ロボットウーマン改造刑を受けた少女

弐：ロボットウーマン希美はメイド少女

２－５ もしかするとマスターは

　希美は自分のようなロボットウーマンをメイドとして雇う事が意外だと思った。なぜなら、これほどの豪華な寝室で暮らし多数のメイドなどの使用人を雇っているマスターなら、もっと美しくオーダーメイドされたロボットを用意することなど容易いと思ったからだ。

　希美の外骨格ボディーは量産品であった。これは人間を大量に機械に改造するために生産された部品の一つであり、デザインも元の希美のボディラインにフィットしているとはいえ、シンプルであった。またボディーカラーも紺色であった。その紺色、若しくは黒色といったカラーディングは安物のロボットの代名詞でもあったからだ。

　村城メイド長はタブレットで色々情報を入力していた。その情報は全て希美の電脳にフィードバックされていた。要はこの男をマスターとして認識し、奉仕し尽くしていく事をプログラミングをしているわけだ。

　「初めまして私は希美です。今日からこちらでお世話になります。何なりとご用をお申し付けください」

　すると男はベットから体を少し持ち上げ 喋り始めた。これからしゃべろうとしている情報は全て希美の電脳にフィードバックされていたのは分かっていたが、それは儀式儀礼的なものには変わりなかった。

「僕の名は綾部ヘルムートだ。まあ呼び捨てでも行っても構わないけどね。まあご主人様と言われるのは少々億劫だからの見ての通り！　僕は病人ですから頼みますね」

　歳の割にはこの男は 少しおじさん臭い言い方をするなと希美は思った。与えられた情報によれば年齢は20歳で希美とそういうほど歳は変わらなかった。

　でも何者だろうこの屋敷を一人で 使うだなんて？　細かい個人情報は一切まだ与えられていなかったのでただ不思議で仕方がなかった。

　「希美、今日からあなたの仕事はヘルムートさんの看病です ！　夜の間は一晩中付の付き添いなさい！　それと出かける時も一緒ですからね。
　あなたはヘルムートさんにのそばを離れてはいけません！　必要なメンテナンスは昼間の時間に行いますから、問題ありませんから」

　村城メイド長の指示に希美は不思議であった。自分のような汎用品の安物のロボットをメイドとして一緒にいて、何が楽しいかと思ったからだ。もし自分が男だったら、もっと可愛らしいロボットメイドを用意するのではないだろうか？　それが男というものではないだろうか？　そう希美が思っているとヘルムートはこんなことを言い出した。

　「僕は人間というものが少し嫌いになってきたのですよ。それでロボットが好きなのですが、やはりこういった君のような無機質がロボットに一緒にいたいと思うのです！　ですからよろしくね！」

　それを聞いた時、希美はこんなことを思った もしかするとこの人って、ロボットフェチではないだろうか？　と。