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第三章
すごい!④
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とはいえ、まだ序盤だったので、テスト期間は毎日教えてくれることになった。
他の教科はまだ自分でなんとかなりそうだけど、数学だけは無理そうだったから、本当に助かる!
そして、なにより先輩に教えてもらえるのは単純にうれしかった。
また明日と挨拶をして、家に帰った。
こうして勉強漬けだけど、うれしい一週間が終わって、テストが始まった。
さすがに、テスト期間に部室に顔を出すのは先輩も勉強の邪魔だろうなぁと思って、出入りは控えた。
そして、先輩にばっちり教えてもらったので、数学のテストが私史上一番スラスラ解けた。
数学ってわかるとクイズみたいでおもしろいよね!
なんて得意な気にもなってくる。
我ながら単純。
出来はともかくテストが終わって開放感に浸る。
週末はお礼に先輩におやつでも持っていこうっと、なんて思った。
翌日、教室に着くなり菜摘ちゃんが駆け寄ってきて、「優、すごいじゃない!」と興奮気味に言ってきた。
なんのことだかわからずに、キョトンとする。
「なにが?」
「なにって、写真よ! 『審査員特別賞』だったんでしょ? 早く言ってよ!お祝いするのに!」
「あぁ! え、なんで、今?」
私の中ではテスト前の話で、さすがに興奮は冷めていた。
「市の広報誌よ。トップページにデカデカと載ってたわよ? 知らなかったの?」
「そうなの? そういえば、そんなことも書いてあったような……」
そんな話をしていたら、さやちゃんも来て、「見たわよー!」と言う。
「すごいわねー、優! 素敵な写真だった!」と褒めてくれる。
「そうよねー。久住先輩の表情がまた素敵で、ライバル増えちゃうんじゃない?」
「ほんとほんと! 好みじゃない私までときめいちゃったもん」
「わかるー!」
きゃいきゃい騒いでいる二人に、めずらしくクラスメイトの女の子たちが聞いてくる。
「え、あの人ってこの高校の先輩なの?」
「えー、そうなの?」
「そうよ? でも、先輩は優のだからダメよ?」
さやちゃんが冗談めかして言うから、慌てて否定する。
「私のじゃないって!」
「いや、ここは主張しとくべきよ!」
「そうそう、遠慮している場合じゃないわ。ということだから、よろしくね!」
菜摘ちゃんとさやちゃんの勢いに、聞いてきた子たちは曖昧に頷いて、撤退していった。
「それにしても、みんな市の広報誌なんて読んでるのね。びっくりした」
「違うわよ。親が見て『あら、この子、同じ高校の子じゃない?』っいうから見たら優の写真だったから驚いたわよ」
「私も同じ感じ」
「へー、そうだったんだ」
そのときはそんな平和な会話をしていた。
広報誌の威力を甘く見ていた。
もしくは遥斗先輩の威力を……。
他の教科はまだ自分でなんとかなりそうだけど、数学だけは無理そうだったから、本当に助かる!
そして、なにより先輩に教えてもらえるのは単純にうれしかった。
また明日と挨拶をして、家に帰った。
こうして勉強漬けだけど、うれしい一週間が終わって、テストが始まった。
さすがに、テスト期間に部室に顔を出すのは先輩も勉強の邪魔だろうなぁと思って、出入りは控えた。
そして、先輩にばっちり教えてもらったので、数学のテストが私史上一番スラスラ解けた。
数学ってわかるとクイズみたいでおもしろいよね!
なんて得意な気にもなってくる。
我ながら単純。
出来はともかくテストが終わって開放感に浸る。
週末はお礼に先輩におやつでも持っていこうっと、なんて思った。
翌日、教室に着くなり菜摘ちゃんが駆け寄ってきて、「優、すごいじゃない!」と興奮気味に言ってきた。
なんのことだかわからずに、キョトンとする。
「なにが?」
「なにって、写真よ! 『審査員特別賞』だったんでしょ? 早く言ってよ!お祝いするのに!」
「あぁ! え、なんで、今?」
私の中ではテスト前の話で、さすがに興奮は冷めていた。
「市の広報誌よ。トップページにデカデカと載ってたわよ? 知らなかったの?」
「そうなの? そういえば、そんなことも書いてあったような……」
そんな話をしていたら、さやちゃんも来て、「見たわよー!」と言う。
「すごいわねー、優! 素敵な写真だった!」と褒めてくれる。
「そうよねー。久住先輩の表情がまた素敵で、ライバル増えちゃうんじゃない?」
「ほんとほんと! 好みじゃない私までときめいちゃったもん」
「わかるー!」
きゃいきゃい騒いでいる二人に、めずらしくクラスメイトの女の子たちが聞いてくる。
「え、あの人ってこの高校の先輩なの?」
「えー、そうなの?」
「そうよ? でも、先輩は優のだからダメよ?」
さやちゃんが冗談めかして言うから、慌てて否定する。
「私のじゃないって!」
「いや、ここは主張しとくべきよ!」
「そうそう、遠慮している場合じゃないわ。ということだから、よろしくね!」
菜摘ちゃんとさやちゃんの勢いに、聞いてきた子たちは曖昧に頷いて、撤退していった。
「それにしても、みんな市の広報誌なんて読んでるのね。びっくりした」
「違うわよ。親が見て『あら、この子、同じ高校の子じゃない?』っいうから見たら優の写真だったから驚いたわよ」
「私も同じ感じ」
「へー、そうだったんだ」
そのときはそんな平和な会話をしていた。
広報誌の威力を甘く見ていた。
もしくは遥斗先輩の威力を……。
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