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第一章 ― 優 ―

おせっかいは迷惑なものです⑤

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 最近はおにぎらずも流行ってて、映えるのは圧倒的にそっちだけど、やっぱり私は三角おにぎり派。
 中になにが入っているかわからないワクワク感もあると思うんだよねー。

 今日は、お味噌汁を水筒に入れる。
 
「お花ってこんな感じでいい?」
「わぁ、かわいい!」

 お母さんが手にしている花束は、無造作に持っているだけに見えるのに、バランスがよくて素敵で、私は歓声を上げた。

「濡ティッシュで茎を包んでおくけど、花瓶はあるの?」
「あー、忘れてた。なにかちょうどいいものあるかな? あまり大きくないので」
「んー、あぁ、これなんかどう?」

 お母さんがそう言って、リビングに活けてある花をズボっと抜いて、花瓶を差し出した。
 こういうとき、さすが私の親だなぁと思う。
 私が大雑把なのって、お母さんの影響も多大よね?

「うん、ちょうどいい大きさかも」

 私は花瓶を洗って、袋に入れた。

 朝ごはん、お弁当、画材、花瓶、花束……結構な荷物になっちゃった。
 花束をつぶさないように気をつけながら、自転車に乗って、学校に向かった。



 自転車を降りて、大荷物を抱えて、校庭脇を歩いていると、野球部がランニングをしていた。

「すごい荷物だな」

 ちょうど通りかかった森さんがニカッと笑って、通り過ぎた。

「こないだはありがとうございます!」

 その後ろ姿に叫ぶと、振り返らないまま手だけ上げてくれた。

 今度、野球部の練習風景を写真に撮るのもいいかも。
 たしか運動をしている写真を募集しているコンクールがあったような?

 心の中でメモをして、部室に行った。




「おはようございます!」

 ノックをして入ると、遥斗先輩は定位置にいた。

「おはよう」

 先輩は振り返って、私の大荷物を見ると、顔を顰めた。

 机と椅子は昨日のまま、向かい合わせに並んでいる。
 そこに、とりあえず花束以外の荷物を置く。

 花瓶を取り出して、水を入れて、花を飾った。

(うん、むっちゃいい感じ!)

 机におにぎりを出して、紙コップにお味噌汁を注ぐ。
 
 うーん、紙コップのお味噌汁っておいしくなさそう。要改善だわ。

「先輩、朝ごはんは食べました? 食べたとしてももう一回食べましょう!」

 私の言いぐさに苦笑して、遥斗先輩がやってくる。
 ウェットティッシュを渡すと素直に手を拭いて座ってくれた。

「いただきまーす」
「……いただきます」

 私が手を合わせると、先輩も手を合わせておにぎりに手を伸ばした。
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