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「あああ……!」

 高ぶっていた私は挿れられただけで、イってしまった。
 うれしそうにダンケルトが笑う。
 愛しいと思い、その髪を梳くようになでた。

「エリカ……」

 甘く愛しげに名前を呼ばれて、うっとりする。
 ゆっくりとダンケルトが動き出し、私たちは愛を確かめ合った。



 その後、猛烈に怒ったダンケルトが三馬鹿トリオを追い詰めて、レイプ薬の使用を立証した。
 取り締まる立場の者が禁じられた薬物を入手し、使用したということで、彼らは厳罰に処されて、騎士団を除隊された。

 もうダンケルトは鍛錬のペアを譲ることはなく、イヴァンは笑っていた。
 どうやら彼は私たちの気持ちを知っていて、敢えて私に親しげにしてダンケルトを煽ったり、生温かく見守ったりしていたらしい。
 意外にいい性格だ。

 鍛錬が終わって訓練場を出ると、いつもの黄色い声に出迎えられる。
 でも、ダンケルトは「黒の貴公子様!」と声をかけられても素通りだった。
 
「あの子が好きだったんじゃないの?」

 不思議に思って聞くと、「そんなわけないだろ」とムッとされる。
 
「だって、いつもにこやかに相手してたじゃない」
「お前がそうしろって言ったんだろ?」
「そんなこと言った?」

 心外とばかりに言われて、記憶をたどる。

「少しはイヴァンを見習って、愛想よくしろって言うから俺は……」

 たしかに、売り言葉に買い言葉のように言ったかもしれない。
 そんなことを覚えていて、気にしてくれてたなんて……。
 ダンケルトは知れば知るほど、可愛い人だった。

「ふふっ、ごめんね」

 そんな彼に私も素直になるしかなくて、笑いながら、謝った。
 ふいに頭を引き寄せられ、頬にキスされた。

「可愛い」

 耳もとでささやかれ、ボッと顔が燃えるように熱くなる。
 キャーッと悲鳴のような声が聞こえた。
 
「も、もうっ、こんなところで!」

 口では文句を言いながらも、私は彼の手に指を絡めた。


 ─fin─



 
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