仮面症のノベル

ナヒジキ

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プロローグ

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携帯のアラームが鳴り響く
手元で探りながらその音を消す
昨日はずっとパソコンと向き合っていた性かあまり目が開かない
長いと思っていた春休みが終わり、今日から新学期
久しぶりに制服に袖を通してなんの障害もなく朝食を作り食べる
いつもの事だ、何も支障はない
行く準備を済ませ、家から登校して行く
学校に行く途中多くの生徒が友達と話しながら歩いていく
俺にはそんな人はいない、そもそも友達も高校に入ってから作っていない
周りの声を遮るようにイヤホンの電源を入れる
学校の広場、そこにクラス分けの張り紙が張り出されていた
俺のクラスは・・・一組か
どこのクラスに入っても結局は同じだと思うけど・・・
「やっほ~、鈴、吉野こっちこっち」
やけにテンションが高めの女の子が全くこっちに気付かずぶつかって来た
その後ろから男女一人ずつ歩いてきた
「あぁ、ごめん」
「こちらこそすみません」
俺はそそくさとその場から逃げるように立ち去った
「あぁ~藤ヶ谷も同じクラスか、あいつ本当に暗いよな」
「どっちかと言うとオタクっぽい」
一度言い出すとぼろぼろ出てくる
だけどそれはただの『そう言う感じ』というだけだ、偽りと想像も入っている
「―――所で藤ヶ谷って誰?」
「「えぇ~!!」」
「今ぶつかった人だよぉ」
「いやぶつかったのはお前だ、あの根暗でメガネ掛けている奴だよ」
名前の欄、よく見てみると同じクラス。そして藤ヶ谷という苗字は一人しかいなかった
「藤ヶ谷 十?変な名前ね」
「っていうか名前なんで初めて見た」
「可哀想だろジュウくんに」
掲示板の前で大声を出して笑っていた
クラスに行ってみると黒板に席順が貼られていた
「おっはよ~鈴、元気だった」
「なんだよ、席決まっているのかよ」
それぞれ自分の席に移動する
私はというとさっきの話の話題になっていた『じゅう』の隣だった
「よ、よろしくね」
「あぁ」
そっけない態度、どっちかというと話しかけてもらいたくない雰囲気だった
「鈴~、良かった席近くて」
「ほんと!でもクラスがそんなにバラバラにならなくてよかった」
私の斜め右後ろに琴美が座っている
それからは何も話さずに特に気にしていなかった
HRが終わると支度をさっさと済ませて藤ヶ谷は帰っていった
「帰って何しているんだろうね」
「パソコンとか何かやっているんだろうな」
確かに合っているが・・・
「かなり偏見な目をしているのね」
「じゃあ鈴村は何していると思っているんだよ?」
「さぁ?そういうことを考えるのはプライバシーに関わるでしょ」
「考えるのは自由だけど」
時間を見てみると3時を回っていた
その時間には私にはやる事があった
「弟のお迎え?」
「まぁそんな感じだよ」
「じゃあまた明日ね」
二人と分かれて走って保育園に向かう
家から走っても10分位掛かる距離でさらに学校からの距離を加算すればかなり遅い時間になってしまう
そして途中から雨が降ってきた
「やっば!最悪」
折り畳み傘を持っていない為、コンビニで傘を貸すロスタイム
買ってからもあまり濡れないようにスピードもダウンしてしまう
結局保育園に着いたのは1時間も経過していた
「すみません、雅人の迎えに来ました」
「はい、雅人くんお迎えですよ」
雅人を預かってよく見てみると雨の強さが増していた
「お姉ちゃん帰らないの?」
「あぁ、帰りたいけど」
走った影響で傘は変形して一人はいるのがやっと位の広さだ
そして強くなっているからもし歩きながら壊れたら一溜まりもない
どうしようかと考えているとこっちに歩いてくる黒い人が見えた
黒い傘にラフに黒ジャージで雨の性か髪を全て後ろに上げている
「あっ、こんにちは」
「え?あ、こんにちは?」
そして何事もなかったかの様に中に入っていく
相変わらず私達は動けずにいた
しばらく見ていると戻ってきて、そっと傘を差し出した
「鈴村さん、これ使う」
「えっ、いいんですか?」
「まぁ明日にでも返してもらえばいいし、ここに置いといてくれれば取りに来るし」
「あぁ、って貴方は?」
「えっ?あぁ、俺は―――」
『つなし!!先に帰って夕御飯食べていいよ。まだ時間かかりそうだから』
保母さんが叫ぶように言うとすぐに反応した
「じゃあまた明日学校で」
「あぁそうね?・・・って同じ学校?」
「あぁ、そうですよ」
そのまま名前も言わずにフードを被って雨の中を走り抜ける
それをただただ見るしかなかった
「じゃあ帰ろうか」
「うん、早く帰らないとアニメ始まっちゃうよ」
男性用の傘なので2人でも十分な広さをしている
「さっきのお兄さんって誰?」
「それが私にもわからないのよ」
「でも優しい人だったね」
帰ってみると玄関に傘をさして乾かした
それにしてもあれは誰だったのだろう
そういう考えがぐるぐる回るが一向にわからないので考えなくした
これがこの物語の始まり・・・2人の初めての会話である 

続く
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