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人形娘故郷へ

お父さんお母さん?

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 わたしは夢を見ていた。人形娘に改造されていても夢はみれるのだと分かったのだけでもうれしかった。すくなくとも恐れていた今の自我はただのプログラムではないという証左だからだ。

 わたしは両親のお墓詣りをしていた。その墓は先祖代々の墓地にあって、急峻な山村の林の中にあった。ただ、両親のお墓は生前営んでいた事業の整理で財産が殆ど残らず、立派な墓を作ることが出来ず、簡単なものだった。

 その時の姿は、白いワンピースに麦わら帽子、そしてショートカットの髪に丸顔で細い眉毛、そして白い素肌・・・あれ、わたし人形ではないわ! あまり美人ではないけどそれなりにかわいいと言われていた時の姿だ。

 少しだけうれしくなったわたしはそのまま坂道を下って行った。そして父の実家の敷地に入った。そこは廃屋になっているはずなのに、なぜか人の気配がした。不審に思ったわたしは家に入ってみた。そこは懐かしい光景が広がっていた。

 幼い頃に亡くなった祖母が食事の用意をしていた。そして仏壇には多くのご先祖様に供えた食事が並んでいた。この光景はお盆の光景だった。でもいまのわたしの姿は大人になっているはずと思ったら、いつの間にか小学生ぐらいに背が縮んでいた。

 「香奈、お前どこにいっていたんだよさ。さあ、仏様に手を合わしんさいや。それが終わったらみんなで食べようや」

 祖母に促されて手を合わせていると後ろから近づく気配がしたので、振り返ってみると両親だった! でもさっきお墓参りにいったのではないの?

 「香奈、お利口さんよね。みんなで食事を頂きましょうね」

 それは母だったが、姿は若かった。って、事はタイムスリップしているって夢なのかなそれとも?

 そう思ってはいたが、普通に食事をすることにした。それにしても夢の中で夢とわかっているのも変だった。でも言い出すのは忍びなかった。だって家族に夢の中で再会したのだから。

 「ところで香奈? お前の将来の夢ってモデルになることだったんだろ? 何か努力しているんかい? それとも実現した?」

 父が唐突な事を言い出した。確か小学生の頃に言った事があったけど、背も高くないし愛媛の田舎なので、どうすればいいのかわからないので諦めていた。

 「それはねえ、実現しなかったわ。でも・・・」

 ここまで言ったところで人形娘ってなんだろうと思った。あれって人の身体を材料にしたものだから、なんていえばいいんだろう?
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