燃えよ、ロボ魂!!

結城藍人

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第112話 メガゾーン23 その2 秘密く・だ・さ・い編

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 予想外に続いてしまった『メガゾーン23』語り2回目です。なので、今回のサブタイトルは続編『PARTⅡ』のタイトルからいただきました。

 OVAなんで本来は1986年発売の『PARTⅡ』は分けて語るべきかなとは思うのですが、内容的に完全続編なんで、一緒に語ってしまいましょう。もっとも、こちらは見たという記憶はあるんですが、中味についてはかなり曖昧だったりします。
 ただ、『PARTⅡ』ではキャラデザが大幅に変わっていたというのは、ものすごく印象に残っていますね。ストーリーがつながってる正当続編で登場人物も引き続き登場なのに、顔とかの印象が全然違うという(笑)。

※あと、主人公の省吾の声優も久保田雅人(のちの世のワクワクさん)から矢尾一樹に変わっていました。もりくぼの小隊様、ご指摘ありがとうございました。にしてもヒロインとライバルは引き続きなのに、何でなんだろう?

 『メガゾーン23』は、前回書いたように主人公敗北で終わるという衝撃のエンディングでした。それで、当時のアニメ誌では「OVA初の打ち切りを食らった」とか読者投稿でネタにされたりしていたのをおぼえています(笑)。

 しかしながら、売れたんですよ『メガゾーン23』は。Wikiによると約2万
千本。当時の販売価格が一万円以上しており、ググってみたところ定価13,986円でしたから、単純計算でも売り上げは三億六千万円以上。当時としては大ヒットです。

 そこで、きちんと完結する続編『PARTⅡ』が作られたわけですね。

 一度は敗れた省吾でしたが、命は助けられたので暴走族グループに身を落としていました。軍はバハムートを掌握して、メガゾーン23の軍国体制への移行を進めており、イブもそのための広告塔にされています。

 そんな中で、本来のイブの残存データが省吾の前に現れ、アクセスするよう頼みます。そこで再度立ち上がった省吾は、軍が再生したガーランドを再び手に入れてバハムート本体に向かいます。そこでガーランドを失いながらもイブ本体にアクセスできた省吾は、バハムートがなぜ戦争抑止の動きをしていたのか真実を知ります。

 かつて戦争によって汚染された地球を再生するプログラムを組んだ人々は、再び人類が同じ過ちを繰り返さないように、世代宇宙船に監視プログラムを設定していました。そこで、世代宇宙船が地球に戻ってきたときに、戦争を起こしそうな住民が生活している世代宇宙船は破壊することになっていたというのです。それでバハムートは戦争が起きないように管理し、住民が戦争を起こしそうになったら地球再生プログラム全体の管理コンピューターとして月に設置された「A・D・A・M」にそのことを報告するための存在だったのです。

 そのため、メガゾーン23も、侵略者の側の世代宇宙船も、両方とも戦争を起こすような住民が居るということで「A・D・A・M」に破壊の対象と判断されてしまい、月からの攻撃で破壊されてしまいます。

 しかし、省吾たち一部の人間はイブのはからいで脱出に成功して、再生された地球に降り立つことができ、そこでの新たな未来を暗示して物語は終わります。

 ということで、SF物語としては、なかなか良いできだったりするのですよ。OVA初期の名作として語り継がれるだけの作品ではあります。

 ロボも、美少女アイドルも、きちんと意味をもって物語の中に組み込まれています。売りとして成立しています。そして、実際に売れました。

 はい、めでたしめでたし……では、本作を語ったことにはならないんですねえ、これが(笑)。

 それでは、当時から「裏」どころか、表立っても大きな「売り」だった部分、行ってみましょうか。

 一般作なのに「ニャンニャンシーン」があったりするんですよ(爆)。

 ストーリー全体のヒロイン的存在であるイブは実体が無いので当然ニャンニャンなんぞはできません(笑)。それとは別に、主人公にとってのヒロインである高中たかなか由唯ゆいという美少女がちゃんと居るんですね。彼女とのニャンニャンシーンは、リアルタイム当時から話題になっており、本作の売りのひとつだったのですよ。

 当時は、まだアダルトビデオアニメも勃興期で、一般作との境界は一応あったものの『ドリームハンター麗夢レム』のように、アダルト作品から一般作に変わるような例もあったりしました。逆に、メガゾーン23のように一般作なのにニャンニャンシーンがある作品もあったりしたんですね。

 これについては、当時のアニメ専門学校――私の記憶では「代々木アニメーション学院」だったようなおぼえがあるのですが確証はありません――の広告で、専門学校の生徒と石黒昇監督がメガゾーン23のニャンニャンシーンを見た感想を言い合って、石黒監督が「ワシは年のせいか食い足りなかったなあ」みたいなことを言うのがオチになってるって宣伝がアニメ誌に載ってたのが強烈に印象にのこってたりします(笑)。

 フィルムコミックにも、ちゃんとそのシーンはあったという記憶はあります。ただ、一般作なんでヒロインのヌードみたいな感じで抑えられてましたが。ノベライズの方では、あまり描写が印象に残ってないんで、書き込まれてはいなかったんでしょう。

 あと、第一作の主題歌「背中ごしにセンチメンタル」や挿入歌「風のララバイ」は名曲です。本作の場合、アイドル歌手も売りのひとつなので、ロボっぽくない歌なことはしょうがないでしょう。それでもカッコ良い歌でした。それに比べると、PARTⅡの主題歌「秘密く・だ・さ・い」は、悪くはないですが特に良いとは思いませんでしたね。

 ちなみに、OVAの発売元がビクター音産だったので、これらの主題歌もビクター音産系のアニソンアンソロジーに入っていました……「背中ごしにセンチメンタル」が入ってた方のアンソロのタイトルが「おーっ、カッコいい!」だったのには若干引きましたが(笑)。

 とにかく、ほぼ同期に発売されてWikiによると約三万本の売り上げがあったという『幻夢戦記レダ』と並んで、OVA勃興期の牽引役となった名作であることは間違いないかと思います。

 そう、『レダ』にも一応巨大ロボが出てきてたように、この頃はまだ「巨大ロボ」と「美少女」は売りの二本柱だったのですよ。それが、やがて「巨大ロボ」は廃れ「美少女」のみになっていくのですが……。

 なお、本作には『Ⅲ』という更なる続編もあるのですが、こちらは完全に未見なので本エッセイでは扱いません。

 さあ、次はTVに戻って『超獣機神ダンクーガ』やぁってやるぜ!!
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