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4. 曲作り?①

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 藤崎さんに深く口づけられながら、服を脱がされる。
 同意したとはいえ、いきなりの展開に頭がついていかない。
 その間に、丁寧だけど性急な手つきであっという間に真っ裸にされる。
 藤崎さんも服を脱いで、私に覆いかぶさった。
 彼の優美な手が私の胸をなでるのを見て、恥ずかしくてたまらなくない。
 思ったより筋肉質で引き締まった身体も目の毒だ。

「で、電気消してもらえませんか? っていうか、私、汗臭いし、シャワーに……」

 そう言ったら「イヤだよ」とあっさり拒否された。

「君を堪能しないと、曲ができない」

 本当にそうなのか、とても疑問だけど、胸を揉まれて、乳首を摘まれて、耳を舐められて、執拗な愛撫に悦楽に、何も考えられなくなっていく。
 藤崎さんの手が背中をさすり、お尻の方まで下りてきた。
 お尻を掴むように愛撫され、太腿をさわさわとさすられた。
 指が脚の間を掠める。

「あっ……」

 微妙なところに触れるたび、ピクンと反応してしまって、藤崎さんが笑う気配がする。
 まだ触れられてないのに、トロトロと染み出すものがお尻の方に伝っていっていて、藤崎さんの指を濡らしている。
そこには触れてくれず、藤崎さんは私の胸の先端を口に含んだ。

「んっ、あっ、あんっ」

 舌で転がされ、歯を立てられ、腰が跳ねる。
 胸をたっぷり弄られて、身体は熱くなる一方だ。
 すごく気持ちがいいけど、もっと触ってほしいところがある。

(もう触ってほしい。挿れてほしい)

 そう思うのに焦らされて、私は腰をくねらせた。

「藤崎さん……」

 我慢できずに訴えた。
 彼は胸から口を離して、指で太腿の付け根の際どいところをツーっとなでて、意味深に笑った。
 その表情を見て悟った。

(わざと焦らしてる!)

「……いじわるするなら、もう止めます!」

 身体のほてりを無視して起き上がろうとすると、藤崎さんは慌てて「ごめん。もういじわるしない」と止める。
 でも、その口でまた「そんなに僕がほしかったの?」と笑うから、私はむくれて彼を睨んだ。

「もう、藤崎さん! 言葉攻めもなし!」

 私がそう言うと「つまんないなぁ」とつぶやくので、泣きそうになった。
 どうせ私はつまんない女よ! 藤崎さんがふだん付き合ってるような人とは比べ物になるはずがないわ……。
 目が潤むのをぐっとこらえて、抗議する。

「つまんないなら、私としなくていいじゃないですか……」
「そういうことじゃない!」

 私の表情に気づいて、藤崎さんはまた焦った顔で私を抱きしめた。
 藤崎さんは、抱きしめた手で髪をなで、顔のあちこちに何度も口づける。
 私をなだめるように。
 そんな甘いなぐさめ方をされたら、なにも言えなくなる……。
 そう思ったら、藤崎さんがぽろりと洩らした。

「僕が欲しいって言わせたかっただけ。君は難しいね」
「……私がめんどくさい女だなんて、今さらですよ。やっぱり止めます?」
「いや、めんどくさいのがいいのかも」

 藤崎さんは勝手なことを言って、また口づけると今度は本格的に愛撫を始めた。
 彼の指が私の秘所をなでると、くちゅっと音がする。
 たっぷり潤んだぬかるみに指が入ってきた。

「ん……」

 一度も触られてないけど、トロトロになっていたそこは、悦んで指を締めつける。
 内部を探られながら、親指で花芽をなでられた。

「ひゃっ」

 突然の強い刺激に腰が浮いた。

「ここが好きなの?」

 淫靡に笑った藤崎さんはくるくると円を描くように花芽を攻める。

「あ、やっ、んんっ」

 くちゅくちゅと音を立てながら、指を抜き差しされて、快感が高まっていく。
 もう少しと思ったところで、指が抜かれた。
 不満げに藤崎さんを見上げると、「ちょっと待って」と頬をなでられた。
 彼は枕もとからゴムを取り出し、装着した。
 身体が期待に震える。
 藤崎さんは私の秘裂に屹立を沿わせ、蜜を塗りつけるようにした。

「挿れるよ」

 声とともに、彼の猛りが入ってきて、私の中を押し広げる。入れられただけで身体中に甘い痺れが走った。

「はぁ……」

 快感を逃そうと、溜め息をつく。

(憧れていた人が私の中にいる)

 そう思うだけで、藤崎さんのモノを締めつけてイキそうになった。

「すごい締めつけ。そんなに気持ちいい?」

 からかうように笑う藤崎さんに、答える代わりに、ぎゅっと抱きついた。

「……っく」

 藤崎さんが呻いた。
 中のモノが大きくなった気がした。

「希《のぞみ》、それ反則だよ」

 いきなり呼び捨てにされて、ドキッとした。
 藤崎さんこそ反則だわ。今、名前を呼ぶなんて。

「動くよ?」

 私の脚を持って広げ、藤崎さんは動き始めた。
 浅いところを執拗に突かれて、頭が快感でいっぱいになる。私は首を振って、それを逃がそうとするけど、そこへ今度は奥深く突き上げられる。

「あっ、あんっ、んっ、ああっ、深すぎっ、るっ、ああーっ!」

 さっきまで焦らされてたのが嘘みたいに、激しく擦られて、奥を突かれて、一気に高められた。

「ひゃんっ。ふかい……」

 脚を藤崎さんの肩に掛けられて、交わりがより深くなる。
 パンッパンッパンッ
 彼と私の身体が激しくぶつかる。
 余裕をなくした藤崎さんの顔が見え、胸がキュッとする。
 そんな思いもこれ以上ないほど奥を突かれて、なにも考えられなくなる。私は愉悦のあまり悲鳴を上げた。

「やーっ! だめっ! だめ! あぁっ、あぁあーーーッ」

 目の前に火花が散って、身体が強ばり、何かが抜けていったように弛緩した。
 藤崎さんも、数度深く突いた後、びくっと身体を震わせた。

「……っ」

 眉間にしわを寄せ、伏せた目が艶っぽい。
藤崎さんは私を抱きしめて、深く口づけた。
 私も藤崎さんに抱きついて、快楽に翻弄される身体をやり過ごす。
 お互いの荒い息が治まるまでくっついていると、しばらくして藤崎さんが歌を口ずさみ始めた。
 ワンフレーズ歌うと、くっと笑って、私を自分の上に乗せ、またキスをした。

「ははっ、最高だ」

 歌いながら、チュッチュッとキスをして、くつくつと笑ってる。
 ご機嫌な藤崎さんに、私も目を細めた。
 新しい曲ができたらしい。
 不思議だけど、私がいると作曲が進むのは本当らしい。
 私のあちこちを弄りながら、歌を口ずさみ、満足したらしい藤崎さんは「シャワーを浴びようか」と私ごと身を起こした。

「おいで」

 藤崎さんに腰を引き寄せられて、廊下に出た。
 裸のままなのが恥ずかしくて、うつむいた。

「めんどくさいと、かわいい」

 藤崎さんが、ポツリと言った。

「え?」

 私が顔を上げると、またおもむろに、歌い出す。
  
 ──La~
   めんどくさい君は
   どうしてこんなに
   かわいいんだろう~♪
   何もかも
   僕の思う通りに
   いかないのに
   やること、なすこと、
   全部かわいい~♪♪

 藤崎さんには珍しくポップなラブソング。
 愛しげに歌われて、ドキドキしてしまう。

(びっくりした! 自分がかわいいと言われたのかと思っちゃった。そんな訳ないのに)

「曲作りが順調でなによりですね」
「おかげさまでね」

 藤崎さんがにっこり笑った。

(うん、そうだよね。曲作り、曲作り)

 勘違いしないように、自分を諌める。
 そして、うっかりお風呂場についてきてしまったことに気づいたけど、後の祭り。
 引っ張りこまれて、広いお風呂で一緒にシャワーを浴びて、身体を洗われて、「恥ずかしがりすぎ」という歌を歌われた。
 今度はお遊びの歌だけど。


 
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