繋がれた絆はどこまでも

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「まぁ、長年『簡単に人を信用するな。疑うことから始めろ』って教えられてきたんだ。いきなり現れた奴に心委ねるなんて無理なのは分かっているし、して欲しくもない。馴れ馴れしくされるのも嫌だしな。だけど、常に周りを警戒して気を抜けないままいるってのは正直疲れるだろうなとは思ってるわけだ」


アシルは大きく溜め息を吐き、手に持っていた書類を机の上にバサッという音を立てて置いた。
その横にはアシルを隠すほどに溜まった書類が積み重なっている。
それと同様にライトの机の上にも書類が重なっているが、減る見込みが今のところない。
これでもメイソンに手伝って貰っているからこの量で済んでいるが、そうでなければどれ程の量になるのか考えたくもない。


「どうにかして休ませてやりたいが、建物の何処にいてもお前は休まらないだろうし、変な所に行くとトラブルに巻き込まれたり、刺客に狙われる可能性だってある。休みだからってお前をひとりにはしておけないのは分かって欲しい」


「それは、うん。分かってる」


折角この年まで生き残ることが出来たのに、隙を狙われて命を落とすことはライトとしても絶対に避けたい。
だから、誰かが側にいなければならないというのもライトは分かっている。
だが、誰かが側にいることで休まらないのも事実なわけで。


「お前にとって唯一信頼できる相手って誰だ？いたら、そいつに休みの日のお前の護衛を依頼する。居なかったら……そうだな。俺で我慢しとけ」


「え、いや、そうしたら」


アシルの休みが、とライトが言おうとするとアシルは首を横に振った。


「お前の護衛は俺の生活の一部だ。仕事としてカウントされていない」