はナオミとリエと違い、システムとシンクロしていても、現実世界に意識が取り込まれていなかった。一方の二人の人形娘はメイド服の上から緊縛され、天井から吊るされていた。しかしその手足は動いていた。そう、人形娘の身体はバーチャルの中と同じ動きをしていた。

  この時、モニターをしているセーラー服姿の人形娘は接続プラグを手につけてモニターを見ていた。二人は美少女風のリアルなマスクをしていたが、動きは機械そのもののようであった。

  「アンナ教官。二人は行動を始めましたが、シナリオの決定はランダムにしますか?」

  「七号、それじゃシーン4まではランダムでお願い。ただ最終シーンはあなたに妖怪タイプ583を操作してください。万が一失敗したら直してあげますからね」

  「はい判りました、仰せのようにします。ところで私の次のメンテナンスはどうなりますか?」

  「あなた、たしか人形娘として再生されて五年経つよね? 元のように戻らない事に変わりないけど、最新型のプログラムに更新するわ。まあ、あなたの元の姿を知っているから」

  この時、アンナは七号の事を思っていた。七号の正体は芝草杏奈の実の妹だった芝草寛奈だった。彼女は『総統』のある研究機関で発生した事故に巻き込まれ殉職したので、使える細胞をナノマシーンで機械化細胞に変換して人形娘に再生されたが、ただの操り人形にすぎなかった。そのため”カンナ”という固有名称すら与えられていなかった。

  そこでアンナは徐々にプログラムのバージョンアップを行い、最終的にカンナの意識に近い人形娘に調整しようとしていた。
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