燃えよ、ロボ魂!!

結城藍人

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第274話 ガサラキ(1998-99年)

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 さて、今回のお題は『ガサラキ』なのですが……前回のラストで、私は「大問題作」と便書きました。本作については、私はリアルタイムで全話視聴しています。高橋監督の新作巨大ロボットアニメということで、番組開始前は非常に期待していたんです。だから、最初から最後まで見通してんです。

 正直な評価をここで書かせてもらいましょう。大暴言ですがご容赦を。

「見た時間返せ!」

 これ以外の評価が出てこない駄作でした。

 確かに部分的に見るべきところはあります。タクティカルアーマー(TA)、敵側だとメタルフェイク(MF)と呼ばれるロボはカッコ良いです。リアルロボとして、非常にカッコ良い。

 現代に近い近未来でのロボ戦を真面目に描いています。戦闘シーンもカッコ良い。

 主人公とヒロインのキャラデザも良いです。特にヒロインはリアルタイム当時の流行に乗って、可愛さと凜々しさを両立させたキャラデザは非常に優れていると言えます。

 声優も豪華ですよ。主人公の豪和ユウシロウは「90年代のミスター主人公」檜山修之が、無口で感情表現に乏しいという新機軸にチャレンジして、見事に演じきっています。ヒロインのミハルを演じたのは、恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』のメインヒロイン藤崎詩織で一躍有名になった金月真美です。こちらも無口無感情な綾波系ヒロインをきっちりと演じていました。この二人をメインに練達の声優達がきっちりと演技をしています。

 作画も非常に丁寧でハイレベルでした。作画崩壊みたいなことは一度も起こっていません。カッコ良いSF兵器と、伝奇的な「鬼」の両方をきっちりと描いていました。

 とまあ、ここまではベタ褒めしても問題ないところです。非の打ち所が無い。

 ここまで「作画面」「声優の演技面」では問題がまったく無いのですよ。少なくとも私は感じませんでした。BGMについても、特に優れているとは思わなかったものの、作品の世界観をぶち壊すようなものはひとつも無く、問題は無かったと思います。

 じゃあ、何が問題なのか。

 本作のWikiには、以下のような表現がありました。以下引用です。

「……(前略)……一つの話数の中に異なる複数のストーリーを同列に配置する一種のコンプレックス形式を取っている。そのため第1話から最終話まで全て見なければ、視聴者は全てのストーリーを理解することが困難となっている。……(後略)……」

 これに対しては「嘘だダウト!」と叫びたい。

 私は第1話から最終話まですべて見たのですよ。その上で言います。ストーリー、さっぱりわかりませんでした!(爆)

 この頃の私は、もうアニメ誌の購読はやめていました。立ち読みで多少の情報を入れるくらいでした。そのため、この『ガサラキ』については、設定などの情報を二次資料でまったく補完していません。

 純粋に、毎週TVで見る情報だけをもとにして、本作は視聴していたんです。

 そして、それだけの情報では、第1話から最終話まですべてを見ても、理解できなかったんですよ。

 私の理解力が劣っていると言われればそれまでです。しかし、自分で言うのも何ですが、優れているとまではいかなくても、私はヲタクとして少なくとも平均的な理解力は持っていると思います。ヲタクでない一般視聴者よりは理解力は上だと思います。

 その私が、普通に見て、まったく内容を理解できないというのは、構成的に言って正しいのかと。

 これね、最終回まで見終わってから、第1話から見直したら、もしかしたら理解できるのかもしれませんよ。でも、そんな「努力」を視聴者に要求する「TV番組」って、正しいと思いますか?

 OVAでなら、もしかしたらアリかもしれません。ただ、それにしても本来あるべき姿は「初見でも面白く、二度見したら新たな発見がある」というものではないでしょうか。

 少なくとも「初見だとまったく理解できないポカーン」というのは「TV番組」としても「アニメ」としても正しいとは思えないのですよ。

 あの『エヴァ』だって、初見だと謎は散りばめられていました。でも、その謎がわからなくてもストーリーは理解できましたし、作品として楽しめました。これは『ナデシコ』もそうです。色々な謎はあって明かされない謎もありましたが、それを無視しても作品としてはきちんと楽しめたんですよ。

 ところが『ガサラキ』はそうではなかった。謎が謎のままで、作中で何をやっているのか、さっぱり理解できなかった。だから、本作については非常に厳しい評価を付けざるをえないのです。

 確かに部分部分はカッコ良いのです。しかし総評で言えば「視聴者無視」「制作者のひとりよがり」である「駄作」と言わざるをえない。

 しかもねえ、内容的にも「ロボがあまり活躍しない」「主人公が途中からフェードアウト」「最終的には政治ドラマ」って、まんま『ダグラム』の失敗を繰り返してるじゃないですか(笑)。いやまあ、ダグラムは成功作なんですけど、だからって、その駄目な部分を繰り返してどうするんだと(爆)。

 ということで『ガサラキ』ファンの方々には申し訳ないのですが、私にはどうしても好きにはなれない作品だったのです。

 98年の作品はこれで終わりになります。『ブレンパワード』はWOWOW放送だったので未見なのですよ。OVA系もあまり見ておりませんでした。

 ところが、打って変わって99年には色々と見た作品があります。どれから語ろうかな。
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