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 アンドロメデア症候群は厄介な伝染病だった。感染力が弱く感染しても大半は発症しないが、もし発症して死に至った場合、爆発的に感染者を増やすという傾向があった。実際、初期にとある全体主義国家において隠蔽しようとして複数の大都市を失うという災害を引き起こしたほどだ。それに感染してから検出可能になるまで一か月かかるので、その間は完全に隔離しないとならないとされていた。

 「事前に説明したように、感染していたとしても薬物投与をすぐ始めたら大丈夫ですから」

 アズミは用意されていたビキニとヘッドギアみたいなモニタニング装置を自分の身体に装着していた。これがないと、隔離スーツに肉体が癒着してしまうためだ。

 「わかりました! それよりも卒業式でれますよね? ロボットのようになっても?」

 「それは大丈夫です!」

 アズミはサドルのようなものにまたがった。隔離スーツの装着は全てロボットアームで行われる。濃厚接触者になってから真面に人と会った事はなかった。全てモニター越しだった。それは囚人そのもので独居房に入れられているのと一緒だった。だから行動の自由が欲しかった。ロボットの中に隔離されたとしても。

 「はじめてください!」

 アズミはそういったが不安であった。目の前に置かれた女性型ロボットの中に閉じ込められることが。
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