66 / 171
第一章 ― 優 ―
イケメンと美形は違う①
しおりを挟む
そのあと、急いで体育館に向かった私はチャイムと同時に滑り込む。
「あー、よかった。間に合った」
私が脱力して座り込むと、菜摘ちゃんとさやちゃんが近寄ってきた。
「遅かったねー」
「全然戻ってこないから、心配したわ」
「ごめんね。ちょっといろいろあって……」
顔を上げると、菜摘ちゃんたちが驚いた顔をした。
なんだろうと首を傾げると、二人は「ちょっとー、優、泣いた?」「先輩となんかあったの?」と詰め寄ってきた。
あ、そういえば、私、号泣しちゃったから、瞼が腫れているのかも。
鏡を見てないからわからないけど、二人の慌てようを見ると、相当ひどい顔をしているっぽい。
「ううん、先輩とではなくて……」
そう言いかけたとき、先生が来て、集合と号令をかけた。
「あとでね」
「うん」
私たちは、先生の下に集合した。
「で、なにがあったのよ?」
体育のあと、更衣室で着替えながら、菜摘ちゃんが聞いてくる。
「う……ん、ここではちょっと……」
更衣室では、遥斗先輩のことを話すには、他の人との距離が近過ぎる。
「そっかぁ。じゃあ、放課後ね。とりあえず、優はハンカチ濡らして、目を冷やした方がいいよ」
「ほんと、その顔で部室にいくのはヤバいよ?」
「えー、そんなに?」
「うん、そんなに」
菜摘ちゃんもさやちゃんも頷く。
うー、鏡を見るのが怖いな。
そう思いながら、壁の鏡をチラッと見たら、うわぁ、確かにひどい顔……。
「……放課後までに治るかな?」
「うーん、無理かもね」
着替え終わって、ハンカチで目を冷やしながら聞いてみると、菜摘ちゃんはあっさり言う。
「えぇー、どうしよう。お弁当箱を取りに行かないといけないのに」
この顔で部室に行ったら、きっと遥斗先輩にばれちゃう。泣いたのも。泣いた原因も。それは困る。
「いいこと考えた! なっちゃん、私たちで取りに行ってあげない? 生の先輩を見てみたいし」
「おー、いいねー! 私も美形を直に見てみたい!」
さやちゃんの提案に菜摘ちゃんがノリノリで答える。
「場所どこだっけ?」
「え、いいの?」
「別にお弁当箱をささっと取ってくるだけだからね」
「ありがとう! 助かる! 場所は部室が並んでいるところあるでしょ? そこの一番奥でドアに『写真部』って書いてあるところなの」
「あー、よかった。間に合った」
私が脱力して座り込むと、菜摘ちゃんとさやちゃんが近寄ってきた。
「遅かったねー」
「全然戻ってこないから、心配したわ」
「ごめんね。ちょっといろいろあって……」
顔を上げると、菜摘ちゃんたちが驚いた顔をした。
なんだろうと首を傾げると、二人は「ちょっとー、優、泣いた?」「先輩となんかあったの?」と詰め寄ってきた。
あ、そういえば、私、号泣しちゃったから、瞼が腫れているのかも。
鏡を見てないからわからないけど、二人の慌てようを見ると、相当ひどい顔をしているっぽい。
「ううん、先輩とではなくて……」
そう言いかけたとき、先生が来て、集合と号令をかけた。
「あとでね」
「うん」
私たちは、先生の下に集合した。
「で、なにがあったのよ?」
体育のあと、更衣室で着替えながら、菜摘ちゃんが聞いてくる。
「う……ん、ここではちょっと……」
更衣室では、遥斗先輩のことを話すには、他の人との距離が近過ぎる。
「そっかぁ。じゃあ、放課後ね。とりあえず、優はハンカチ濡らして、目を冷やした方がいいよ」
「ほんと、その顔で部室にいくのはヤバいよ?」
「えー、そんなに?」
「うん、そんなに」
菜摘ちゃんもさやちゃんも頷く。
うー、鏡を見るのが怖いな。
そう思いながら、壁の鏡をチラッと見たら、うわぁ、確かにひどい顔……。
「……放課後までに治るかな?」
「うーん、無理かもね」
着替え終わって、ハンカチで目を冷やしながら聞いてみると、菜摘ちゃんはあっさり言う。
「えぇー、どうしよう。お弁当箱を取りに行かないといけないのに」
この顔で部室に行ったら、きっと遥斗先輩にばれちゃう。泣いたのも。泣いた原因も。それは困る。
「いいこと考えた! なっちゃん、私たちで取りに行ってあげない? 生の先輩を見てみたいし」
「おー、いいねー! 私も美形を直に見てみたい!」
さやちゃんの提案に菜摘ちゃんがノリノリで答える。
「場所どこだっけ?」
「え、いいの?」
「別にお弁当箱をささっと取ってくるだけだからね」
「ありがとう! 助かる! 場所は部室が並んでいるところあるでしょ? そこの一番奥でドアに『写真部』って書いてあるところなの」
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
本物の恋、見つけましたⅡ ~今の私は地味だけど素敵な彼に夢中です~
日之影ソラ
恋愛
本物の恋を見つけたエミリアは、ゆっくり時間をかけユートと心を通わていく。
そうして念願が叶い、ユートと相思相愛になることが出来た。
ユートからプロポーズされ浮かれるエミリアだったが、二人にはまだまだ超えなくてはならない壁がたくさんある。
身分の違い、生きてきた環境の違い、価値観の違い。
様々な違いを抱えながら、一歩ずつ幸せに向かって前進していく。
何があっても関係ありません!
私とユートの恋は本物だってことを証明してみせます!
『本物の恋、見つけました』の続編です。
二章から読んでも楽しめるようになっています。
捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。
クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」
パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。
夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる……
誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。
【R18】おいもではじまるシークレットベイビー
加賀美 ミロ
恋愛
領地を守るため奮闘する後継娘マリアンヌ
家族のためにと奮闘(暴走?)の果て、王都から笑顔で帰ってきました
妊娠して、、、
その頃、愛するマリアンヌに捨てられたと思った子供の父親リオネルは暴走・妄執モードに突入
果たして2人と、その子カイルはハッピーエンドを迎えるのか???
暴走、妄想激しい、愛情深いカップルのエッチは激しめ???
(別名でなろうさんにも投稿中)
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる
ユユ
恋愛
私の婚約者と幼馴染の婚約者が浮気をしていた。
私も幼馴染も婚約破棄をして、醜聞付きの売れ残り状態に。
浮気された者同士の婚姻が決まり直ぐに夫婦に。
白い結婚という条件だったのに幼馴染が変わっていく。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
上司と部下の溺愛事情。
桐嶋いろは
恋愛
ただなんとなく付き合っていた彼氏とのセックスは苦痛の時間だった。
そんな彼氏の浮気を目の前で目撃した主人公の琴音。
おまけに「マグロ」というレッテルも貼られてしまいやけ酒をした夜に目覚めたのはラブホテル。
隣に眠っているのは・・・・
生まれて初めての溺愛に心がとろける物語。
2019・10月一部ストーリーを編集しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる