36 / 43
36.疑う余地がない①
しおりを挟む
「希、好きだよ」
ブラウスのボタンを外し、藤崎さんの唇が私の身体を這い、つぶやく。
熱い唇が私を甘く溶かしていく。
指先はショーツの上から何度も割れ目を辿るから、トロトロと愛液が染み出してきているのを感じて、とても恥ずかしい。
それでも、私は藤崎さんを早く感じたくて、彼の首もとに腕を絡め、腰を擦りつけた。
ゴクリと喉を動かした藤崎さんはジーンズの前を緩め、ゴムをつけた。
ショーツがずらされ、彼が入ってくる。
それだけで、気持ちが高ぶって、軽くイってしまう。
「希、締めすぎ」
「だって……」
眉を寄せた藤崎さんが色っぽくて、キュンとする。
彼がゆっくりと動き出した。
腰の動きとともに、顔中にキスを降らせて、また好きだとつぶやく。
そんなことをされたら、たまったものでなく、私はあっという間に高められて、背を反らした。
「希、好きだ! 愛してる!」
腰を打ちつけられ、訴えるように言われる。
藤崎さんの好きが心の中に溜まっていって、私を満たしていく。
「藤崎さん……私も好き」
手を伸ばして、藤崎さんにしがみついた。
快感と愛されている喜びに頭が痺れて、達した。
同時に藤崎さんもぶるっと身を震わせて、イったみたいだ。
幸せすぎて、涙がこぼれる。
「希?」
心配そうな藤崎さんに笑顔を作る。
「幸せで胸が苦しいんです」
それを聞いた藤崎さんが愛しげに微笑んだ。
指でそっと涙を拭ってくれる。
「僕もだよ。もうダメかと思った。好きだとか愛してるって何度も言ったのに君は無反応だったから。最後に君を思う曲を作って、告白しようと思ったんだ」
「だって、それは新曲の歌詞かと思って……。私だってそれをやり過ごすのがつらかったんですよ?」
「ウソだろ……」
藤崎さんが私の上に突っ伏した。くぐもった声でつぶやく。
「やっぱり初めが間違ってた……。怖がらずに、もっと早く希が好きで好きでたまらないって言えばよかった」
「怖い?」
「そりゃ、怖いさ。希から拒否されたらどうしようって」
「藤崎さん……」
どうしよう……藤崎さんがかわいい。
あの藤崎東吾が……。
藤崎さんの頭を抱いて、よしよしとなでた。
「私も好きで好きでたまりませんでしたよ? まさか藤崎さんに好かれてるとは思わなかったから、切なくて苦しかったですけど」
「僕はかなりわかりやすく好意を示してたと思うんだけど?」
「だって、契約の恋人って言われてたし、ペット的にかわいがられてるんだと思ってました」
「ペットって……。あぁ、だから、小動物って言ってたのか。まったく君の中で僕のイメージは最悪だったんだね」
「違いますよ。私が藤崎さんに相手にされるとは思ってなかっただけです」
「そんなわけないだろ! 相手にされてなかったのは、僕のほうだよ」
「そんなわけありません!」
言い合った後、二人で顔を見合わせて、笑う。
「希、愛してる。心から愛してるんだ……」
「藤崎さん、私も」
心も身体も満たされて、私たちは離れがたく、いつまでも抱き合っていた。
「ねぇ、希……やっぱり今すぐ結婚して? 君が誰かのものになる可能性があると思うとたまらない……」
「そんな可能性ないから、大丈夫ですよ?」
ベッドに移動して、抱き合っていたら、藤崎さんがまた言い出したので、笑って答えると、彼は不満そうにつぶやいた。
「本当に君はちっとも僕の思う通りになってくれないね……」
「そこがいいんでしょ?」
「うん」
冗談だったのに、真顔でうなずかれた。
(もう……)
一瞬でほてった頬を藤崎さんの胸に擦りつけて、甘える。
「本物の恋人同士になったばかりなんですから、しばらくそれを楽しみましょうよ」
「……そう言われると弱いな」
笑った藤崎さんは頬にキスをして、「じゃあ、デートしてくれる?」とねだった。
「でも、外は……」
「ほら、そうやって希が気にするから、奥さんになってって言ったのに」
「?」
話が飛躍してついていけず、首をひねる。
藤崎さんの思考はときどきわからない。
「奥さんならなんのスクープの心配もないでしょ? 堂々と外を歩ける」
「そんな理由でプロポーズしたんですか!?」
いい考えでしょうと得意げな藤崎さんを私はあきれた目で眺めた。
彼は私の反応に、心外だと拗ねた顔をする。
「そんな理由じゃないよ! 希が気兼ねなくデートしてくれるかどうかは、僕にとっては重要だよ」
普通、そんな理由でいきなり結婚しようと言う人なんていませんよ……。
やっぱり藤崎さんは常人とは違う感性の持ち主だわ。
そんなことを思っていると、さらに藤崎さんが言った。
「それに、どっちにしても大丈夫だよ。もうスクープになるほどの話題性はないから」
「どういうことですか?」
私は意味がわからず、また首を傾げる。
藤崎さんはくすくす笑って、説明してくれる。
「マスコミには釘を刺してあるし、プロポーズの曲としてアップしたから、希と出歩いてても、例の彼女かとしか思われないよ」
「えぇー! うそでしょ?」
「ほんと。安心して出かけられるよ」
「ぜんぜん安心じゃありませんよ……」
がっくりして、顔を伏せた。
明日からどんな顔で、仕事したらいいんだろう?
「困ったね。もう僕から逃げられないよ?」
「困りませんよ?」
悪ぶって言う藤崎さんに、私は顔を上げて、口づけた。
ブラウスのボタンを外し、藤崎さんの唇が私の身体を這い、つぶやく。
熱い唇が私を甘く溶かしていく。
指先はショーツの上から何度も割れ目を辿るから、トロトロと愛液が染み出してきているのを感じて、とても恥ずかしい。
それでも、私は藤崎さんを早く感じたくて、彼の首もとに腕を絡め、腰を擦りつけた。
ゴクリと喉を動かした藤崎さんはジーンズの前を緩め、ゴムをつけた。
ショーツがずらされ、彼が入ってくる。
それだけで、気持ちが高ぶって、軽くイってしまう。
「希、締めすぎ」
「だって……」
眉を寄せた藤崎さんが色っぽくて、キュンとする。
彼がゆっくりと動き出した。
腰の動きとともに、顔中にキスを降らせて、また好きだとつぶやく。
そんなことをされたら、たまったものでなく、私はあっという間に高められて、背を反らした。
「希、好きだ! 愛してる!」
腰を打ちつけられ、訴えるように言われる。
藤崎さんの好きが心の中に溜まっていって、私を満たしていく。
「藤崎さん……私も好き」
手を伸ばして、藤崎さんにしがみついた。
快感と愛されている喜びに頭が痺れて、達した。
同時に藤崎さんもぶるっと身を震わせて、イったみたいだ。
幸せすぎて、涙がこぼれる。
「希?」
心配そうな藤崎さんに笑顔を作る。
「幸せで胸が苦しいんです」
それを聞いた藤崎さんが愛しげに微笑んだ。
指でそっと涙を拭ってくれる。
「僕もだよ。もうダメかと思った。好きだとか愛してるって何度も言ったのに君は無反応だったから。最後に君を思う曲を作って、告白しようと思ったんだ」
「だって、それは新曲の歌詞かと思って……。私だってそれをやり過ごすのがつらかったんですよ?」
「ウソだろ……」
藤崎さんが私の上に突っ伏した。くぐもった声でつぶやく。
「やっぱり初めが間違ってた……。怖がらずに、もっと早く希が好きで好きでたまらないって言えばよかった」
「怖い?」
「そりゃ、怖いさ。希から拒否されたらどうしようって」
「藤崎さん……」
どうしよう……藤崎さんがかわいい。
あの藤崎東吾が……。
藤崎さんの頭を抱いて、よしよしとなでた。
「私も好きで好きでたまりませんでしたよ? まさか藤崎さんに好かれてるとは思わなかったから、切なくて苦しかったですけど」
「僕はかなりわかりやすく好意を示してたと思うんだけど?」
「だって、契約の恋人って言われてたし、ペット的にかわいがられてるんだと思ってました」
「ペットって……。あぁ、だから、小動物って言ってたのか。まったく君の中で僕のイメージは最悪だったんだね」
「違いますよ。私が藤崎さんに相手にされるとは思ってなかっただけです」
「そんなわけないだろ! 相手にされてなかったのは、僕のほうだよ」
「そんなわけありません!」
言い合った後、二人で顔を見合わせて、笑う。
「希、愛してる。心から愛してるんだ……」
「藤崎さん、私も」
心も身体も満たされて、私たちは離れがたく、いつまでも抱き合っていた。
「ねぇ、希……やっぱり今すぐ結婚して? 君が誰かのものになる可能性があると思うとたまらない……」
「そんな可能性ないから、大丈夫ですよ?」
ベッドに移動して、抱き合っていたら、藤崎さんがまた言い出したので、笑って答えると、彼は不満そうにつぶやいた。
「本当に君はちっとも僕の思う通りになってくれないね……」
「そこがいいんでしょ?」
「うん」
冗談だったのに、真顔でうなずかれた。
(もう……)
一瞬でほてった頬を藤崎さんの胸に擦りつけて、甘える。
「本物の恋人同士になったばかりなんですから、しばらくそれを楽しみましょうよ」
「……そう言われると弱いな」
笑った藤崎さんは頬にキスをして、「じゃあ、デートしてくれる?」とねだった。
「でも、外は……」
「ほら、そうやって希が気にするから、奥さんになってって言ったのに」
「?」
話が飛躍してついていけず、首をひねる。
藤崎さんの思考はときどきわからない。
「奥さんならなんのスクープの心配もないでしょ? 堂々と外を歩ける」
「そんな理由でプロポーズしたんですか!?」
いい考えでしょうと得意げな藤崎さんを私はあきれた目で眺めた。
彼は私の反応に、心外だと拗ねた顔をする。
「そんな理由じゃないよ! 希が気兼ねなくデートしてくれるかどうかは、僕にとっては重要だよ」
普通、そんな理由でいきなり結婚しようと言う人なんていませんよ……。
やっぱり藤崎さんは常人とは違う感性の持ち主だわ。
そんなことを思っていると、さらに藤崎さんが言った。
「それに、どっちにしても大丈夫だよ。もうスクープになるほどの話題性はないから」
「どういうことですか?」
私は意味がわからず、また首を傾げる。
藤崎さんはくすくす笑って、説明してくれる。
「マスコミには釘を刺してあるし、プロポーズの曲としてアップしたから、希と出歩いてても、例の彼女かとしか思われないよ」
「えぇー! うそでしょ?」
「ほんと。安心して出かけられるよ」
「ぜんぜん安心じゃありませんよ……」
がっくりして、顔を伏せた。
明日からどんな顔で、仕事したらいいんだろう?
「困ったね。もう僕から逃げられないよ?」
「困りませんよ?」
悪ぶって言う藤崎さんに、私は顔を上げて、口づけた。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる