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(6)嫌な男!

069・嫌な男!

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 ナオミは長時間セックスの洗礼に耐えていた。「鵺の会」によって戦闘員などに改造される運命の男女と耐久試験を兼ねて相手をしていたからだ。このときナオミはひとつの機械の駒にしかすぎなくなっていた。もっともナオミのような人形娘は組織からすれば数多くある駒のひとつでしかなかったが。

 「ナオミ、いまのところ機能に問題ないな! 次の相手をだすから」
 父の大桃所長は容赦なく次の相手を部屋に入れた。このときナオミの内臓たるオリジナルの大桃奈緒美の心は折れそうになっていた。いくら身体が人工物にされ、脳もまた電子化されても心までは完全に機械化されていなかっらからだ。

 「ホントーに親父のヤツ、人の気持ちなんか関係ない! といった態度なんだから。あっ、でもわたしって今、人形なのよね。人間の心を持った人形なんだ。でもセックスがこんなに気持ち良いなんて」

 ナオミはそう感じていたけど、実際にはそのように気持ちよくなるようにと調整されていたのだ。本来の奈緒美はセックスどころか異性に対して接する事にためらいがあったからだ。

 人形娘に改造される前に、父とリエに強姦されたけど、それまでは処女だった。ただそれを失う寸前までいったことがあった。同級生の酒井忠則にクリスマスに襲われそうになった時にだ。それまで奈緒美は男の部屋に行くという意味をしらなかったのだ。本当に無用心な対応であったし、まだそこまでの覚悟も度胸もなかっただけであるが。

 そんな奈緒美も人形娘ナオミになってしまったら、身も心も人形そのものになってしまうこともあった。今のナオミはただのセクサノイドに過ぎなかったのだ。

 そのセクサノイドの中核になっているオリジナルの大桃奈緒美は完全にフリーズ状態だった。いまは完全に自動モードになっていた。大桃奈緒美は感じてはいても自分がやっているものだとは思ってもいない傍観者のような感じであった。
 簡単に言えば、ラブシーンのあるエッチな映画を4D対応の映画館で見ているのと一緒だった。ナオミという人形がエッチなことを戦闘員や改造素体と戯れているだけだと、覚めた目で見ていたわけだ。

 しかし、そのフリーズ状態が解ける瞬間がやってきた。素体ナンバー002028とのセックスを始めたときだ。このとき奈緒美の意識がセクサノイド・ナオミの中で息を吹き返したのだ。

 「このデータって、まさか酒井くんなの? なんでわたしこんなヤツとエッチしないといけないのよ?」
 そう、この改造素体は奈緒美の貞操を奪おうとして失敗した上、人間不信にしてしまい引きこもり少女にしてしまった張本人だった。

 「いやよ、こんな愛のないセックスは・・・でも、いまわたしはセクサノイドよね。ただエッチな事をするだけの人形でしかないわね。だから、こうして彼とセックスするしかないんだよね」

 ナオミは奈緒美の想いにお構いなく、素体ナンバー002028を受け入れてしまった。そして激しく密着し始めた。その快感と一緒に奈緒美は精神が崩壊しそうな感覚に陥ってしまった。

 人形娘に改造されたため、オリジナルの大桃奈緒美は既に存在していなかった。だから人形娘ナオミに現われた奈緒美の人格はオリジナルよりも積極的で性的欲求が強く、また強靭な精神力が添付されていた。だから引きこもり少女になる原因を作った男を目の前にしても動じないばかりか、自分のほうからアタックしようとしていた。

 「大桃! お前、そんなに積極的にアプローチするようになったのか?」
 黒い全身タイツ姿みたいな男、そう奈緒美を引きこもり少女にしてしまった原因だ。さっき奈緒美がいったように女垂らしもただの戦闘員よりも下っ端にしか見えない状態だった。

 「あんたこそ、女を性欲の捌け口の道具にしか思ってこなかった報いよ! 後で聞いたんだから、あんたはわたしに逃げられた後で別の同級生を呼んできてエッチしていたんだって! その女てわたしの代わりなんかよ!」
 激しく罵る奈緒美であったが、外見は可愛らしい表情を浮かべた人形娘ナオミなので違和感が漂っていた。これには大桃秀夫所長も苦笑するしかなかった。しかし、それでもなお続けろと指示を出していた。

 アンリ教官は戸惑っていた。これに何の意味があるのだろうかと・・・考えられるのはただ一つ、娘の無念を晴らそうとしているのかも! その時、奈緒美は忠則の上に覆いかぶさった。さっきまで、嫌で仕方なかった忠則に対してだ。

 「ほら、あんた。わたしの身体をクリスマスに食べたかったんだろ! いま、こうして味あいなさいよホラ」

 「そういっても、お前いま人形だろ? そんな女抱けるかよ! あの時みたいにウブな感じならいいけど、いまはただのラブドールだろ!」

 「ほう、やっぱそうきますか。下等戦闘員の分際で! 人形娘はラブドールだけじゃなく戦闘用にもなるんだから、あんたよりも数段上よ!
 わたしもさっきまであんたとのセックスが嫌でたまらなかったけど、その女を抱いていたのはどこの誰よ、あんたでしょ! わたしは人形娘だけど、あんたよりも高性能に改造されているんだからな」

 すると、奈緒美は近くでモニタリングをしていたテクニカルウーメンのハルカを呼び出した。ハルカは設定上ナオミの指示に応じるようになっていた。

 「ハルカ、この男のあそこに電撃銃を撃ちこみなさい! 遠慮せずに」

 「はい!」

 ハルカは心の中で二人が何痴話喧嘩しているんだよと呆れてみていたが、ナオミの指示には逆らえなかった。ハルカは全身を全身タイツにウィッグ、ビキニアーマーといった青い素材に覆われていたので、どちらかといえば忠則に近い外観だった。

 ハルカが電撃銃を撃ち込むと命令されるままに忠則を奈緒美と一緒にいたぶり始めた。この時の奈緒美は人形娘の姿のままで大桃奈緒美に戻って復讐したわけだった。二人の虐待行為に忠則はなすすべなく苦しみ続けた。

 ハルカは命じられるままに忠則と性交していたが、命令されるがままとはいえ、いま自分が快楽にふけっているのが嬉しくて仕方なかった。もし、改造前だったらこんなことをさせられたら恥辱にしか感じなかったはずなのに。

 それからしばらくして、アンリによって二人の制御サーキットが再起動したが、奈緒美は気分よく元のナオミに戻ったが忠則はボロボロになっていた。そのためアンリは忠則をどうするか大桃所長に聞いていた。

 「さっきと素体どうしますか? とりたてて優秀ではなかったのですが実験素材という事で選抜されたようですが・・・」

 「あんな、うちの娘を引きこもりにしたようなヤツはな・・・そうだな。たしか性転換実験があったな。あいつを、その実験体に送り込んでしまえ! あんな女垂らしには女になってしまえばいいんだ!」

 「はい!」

 ボロボロになった忠則は、意識を失わされた後そのまま素材チューブに入れられてしまい、いずこかに搬送されていった。その後もナオミの稼動実験は続けられたが、大桃所長は心の中でこうつぶやいていた。

 「あんな男に引きこもりにさせられなかったら、奈緒美を人形娘に改造しなかったのに!」


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