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第一章 ― 優 ―
なんか新鮮だな③
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思ったより先生と長く話してて、次の授業に遅れそうなことに気がついた。
急いで教室に向かった。
その日の帰り、部室に行くと、遥斗先輩にお弁当の感想を聞いてみる。
「……グラタンみたいなのがうまかった」
いつもの一言だけの感想。でも、今日はそれだけ?と思ってしまう。
「見た目は? なにか違うと思いませんでした?」
「花があったな。女はそういうの好きだな」
遥斗先輩は淡々と言う。
今までも女の子っぽいお弁当をもらっていたんだろうな。
やっぱり見た目はどうでもいいっぽい。
そんなことを話していると、真奈美先輩と和田先生が入ってきた。
和田先生とは昼間に会ったばかりだから、びっくりした。
「どうしたんですか?」
私の言葉に和田先生は苦笑して答えた。
「一応、写真同好会の顧問だから、見に来たんだ。遥斗、元気か?」
「はい」
和田先生の問いかけに、遥斗先輩は表情を変えずに頷いた。
「そうか。なにかあったら言えよ?」
「はい。ありがとうございます」
遥斗先輩がそう言うと、和田先生がなぜか目を剥いた。
その様子を真奈美先輩はおかしそうに眺めて言う。
「先生、遥斗はお礼を言うことを覚えたのよ。優ちゃんに躾けられて」
「「そんなんじゃ……」」
遥斗先輩と私の声が重なった。
真奈美先輩が吹き出す。
私たちの様子を和田先生は興味深そうに見ていた。
「そうだ、佐伯。コンテストに出そうと考えている写真を見せてくれないか? あとなんのコンテストなのか。顧問としてそれくらいは知っておかないとな」
「はい。市の募集している『私の町』という写真コンテストなんです」
私はプリントした屋上から街を眺める遥斗先輩の横顔の写真を見せた。そして、遥斗先輩に断りを入れる。
「遥斗先輩、これをコンテストに出していいですか?」
「あぁ、写真のモデルになるって約束だからな」
その写真を真奈美先輩も覗き込んだ。
「へぇー、優ちゃんって本当に写真をやっているんだー」
「もちろんですよ。どうしてですか?」
「遥斗に近づく口実かと思っていたわ」
「えぇー、反対ですよ! 写真を撮っていたら遥斗先輩がいただけです」
そう言うと、私以外の三人が笑った。
「あはは、遥斗、あなたがついでだって」
「あぁ、なんか新鮮だな」
「おもしろいな、佐伯は」
えー、なんで?
そんなにおもしろいこと言ってないよね?
なんか納得いかずに私は口を尖らせた。
急いで教室に向かった。
その日の帰り、部室に行くと、遥斗先輩にお弁当の感想を聞いてみる。
「……グラタンみたいなのがうまかった」
いつもの一言だけの感想。でも、今日はそれだけ?と思ってしまう。
「見た目は? なにか違うと思いませんでした?」
「花があったな。女はそういうの好きだな」
遥斗先輩は淡々と言う。
今までも女の子っぽいお弁当をもらっていたんだろうな。
やっぱり見た目はどうでもいいっぽい。
そんなことを話していると、真奈美先輩と和田先生が入ってきた。
和田先生とは昼間に会ったばかりだから、びっくりした。
「どうしたんですか?」
私の言葉に和田先生は苦笑して答えた。
「一応、写真同好会の顧問だから、見に来たんだ。遥斗、元気か?」
「はい」
和田先生の問いかけに、遥斗先輩は表情を変えずに頷いた。
「そうか。なにかあったら言えよ?」
「はい。ありがとうございます」
遥斗先輩がそう言うと、和田先生がなぜか目を剥いた。
その様子を真奈美先輩はおかしそうに眺めて言う。
「先生、遥斗はお礼を言うことを覚えたのよ。優ちゃんに躾けられて」
「「そんなんじゃ……」」
遥斗先輩と私の声が重なった。
真奈美先輩が吹き出す。
私たちの様子を和田先生は興味深そうに見ていた。
「そうだ、佐伯。コンテストに出そうと考えている写真を見せてくれないか? あとなんのコンテストなのか。顧問としてそれくらいは知っておかないとな」
「はい。市の募集している『私の町』という写真コンテストなんです」
私はプリントした屋上から街を眺める遥斗先輩の横顔の写真を見せた。そして、遥斗先輩に断りを入れる。
「遥斗先輩、これをコンテストに出していいですか?」
「あぁ、写真のモデルになるって約束だからな」
その写真を真奈美先輩も覗き込んだ。
「へぇー、優ちゃんって本当に写真をやっているんだー」
「もちろんですよ。どうしてですか?」
「遥斗に近づく口実かと思っていたわ」
「えぇー、反対ですよ! 写真を撮っていたら遥斗先輩がいただけです」
そう言うと、私以外の三人が笑った。
「あはは、遥斗、あなたがついでだって」
「あぁ、なんか新鮮だな」
「おもしろいな、佐伯は」
えー、なんで?
そんなにおもしろいこと言ってないよね?
なんか納得いかずに私は口を尖らせた。
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