新たな物語はあなたと共に

mahiro

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嫌だと思いながら行うレッスンを受けていると、それを見ている人にもその感情が伝わりやすい。
好きな人が自分のために苦労をしている姿を見ているのが辛くなるドミニク殿下の気持ちは察することはできる。
それさえなければ好きな人は苦しまずにいられるのではと考えたくなる気持ちも。
けれど、そこで彼女の頑張りから目をそらしたりはしないで欲しい。
それが必ずしも相手のためになるとは限らないのだから。


「ドミニク殿下のお気持ちはお察しいたします。ですが、そこからお互いに目をそらしてはいつまで経っても変わりません。アルレート様がレッスンから逃げないように、ドミニク殿下もそこから目をそらさず、殿下もアルレート様と同じ様に我慢していくことが良いことかと存じます。そして、二人で成長されていくのが一番良いかと思うのですが、いかがでしょうか?」


「やはりそうだよな。俺もその考えでいいと思う。ありがとう。にしても、父上上も母上も俺とローレンスが関わっていけばより良い関係になると考えてのことだと言うが……当人たちの意見を取り入れずに行うのはどうかと思っているんだが………はぁ」


頭が痛い、と仰るドミニク殿下は、腕時計を見た後に立ち上がった。


「今日はもう夜遅いから泊まって行った方が良いと思う。明日からについてはまた二人に俺から話しておくから安心してくれ」


「ありがとうございます。必要とあれば私もお二人にお話をさせていただきますので、仰ってください」


「そのときは頼む。今日はゆっくり休んでくれ」


そう言って颯爽と出て行ったドミニク殿下の背中を見送ったジュリアンは、眉を潜めていた。
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