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幸せな結末
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そのあとすぐ王宮へ行くと言って、出かけていったラディアンは、夕方にはなんと国王直筆の結婚許可証を持って帰ってきた。
縁談を断るのに、これ以上強力なものはなかった。
「どうしたの、これ?」
「君と結婚するために騎士団長になったって言っただろ? こんなときのために陛下にあれこれ貸しを作っておいたんだ」
あとから聞いた話では、ラディアンは陛下をほとんど脅すような形で、かなり強引に結婚許可証を奪ってきたらしい。そんなことをして大丈夫かしらと、冷や汗が出る。
でも、私と結婚するためにそこまでしてくれるラディアンを改めて愛しく思った。
*****
「有難い! 団長は長いこと浮いた話ひとつなくて、マール嬢は妹扱いだし、結婚できないかと思ってました」
「本当に。いつ狙われるかと思ってましたよ~。ほら、俺って美形だから」
「実際、男色だって噂も出てたしな」
結婚の報告に行ったら、騎士団員の方々からとても感謝され、祝われた。
私が聞いていた女性関係の噂はずっと前のもので、ラディアンは騎士団長を目指そうと決めてからは私一筋でいてくれたらしい。
握手を求められて、ブンブンと手を上下に振られていると、飛んできたラディアンに引き離された。
「俺のマールにさわるな!」
みんなの前でひょいっと抱き上げられて、頬が熱くなる。
「ラ、ラディアン……」
「ん? なんだ、マール」
甘い瞳が私を覗き込む。
恥ずかしいけど、自分のものだと言われているようで、その独占欲がうれしい。
「すっかり骨抜きですね、団長」
どっと騎士団員の皆さんが笑って、私たちも顔をほころばせる。
年齢差も身長差も身分の差もあったけど、ぜんぶラディアンが乗り越えてくれた。
私は幸せいっぱいで彼に抱きついた。
―fin―
縁談を断るのに、これ以上強力なものはなかった。
「どうしたの、これ?」
「君と結婚するために騎士団長になったって言っただろ? こんなときのために陛下にあれこれ貸しを作っておいたんだ」
あとから聞いた話では、ラディアンは陛下をほとんど脅すような形で、かなり強引に結婚許可証を奪ってきたらしい。そんなことをして大丈夫かしらと、冷や汗が出る。
でも、私と結婚するためにそこまでしてくれるラディアンを改めて愛しく思った。
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「有難い! 団長は長いこと浮いた話ひとつなくて、マール嬢は妹扱いだし、結婚できないかと思ってました」
「本当に。いつ狙われるかと思ってましたよ~。ほら、俺って美形だから」
「実際、男色だって噂も出てたしな」
結婚の報告に行ったら、騎士団員の方々からとても感謝され、祝われた。
私が聞いていた女性関係の噂はずっと前のもので、ラディアンは騎士団長を目指そうと決めてからは私一筋でいてくれたらしい。
握手を求められて、ブンブンと手を上下に振られていると、飛んできたラディアンに引き離された。
「俺のマールにさわるな!」
みんなの前でひょいっと抱き上げられて、頬が熱くなる。
「ラ、ラディアン……」
「ん? なんだ、マール」
甘い瞳が私を覗き込む。
恥ずかしいけど、自分のものだと言われているようで、その独占欲がうれしい。
「すっかり骨抜きですね、団長」
どっと騎士団員の皆さんが笑って、私たちも顔をほころばせる。
年齢差も身長差も身分の差もあったけど、ぜんぶラディアンが乗り越えてくれた。
私は幸せいっぱいで彼に抱きついた。
―fin―
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