燃えよ、ロボ魂!!

結城藍人

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第293話 勇者王ガオガイガーFINAL(2000ー03年/05年)

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 復活第2回から、いきなり定期更新に失敗してしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。

 さて、今回のお題は、あの大名作『勇者王ガオガイガー』の正統続編であるOVA『勇者王ガオガイガーFINAL』(以下FINALと略記)です。

 前作『ガガガ』に魅了された私は、本作の制作が発表されると同時に、即座に購入を決めていました。OVAをDVDで第1巻から最後まで購入して見たのは本作が最初にして最後です。それまではレンタルで見ることはあっても、購入まではしませんでしたから。

 なお、本作は完結後の2005年に再編集されてTVでも放送されています。こちらも一応は見たと思うのですが、記憶に残っていません。もしかしたら、スルーした可能性もあります。

 なぜなら、私は本作に、前作ほどの魅力を感じなかったからです。

 もちろん、つまらないわけではないです。面白かった。そうでなければ、いちいち金を払って全話DVDを購入したりはしません。

 しかし『ガガガ』が良すぎた。それに比べると、どうしても劣って見えてしまったのです。

 実のところ、OVAだけあって作画レベルは本作の方が前作『ガガガ』より上です。

 そして、ストーリーも「子供向けTVシリーズ」の枠から解き放たれて、より高度でハイターゲット向けになっています。

 しかし、実は私は「それ」こそが、本作が前作『ガガガ』にあった魅力の一部を欠損してしまった原因なのではないかと思っています。

 このことについて、まず前半主役ロボである「ガオファイガー」について語りながら論じたいと思います。こちらは、正式名称は「ファイティング・ガオガイガー」なのですが、それを略してガオファイガーということになっているのだそうです。

 こちらは、ギャレオンが護と共に宇宙に旅立ってしまったので、ガイガーの代わりとなる小型ロボ「ガオファー」が中心となって、「ステルスガオーⅢ」と「ライナーガオーⅡ」と「ドリルガオーⅡ」とファイナルフュージョンすることによって完成します。

 その中核となるガオファーですが、ファントムガオーという普通にカッコ良い戦闘機から変形します。光学迷彩機能を搭載しています。

 そして、ステルスガオーとドリルガオーは新型にこそなっていますが大きな変更は無いのに対して、ライナーガオーは大きく変更されています。新幹線型ではなくツインロケット型の飛行機に変更されているんです。単体で空を飛べます。

 要するに、ドリルガオー以外は全部飛行機なんですよ。

 さて、そのガオファイガーですが、普通にカッコ良い主役ロボです。スーパーロボとして、何らデザイン的に破綻しているところはありません。

 通常技がブロウクンファントムとプロテクトウォールで、スターガオガイガーから変わっていません。ただし、ブロウクンファントムは実体リングの代わりにエネルギーリングを用いる形に変更されており、ファントムリングが壊されるという欠点を解消しています。また、プロテクトウォールはプロテクトシェードと同じように敵の攻撃を反射する機能が復活しています。正統な改良が加えられているんです。

 また、必殺技は当然のようにゴルディオンハンマーを使えますが、ヘル・アンド・ヘブンも使用可能です。

 このように、ガオガイガーから正常進化しています。作中で複製された偽者のギャレオンと偽者の護がフュージョンした偽ガイガーが、GGGに保管されていた旧ガオーマシンを奪ってファイナルフュージョンすることで偽スターガオガイガーとなるのですが、これは偽者とは言っても性能的には本物の旧スターガオガイガーと変わりません。

 その偽のスターガオガイガーとガオファイガーは真っ正面から戦って、ゴルディオンハンマーこそ失うものの、ヘル・アンド・ヘブン合戦を制してガオファイガーの方が勝ち残ります。性能的には完全にガオガイガーを上回っているんですよ。

 しかし、やっぱり物足りないのです。

 なぜか?

 誰の発言だったかはおぼえていないのですが、OVA第1巻が発売される前後のアニメ誌のスタッフインタビューで読んだ話があります。大まかに、こういう主旨のことを話していたんです。

「ライオンと新幹線が余計だって言われてたんで削ったんですけど、無いと物足りないでしょう?」と。

 これなんです!

 『ガガガ』は「勇者シリーズ」の最終作です。子供向けの「勇者シリーズ」の玩具販売の枠内でデザインされています。だから、ライオンと新幹線とドリルが付いているんです。

 しかし、OVAになったことで、その枠が外れた。だからライオンと新幹線が無くなった。

 でも、それだと、やっぱり物足りないんですよ。

 そして、同じことがストーリー面でも言えます。

 「子供向け」という枠が無くなったので、よりハイターゲット、高年齢層の視聴にも耐えるように、ハードなストーリーになっているんです。

 その例のひとつが、先に挙げた偽スターガオガイガーと偽者の護です。ギャレオンが真っ白で、護も色素が薄いことから、視聴者には最初から偽者だとバレバレだったっりします。

 しかし、それでも旧作主役ロボであるスターガオガイガーとガオファイガーがガチンコ勝負して、スターガオガイガーが完全に破壊されて敗れるというには、映像的にはショックな映像なんですよ。

 そして、何とそこでは勝ち残ったガオファイガーが、シリーズ中盤においてライバルとの戦いで完全に敗北して、敵の手によって全壊してしまうんです。

 今までも主役ロボの敗北というのはありました。例えば勇者シリーズでもマイトガインは前半で飛竜に敗れて破壊されたことがあります。ただ、この場合はのちに修理されて復活しています。

 また、前作『ガガガ』でも後半戦の最初の戦いでガオガイガーが大破しています。ただ、このときは完全に破壊されたワケではなく、翌週には修復され強化改造されて登場しています。

 しかし、このガオファイガーの敗北と全壊は、そんな生やさしいものではなく、本当に完全破壊なんです。修復もされず、そのままガオファイガーは失われます。まあ、複製された偽者は登場するんですが。

 このあたりのハードなストーリーと演出は、やはり「子供向け」という枠が取っ払われたことによるものでしょう。

 ただ、それが「面白い」かということになると、微妙なんですよ。

 例えば、このほかにも新キャラの「パピヨン・ノワール」が、いきなり護の偽者に殺されたりしています。彼女も複製が再登場するのですが、本物の魂が宿っていたりします。ただ、それでも前作『ガガガ』では獅子王麗雄博士をのぞいてはほとんど無かった主要キャラの戦死が序盤でいきなり起きてしまうという。

 このあたりの、前作よりも「ハード」で「大人向け」のストーリーが、私の好みには合わなかったんです。何というか、違和感があった。

 この違和感は『ベターマン』ほど大きくはありませんでしたが、同質のものではありました。

 『ガガガ』では「子供向け」という制限があったので抑えられていた部分を『ベターマン』と『FINAL』では開放しているんです。

 ただ、私はその「解放」した部分との相性が悪かったんですね。だから、面白いとは思ってはいても、やっぱり「コレジャナイ」感があったという。

 何のかんのと言っても、「勇者シリーズ」のフォーマットは結構強かったし、その枠内で描かれるドラマだからこそ魅力的だったのかなあと、改めて思いました。

 さて、次回は後半主役ロボである「ジェネシックガオガイガー」について語りたいと思います。
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