94 / 171
第二章 ― 遥斗 ―
災難②
しおりを挟む
189円でなにが買えるだろう。
銀行口座に残ってる金は手数料でほぼなくなるから下ろす意味がない。
ふらふらとスーパーへ入る。
まず、食パンだな。
一番安いのは八枚切り98円だった。
あと91円。
商品入替えのセールワゴンがあったから、そこを覗く。
缶詰が50円で売っている。どれかひとつは買えるな。
あと41円。
あ、キャベツ1/4個が買える。
モヤシが一袋10円で売っているけど、生では食べられないよな?
調理室を使えるようにしてもらっておけばよかった。そうしたら、せめて茹でることはできたのに。
冷蔵庫もないから日持ちのしないものは買えない。
結局、食パンとカレーの缶詰、キャベツを買った。
残金1円。もう笑うしかない。
学校に帰ると、パン一枚とキャベツの葉一枚をゆっくり噛んで食べる。
今日は、ダメージがでかいことが多すぎて、もうなにもしたくない。
寝てしまおう。
さっさと寝る支度をして、布団に倒れ込んだ。
それから、休みの間はなるべく寝ていた。じっと動かず、水ばかり飲んで。
起きてしまったら、パンとキャベツを齧り、優にもらったクッキーを食べ、4日目に我慢できずにカレーの缶詰を開けた。
バイトを探しに行こうかと思ったけど、気力も体力もなくなって、結局部屋に引きこもっていた。
食べ物を食い尽くした5日目。
空腹が続き、身体がだるくなると、気も滅入ってくる。
こんな思いをしてまで生きている必要はあるのかとまで思う。
いっそのこと死んでしまえたら楽なのに。
もし俺が死んだら、あいつは泣くかな? ……泣くな、きっと。
でも、知り合いの誰が死んでも泣くんだろうな。
優の顔が思い浮かんで、気を取り直す。
明日になれば、優も真奈美も弁当を持ってきてくれるだろう。口座にも金が入っているはずだ。
今日を乗り切れば……。
ただひたすらそれだけを考えてやり過ごした。
時が経つのが異様に遅かった。
銀行口座に残ってる金は手数料でほぼなくなるから下ろす意味がない。
ふらふらとスーパーへ入る。
まず、食パンだな。
一番安いのは八枚切り98円だった。
あと91円。
商品入替えのセールワゴンがあったから、そこを覗く。
缶詰が50円で売っている。どれかひとつは買えるな。
あと41円。
あ、キャベツ1/4個が買える。
モヤシが一袋10円で売っているけど、生では食べられないよな?
調理室を使えるようにしてもらっておけばよかった。そうしたら、せめて茹でることはできたのに。
冷蔵庫もないから日持ちのしないものは買えない。
結局、食パンとカレーの缶詰、キャベツを買った。
残金1円。もう笑うしかない。
学校に帰ると、パン一枚とキャベツの葉一枚をゆっくり噛んで食べる。
今日は、ダメージがでかいことが多すぎて、もうなにもしたくない。
寝てしまおう。
さっさと寝る支度をして、布団に倒れ込んだ。
それから、休みの間はなるべく寝ていた。じっと動かず、水ばかり飲んで。
起きてしまったら、パンとキャベツを齧り、優にもらったクッキーを食べ、4日目に我慢できずにカレーの缶詰を開けた。
バイトを探しに行こうかと思ったけど、気力も体力もなくなって、結局部屋に引きこもっていた。
食べ物を食い尽くした5日目。
空腹が続き、身体がだるくなると、気も滅入ってくる。
こんな思いをしてまで生きている必要はあるのかとまで思う。
いっそのこと死んでしまえたら楽なのに。
もし俺が死んだら、あいつは泣くかな? ……泣くな、きっと。
でも、知り合いの誰が死んでも泣くんだろうな。
優の顔が思い浮かんで、気を取り直す。
明日になれば、優も真奈美も弁当を持ってきてくれるだろう。口座にも金が入っているはずだ。
今日を乗り切れば……。
ただひたすらそれだけを考えてやり過ごした。
時が経つのが異様に遅かった。
0
お気に入りに追加
147
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
神様自学
天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。
それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。
自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。
果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。
人の恋心は、どうなるのだろうか。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる