上 下
7 / 8

しおりを挟む
 やけに腰が重いなと思いつつ、ふと意識が覚醒した。
 目の前に、ダンケルトの顔があった。

「えっ!? ど、どうして?」

 私は彼の腕に包まれるようにして寝ていた。
 しかも、二人とも裸だ。
 激しく同様して、目を瞠る。

(どうして、ダンケルトと寝てるの?)

 ダンケルトは、私の声に目を開いた。
 そして、ガバッと起きあがると、深く頭を下げる。

「すまない!」

 驚いて、私も身を起こそうとしたけど、下半身が泥のように重くて、ノロノロとしか起きあがれない。

「大丈夫か?」

 ダンケルトは手を貸してくれて、ベッドに座った私をシーツで包んだ。
 
(どういう状況?)
 
 混乱した私は、眠りにつく前の記憶を呼びさまそうとした。
 でも、こうなった過程をまったく思い出せない。

(たしか、自主練を終えたあと、更衣室に行って……?)

 ニヤニヤとした三馬鹿トリオの顔が浮かんだ。

「……あ、の、クズども!」

 レイプ薬を使われたんだと察した。
 それで、きっと私はダンケルトのところに来たのね。
 身体の奥の違和感は……彼に抱かれたんだ……。
 覚えてないのは残念だけど、それでもうれしくて、ダンケルトを見上げると、彼はビクッと肩を震わせた。

「申し訳ない。俺はクズだな……」

 目を逸らしてうつむくダンケルトに、慌てて否定する。

「違うわ! クズって言ったのは三バカのことよ! 私は自らの意志でここに来たんでしょ? 覚えてないけど」
「いや……、お前は部屋を間違えたんだ。隣のイヴァンのところに行こうとしてたのに」

 そう言われて、キョトンとした。

「どうして私がイヴァンのところに行くの?」
「イヴァンが好きだからだろう?」
「なんで? 私が好きなのはダンケルトなのに!」

 叫んだ拍子に、昨夜、声にならない声で同じことを叫んだことを思い出した。そして、そのほかの断片も。

 ──『エリカ……お前が好きだ』

 そうささやかれたのは夢だったのかしら?

 私がぼんやりしてると、両肩を持たれて、ダンケルトが顔を覗き込んできた。

「エリカ! もう一度言ってくれ!」
「えっ?」

 勢いで告白してしまったことに気づき、動揺する。
 
(そんなこと、もう言えるはずがないわ!)

 頬が熱くなってうつむくと、顎を掴まれ、無理やり顔を上げさせられた。
 近い距離で目が合う。
 必死なダンケルトの瞳に見覚えがあって、息を呑む。
 
「エリカ、好きだ! お前もそうだと言ってくれ!」

 胸が高鳴る。体温が急上昇する。

(ダンケルト、本当に?)

 にわかには信じられなくて、まじまじと彼を見る。でも、その顔はからかう様子もなく、ただひたすらに私を求めていた。

「ダンケルト……」

 好き、という言葉とともに彼にキスをした。
 唇を離して、ダンケルトを見ると、今度は彼からキスをくれた。
 キスは終わることなく、そのまま押し倒される。
 胸をなでられ、剣だこが乳首をかすって、ビクンと身体が震えた。
 昨夜、さんざん快楽を教えこまれた身体は即座に反応して、蜜を垂らす。

「エリカ、好きだ」

 もう一度、言ってくれたダンケルトは、つぷりと私の中に指を挿れた。
 ぐるりと回すように指を動かし、私の準備が整っているのを確かめて、硬くなったものを突き入れた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら第二王子に媚薬を飲まされ体から篭絡されたんですけど

藍沢真啓/庚あき
恋愛
「公爵令嬢、アイリス・ウィステリア! この限りを持ってお前との婚約を破棄する!」と、貴族学園の卒業パーティーで婚約者から糾弾されたアイリスは、この世界がWeb小説であることを思い出しながら、実際はこんなにも滑稽で気味が悪いと内心で悪態をつく。でもさすがに毒盃飲んで死亡エンドなんて嫌なので婚約破棄を受け入れようとしたが、そこに現れたのは物語では婚約者の回想でしか登場しなかった第二王子のハイドランジアだった。 物語と違う展開に困惑したものの、窮地を救ってくれたハイドランジアに感謝しつつ、彼の淹れたお茶を飲んだ途端異変が起こる。 三十代社畜OLの記憶を持つ悪役令嬢が、物語では名前だけしか出てこなかった人物の執着によってドロドロになるお話。 他サイトでも掲載中

ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて

木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。 前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)

俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?

イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」 私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。 最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。 全6話、完結済。 リクエストにお応えした作品です。 単体でも読めると思いますが、 ①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】 母主人公 ※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。 ②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】 娘主人公 を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

【R18】「媚薬漬け」をお題にしたクズな第三王子のえっちなお話

井笠令子
恋愛
第三王子の婚約者の妹が婚約破棄を狙って、姉に媚薬を飲ませて適当な男に強姦させようとする話 ゆるゆるファンタジー世界の10分で読めるサクえろです。 前半は姉視点。後半は王子視点。 診断メーカーの「えっちなお話書くったー」で出たお題で書いたお話。 ※このお話は、ムーンライトノベルズにも掲載しております※

【R18】夫を奪おうとする愚かな女には最高の結末を

みちょこ
恋愛
前々から夫に色目を使っていた侍女が、事故に見せかけて夫の唇を奪った。その日を境に侍女の夫に対する行動はエスカレートしていく。 愛する夫は誰にも渡すつもりはない。 自分の立場も弁えない愚かな女には、最後に最高の結末を与えよう。 ※タグを確認した上でお読みください。 ※侍女のソフィアがヒーローに度の過ぎた行為をする回に関しては、△マークを入れさせて頂きます。 ※本編完結しました。後日番外編投稿したい(願望)。 ※ムーンライトノベル様でも公開させて頂きました!

【R18】義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました

春瀬湖子
恋愛
伯爵令嬢でありながら魔法研究室の研究員として日々魔道具を作っていたフラヴィの集大成。 大きく反り返り、凶悪なサイズと浮き出る血管。全てが想像以上だったその魔道具、名付けて『大好き義弟パトリスの魔道ディルド』を作り上げたフラヴィは、早速その魔道具でうきうきと処女を散らした。 ――ことがディルドの大元、義弟のパトリスにバレちゃった!? 「その男のどこがいいんですか」 「どこって……おちんちん、かしら」 (だって貴方のモノだもの) そんな会話をした晩、フラヴィの寝室へパトリスが夜這いにやってきて――!? 拗らせ義弟と魔道具で義弟のディルドを作って楽しんでいた義姉の両片想いラブコメです。 ※他サイト様でも公開しております。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

処理中です...